パーキンソン病と嚥下障害
パーキンソン病では、手足の震えや動きの遅さだけでなく、飲み込み(嚥下)の障害が起こることがあります。
初期には自覚症状がほとんどないこともありますが、病気の進行とともに食べにくさやむせが目立つようになり、誤嚥性肺炎の原因となることもあります。
一方で、早い段階から飲み込みの状態を確認し、適切なリハビリや食事の工夫を行うことで、安全に食事を続けられる方も多くいます。
この記事では、パーキンソン病と嚥下障害の関係について、わかりやすく解説します。
パーキンソン病とは?
パーキンソン病は、脳内のドパミンという神経伝達物質が減少することで起こる神経の病気です。
代表的な症状には、
- 手足の震え(振戦)
- 動きが遅くなる(無動・寡動)
- 筋肉が固くなる(筋強剛)
- バランスを崩しやすくなる(姿勢反射障害)
などがあります。
これらは手足だけではなく、口や舌、のどの筋肉にも影響するため、飲み込みが難しくなることがあります。
なぜ飲み込みにくくなるの?
飲み込みには、舌やのどの筋肉が素早く正確に動くことが必要です。
しかし、パーキンソン病では筋肉の動きが小さく、遅くなるため、
- 食べ物をうまく噛めない
- 舌で送り込みにくい
- 飲み込み反射が遅れる
- のどに食べ物が残りやすい
といった変化が起こります。
また、咳をする力も弱くなりやすいため、誤嚥した食べ物を十分に排出できないことがあります。
パーキンソン病でみられる嚥下障害の症状
症状には個人差がありますが、次のようなものがよくみられます。
- 食事中によくむせる
- 水分で咳き込む
- 飲み込むまでに時間がかかる
- 食べ物が口の中に残る
- のどに食べ物がつかえる感じがする
- 食後に声がガラガラになる
- 食事に時間がかかる
- よだれが増えたように感じる
これらの症状は少しずつ進行することが多いため、本人や家族が気づきにくい場合もあります。
むせが少なくても安心できない
パーキンソン病では、誤嚥しても咳が出にくくなることがあります。
この状態を不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)といいます。
本人は「むせていないから大丈夫」と思っていても、実際には気づかないうちに誤嚥を繰り返していることがあります。
そのため、むせの有無だけで判断することはできません。
誤嚥性肺炎に注意
パーキンソン病では、嚥下障害が進行すると誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
誤嚥性肺炎は、高齢のパーキンソン病患者さんで特に注意が必要な合併症の一つです。
そのため、
- 飲み込みの評価を受ける
- 口腔ケアを続ける
- 食事姿勢を整える
- 適切な食形態を選ぶ
などの対策が重要になります。
リハビリでできること
パーキンソン病そのものを治すことはできませんが、嚥下リハビリによって飲み込みの機能を維持したり、安全に食事を続けたりすることは期待できます。
リハビリでは、
- 飲み込みの練習
- 舌や口の運動
- 声を出す練習
- 食事姿勢の調整
- 食形態の工夫
などを行います。
また、薬が効いて動きやすい時間帯に食事をとることで、飲み込みがスムーズになる場合もあります。
食事のタイミングについては、主治医と相談しながら調整しましょう。
家族が気をつけたいこと
ご家族ができるサポートも大切です。
例えば、
- 食事を急がせない
- 一口の量を多くしすぎない
- 飲み込んだことを確認してから次の一口を勧める
- 食後すぐに横にならない
- むせや食べ方の変化を記録する
などが、安全な食事につながります。
症状が少しずつ変化する病気だからこそ、小さな変化に気づくことが大切です。
定期的な評価を受けることが大切
パーキンソン病では、現在問題なく食べられていても、病気の進行によって飲み込みの状態が変わることがあります。
そのため、
- 「まだ食べられるから大丈夫」
ではなく、
- 「今の状態を確認しておこう」
という考え方が重要です。
定期的に医師や言語聴覚士の評価を受けることで、早い段階から適切な対応を行いやすくなります。
まとめ
パーキンソン病では、口や舌、のどの筋肉の動きが小さくなったり遅くなったりすることで、嚥下障害が起こることがあります。
主な症状には、
- むせる
- 飲み込みに時間がかかる
- のどに食べ物が残る
- 食事時間が長くなる
などがあります。
また、むせが少なくても不顕性誤嚥が起きている場合があるため、自己判断は禁物です。
定期的な評価とリハビリ、食事の工夫によって、安全に食事を続けられる可能性があります。
気になる変化があれば、早めに医療機関へ相談しましょう。

