遂行機能障害が生活や仕事に与える影響
高次脳機能障害の一つである「遂行機能障害」は、日常生活や仕事に大きな影響を与える症状です。
身体に麻痺がなく、会話も問題なくできるため、周囲からは気づかれにくいことがあります。しかし実際には、
- 計画を立てられない
- 段取りが組めない
- 優先順位を決められない
- 最後までやり遂げられない
といった困りごとを抱えていることがあります。
ご本人は「以前は普通にできていたのに」と戸惑い、ご家族も「なぜ簡単なことができないのだろう」と感じることがあります。
この記事では、遂行機能障害が生活や仕事にどのような影響を与えるのかを具体的に解説します。
遂行機能障害は生活全体に影響する
遂行機能とは、目標を達成するために計画を立て、実行し、必要に応じて修正する能力です。
私たちは普段、
- 家事をする
- 買い物をする
- 外出する
- 仕事を進める
といったあらゆる場面で遂行機能を使っています。
そのため遂行機能障害があると、生活のさまざまな場面で困りごとが生じます。
家事への影響
料理の段取りが難しくなる
料理は遂行機能を多く使う活動です。
例えば、
- 材料を準備する
- 切る
- 炒める
- 煮込む
- 盛り付ける
という手順があります。
遂行機能障害があると、
- 順番が分からなくなる
- 準備不足のまま始める
- 同時進行ができない
といった問題が起こります。
掃除や片付けが終わらない
掃除を始めても途中で別のことを始めてしまい、最後まで終わらないことがあります。
ご本人は頑張っていても、結果として作業が進まないことがあります。
金銭管理への影響
お金の管理には計画性や判断力が必要です。遂行機能障害があると、
- 支払いを忘れる
- 必要な手続きを後回しにする
- 衝動的に買い物をする
といった問題が起こることがあります。
家計管理が難しくなる場合もあります。
外出や予定管理への影響
時間管理が苦手になる
外出には、
- 持ち物の準備
- 出発時間の確認
- 移動時間の計算
などが必要です。
遂行機能障害があると、こうした計画がうまく立てられず、
- 遅刻する
- 忘れ物をする
といったことが増えることがあります。
予定変更への対応が難しい
電車の遅延や予定変更など、予想外の出来事が起こると混乱してしまうことがあります。
柔軟な対応が難しくなるのも特徴の一つです。
人間関係への影響
遂行機能障害は人間関係にも影響を与えることがあります。
例えば、
- 約束の管理ができない
- やるべきことを忘れる
- 話し合いの内容を整理できない
といったことがあります。
その結果、「無責任」「やる気がない」と誤解されてしまうことがあります。
仕事への影響
遂行機能障害は、仕事で特に大きな問題となることがあります。
優先順位を決められない
仕事では複数の業務を同時に進めることがあります。
しかし遂行機能障害があると、
- どの仕事を先に行うべきか
- 何が重要なのか
を判断することが難しくなります。
その結果、効率が低下してしまいます。
スケジュール管理が難しい
締め切りや予定を意識しながら仕事を進めることが難しくなることがあります。
そのため、
- 納期に遅れる
- 準備不足になる
といった問題が起こることがあります。
複数の業務を整理できない
同時にいくつもの仕事を抱えると混乱しやすくなります。
仕事の順番や手順を整理することが難しくなるためです。
問題解決が難しくなる
予想外のトラブルが起こった際に、
- 状況を整理する
- 解決策を考える
- 実行する
といった対応が難しくなることがあります。
本人が感じるつらさ
遂行機能障害は外見から分かりにくい障害です。そのため、
- 「やる気がないだけでは?」
- 「ちゃんと考えればできるのでは?」
と言われてしまうことがあります。
しかし、ご本人は
- どう進めればよいか分からない
- 頭の中が整理できない
- 失敗が増えて自信がなくなる
といった悩みを抱えていることがあります。
周囲の理解がとても大切です。
工夫によって生活しやすくなる
遂行機能障害があっても、工夫によって困りごとを減らせることがあります。
例えば、
- チェックリストを使う
- 手順を書き出す
- 作業を小さく分ける
- カレンダーで予定管理をする
- 一度に一つのことを行う
といった方法があります。
リハビリでは、こうした工夫を身につける練習も行われます。
まとめ
遂行機能障害は、計画を立てたり段取りを考えたりする力が低下することで、生活や仕事のさまざまな場面に影響を与えます。
家事や金銭管理、予定管理、仕事などで困りごとが生じることがありますが、それは本人のやる気や努力不足ではありません。
脳の障害によって起こる症状であり、適切な支援や工夫によって生活しやすくなることも少なくありません。
まずは症状を正しく理解し、ご本人に合ったサポート方法を見つけていくことが大切です。

