高次脳機能障害はMRIやCTで分かる?
高次脳機能障害が疑われるとき、
「MRIを撮れば分かるの?」
「CTで診断できるの?」
と疑問に思う方も多いでしょう。
脳卒中や頭部外傷の診断ではMRIやCTが重要な検査ですが、高次脳機能障害そのものを画像だけで診断できるわけではありません。
実際には、画像検査と神経心理学的検査、日常生活の様子などを総合的に評価して診断が行われます。
この記事では、MRIやCTで分かることと分からないことについてわかりやすく解説します。
MRIやCTはどんな検査?
MRIとCTは、脳の状態を画像として確認する検査です。
どちらも高次脳機能障害の原因となる脳の損傷を調べるために行われます。
MRI
磁気を利用して脳を詳しく撮影する検査です。
脳の小さな変化も確認しやすく、
- 脳梗塞
- 脳出血
- 脳腫瘍
- 頭部外傷後の変化
などを詳しく調べることができます。
CT
X線を利用して脳を撮影する検査です。
特に、
- 出血
- 骨折
などを確認するのに優れています。
救急外来ではまずCTが行われることが多くあります。
MRIやCTで分かること
脳の損傷の有無
高次脳機能障害の原因となる脳の病気やケガがあるかを確認できます。
例えば、
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- 外傷性脳損傷
などです。
損傷した場所
脳のどの部分が傷ついているかを確認できます。
例えば、
- 前頭葉
- 側頭葉
- 頭頂葉
- 後頭葉
などです。
損傷部位から、どのような症状が出る可能性があるかを推測できます。
損傷の大きさ
脳の損傷範囲も確認できます。
損傷が広いほど症状が重くなるとは限りませんが、重要な情報になります。
MRIやCTだけでは分からないこと
記憶力の低下
MRIで脳梗塞が見つかっても、
- どの程度覚えられないのか
- 日常生活で困っているのか
までは分かりません。
注意障害
画像だけでは、
- 集中力
- 注意力
- 作業能力
を評価することはできません。
遂行機能障害
計画を立てたり段取りを組んだりする能力も、画像だけでは判断できません。
社会的行動障害
怒りっぽさや感情コントロールの問題なども画像だけでは評価できません。
MRIが正常でも高次脳機能障害はある?
あります。
特に頭部外傷では、
MRIやCTで明らかな異常が見つからないにもかかわらず、
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
が残ることがあります。
代表的なのが「びまん性軸索損傷」です。
脳の神経ネットワークが傷ついていても、通常の画像検査では分かりにくい場合があります。
そのため、
「MRIが正常だから問題ない」
とは言えません。
逆に画像に異常があっても症状が軽いこともある
脳に損傷が見つかっても、
日常生活ではほとんど困らない方もいます。
脳には、
失われた機能を補う働き(脳の可塑性)
があるためです。
そのため、
画像の異常=症状の重さ
ではありません。
高次脳機能障害の診断で大切なこと
高次脳機能障害の診断では、
画像検査
- MRI
- CT
神経心理学的検査
- RBMT
- TMT
- FAB
- HDS-R
など
生活状況の評価
- 本人の困りごと
- 家族からの情報
- 職場や学校での様子
を総合的に判断します。
家族が気づくことも多い
高次脳機能障害では、
画像検査より先に家族が変化に気づくこともあります。
例えば、
- 同じ質問を繰り返す
- 約束を忘れる
- ミスが増える
- 怒りっぽくなった
などです。
このような情報は診断の重要な手がかりになります。
まとめ
MRIやCTは、高次脳機能障害の原因となる脳の損傷を確認するために重要な検査です。
しかし、
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
などの程度を画像だけで判断することはできません。
また、MRIやCTで異常が見つからなくても高次脳機能障害が存在することがあります。
高次脳機能障害は、
- 画像検査
- 神経心理学的検査
- 日常生活の評価
を組み合わせて診断される障害です。
「画像では異常がないと言われたけれど困っている」という場合も、専門機関へ相談することが大切です。

