嚥下障害になると何が起こる?
「少しむせるだけだから大丈夫。」
「年齢のせいだから仕方ない。」
このように考えて、飲み込みにくさをそのままにしてしまう方は少なくありません。
しかし、嚥下障害は単に「食べにくい」だけではなく、栄養状態や健康、
さらには生活の楽しみにまで大きな影響を及ぼすことがあります。
もちろん、すべての方が重い症状になるわけではありません。
適切な評価やリハビリ、食事の工夫によって、安全に食べ続けられる方も多くいます。
この記事では、嚥下障害になるとどのようなことが起こるのかを詳しく解説します。
食べることが難しくなる
嚥下障害になると、まず食事が思うように進まなくなります。
例えば、
- 食べ物が飲み込みにくい
- 水分でむせる
- のどに食べ物が残る感じがする
- 何度も飲み込まなければならない
といった症状が現れます。
以前なら10~20分で終わっていた食事が、30分以上かかるようになることもあります。
むせや誤嚥が起こりやすくなる
飲み込みがうまくできないと、本来は食道へ入るはずの食べ物や飲み物が、気管へ入ってしまうことがあります。
これを誤嚥(ごえん)といいます。
誤嚥すると、
- 強くむせる
- 咳き込む
- 息苦しくなる
ことがあります。
一方で、高齢者や脳卒中後の方では、誤嚥しても咳が出ない「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」がみられることもあり、
本人も気づかないまま誤嚥を繰り返してしまう場合があります。
誤嚥性肺炎のリスクが高くなる
誤嚥したものには、食べ物だけでなく唾液や口の中の細菌も含まれています。
これらが肺へ入ることで起こる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。
誤嚥性肺炎は高齢者の入院原因の一つであり、重症化すると命に関わることもあります。
ただし、嚥下障害があるからといって、必ず誤嚥性肺炎になるわけではありません。
口腔ケアや適切な食事形態、リハビリなどによって、リスクを減らすことができます。
低栄養や脱水になりやすい
「むせるのが怖いから食べる量を減らす。」
「水分を飲むと咳き込むので控えてしまう。」
このような状態が続くと、十分な栄養や水分を摂ることが難しくなります。
その結果、
- 体重が減る
- 筋力が低下する
- 疲れやすくなる
- 脱水になる
といった問題が起こります。
さらに筋力が低下すると、飲み込みに必要な筋肉も弱くなり、嚥下障害がさらに進行するという悪循環に陥ることがあります。
食べる楽しみが失われる
食事は栄養を摂るだけではありません。
家族や友人と会話を楽しみながら食べることや、好きな料理を味わうことも、生活の大きな楽しみの一つです。
しかし、嚥下障害になると、
- むせるのが怖い
- 人前で食べるのが恥ずかしい
- 好きな料理が食べられない
と感じるようになり、食事そのものが負担になることがあります。
その結果、外食や会食を避けるようになり、人との交流が減ってしまうこともあります。
家族の負担が増えることもある
嚥下障害は、ご本人だけでなくご家族にも影響します。
例えば、
- 食事の準備に時間がかかる
- 食事中は見守りが必要になる
- むせるたびに心配になる
- 食形態を工夫しなければならない
など、日々の介護負担が増えることがあります。
そのため、ご本人だけでなく、ご家族も一緒に嚥下障害について理解することが大切です。
適切な対応で安全に食べ続けられることも多い
嚥下障害と診断されても、「もう食べられなくなる」というわけではありません。
飲み込みの状態に合わせて、
- 食べやすい食形態を選ぶ
- 食事姿勢を工夫する
- 嚥下リハビリを行う
- 口腔ケアを続ける
などの対応を行うことで、安全に食事を続けられる方は多くいます。
早めに評価を受けることで、症状の悪化を防げる可能性もあります。
まとめ
嚥下障害になると、食べ物が飲み込みにくくなるだけでなく、
- むせや誤嚥
- 誤嚥性肺炎
- 低栄養・脱水
- 食べる楽しみの低下
- 家族の負担の増加
など、さまざまな影響が現れることがあります。
一方で、適切な評価やリハビリ、食事の工夫によって、安全に食べ続けられる可能性は十分あります。
「最近むせることが増えた」「食事に時間がかかるようになった」と感じたら、早めに医療機関へ相談することが大切です。

