呼吸・咳の訓練はなぜ大切?
「飲み込みのリハビリなのに、なぜ呼吸や咳の練習をするのでしょうか?」
「咳が弱いと何が問題なのですか?」
「呼吸の訓練で誤嚥は減るのでしょうか?」
嚥下リハビリというと、舌やのどの運動を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、呼吸や咳も、安全に食べるためには欠かせない働きです。
実際、誤嚥してしまっても、しっかり咳が出れば異物を外へ出せることがあります。
一方で、咳をする力が弱いと、食べ物や唾液を気管から出せず、誤嚥性肺炎につながる危険性が高くなります。
そのため、嚥下リハビリでは、呼吸や咳の力を維持・改善するための訓練も行われます。
この記事では、呼吸・咳の訓練が重要な理由や代表的なリハビリについてわかりやすく解説します。
飲み込みと呼吸は深く関係している
私たちは普段、
- 呼吸
- 飲み込み
を無意識に切り替えています。
飲み込む瞬間には、一時的に呼吸が止まり、気管が閉じて食べ物が食道へ送られます。
飲み込みが終わると、再び呼吸が始まります。
この切り替えがうまくいかないと、食べ物が気管へ入りやすくなることがあります。
咳は体を守る大切な反射
もし食べ物や飲み物が誤って気管へ入ると、通常は咳反射が働き、異物を外へ出そうとします。
この咳は、肺を守るための大切な防御反応です。
しかし、
- 加齢
- 脳卒中
- パーキンソン病
- 神経筋疾患
などでは、咳をする力が弱くなることがあります。
咳が弱いとどうなる?
咳が十分にできないと、誤嚥した食べ物や唾液を外へ出しにくくなります。
その結果、細菌が肺へ入り、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
特に、不顕性誤嚥(むせない誤嚥)では、咳が出ないため注意が必要です。
呼吸・咳の訓練の目的
呼吸や咳の訓練には、次のような目的があります。
- 咳を強く出せるようにする
- 呼吸に必要な筋肉を維持する
- 痰を出しやすくする
- 誤嚥性肺炎を予防する
飲み込みそのものだけでなく、誤嚥した後に体を守る力を高めることも大切な目的です。
代表的な訓練
深呼吸の練習
ゆっくり大きく息を吸い、ゆっくり吐く練習です。
肺をしっかり広げることで、呼吸機能の維持につながります。
咳の練習
大きく息を吸った後、強く咳をする練習です。
誤嚥したときに、異物を外へ出す力を高めることを目的としています。
発声練習
「あー」など大きな声を出す練習も、呼吸や咳に使う筋肉を鍛えることにつながります。
そのため、発声訓練は嚥下リハビリにも取り入れられています。
呼吸のタイミングも大切
飲み込んだ後には、自然に息を吐くことが望ましいとされています。
飲み込んだ直後に息を大きく吸うと、のどに残った食べ物が気管へ入りやすくなる可能性があります。
この呼吸のタイミングも、リハビリで確認することがあります。
誰でも必要なの?
呼吸・咳の訓練は、すべての嚥下障害の方に必要というわけではありません。
例えば、
- 咳が弱い方
- 誤嚥性肺炎を繰り返している方
- 神経疾患がある方
などでは、特に重要になります。
一方で、心臓や呼吸器の病気がある方では、訓練内容を調整する必要があります。
自己流では行わない
咳の練習は比較的簡単に見えますが、体への負担がかかることもあります。
また、病気によっては適さない場合もあります。
必ず医師や言語聴覚士などの専門職から指導を受け、自分に合った方法で行いましょう。
毎日の積み重ねが大切
呼吸や咳の力は、使わなければ徐々に低下していきます。
そのため、無理のない範囲で継続することが大切です。
毎日のリハビリが、誤嚥性肺炎の予防につながることもあります。
まとめ
呼吸や咳は、飲み込みと深く関係しており、誤嚥から肺を守る大切な働きがあります。
そのため、
嚥下リハビリでは、
- 深呼吸
- 咳の練習
- 発声訓練
などを行い、
呼吸機能や咳をする力の維持・改善を目指します。
特に、咳が弱い方や誤嚥性肺炎を繰り返している方では、呼吸・咳の訓練が重要になることがあります。
安全に食べ続けるためにも、飲み込みだけでなく、呼吸や咳にも目を向けながらリハビリを続けていきましょう。

