神経心理学的検査とは?
高次脳機能障害の診察を受けると、
「神経心理学的検査を行いましょう」と言われることがあります。
しかし、
「難しそうな名前だけど何をするの?」
「頭の検査?」
「テストみたいなもの?」
と疑問に思う方も多いでしょう。
神経心理学的検査は、高次脳機能障害の評価に欠かせない重要な検査です。
この記事では、神経心理学的検査とは何か、どのようなことが分かるのかについてわかりやすく解説します。
神経心理学的検査とは?
神経心理学的検査とは、脳の働きを調べるための検査です。
特に、
- 記憶
- 注意
- 言語
- 判断
- 計画力
などの高次脳機能を評価します。
脳卒中や頭部外傷の後、
「物忘れが増えた」
「集中できない」
といった症状がある場合に行われます。
MRIやCTとの違い
MRIやCTは脳の「形」を調べる検査です。
例えば、
- 脳梗塞がある
- 出血している
- 損傷がある
ことが分かります。
一方、神経心理学的検査は脳の「働き」を調べる検査です。
例えば、
- 記憶力は保たれているか
- 注意力は低下していないか
- 言葉の理解はできているか
などを確認します。
つまり、
MRI・CT=脳の構造
神経心理学的検査=脳の機能
を調べる検査と考えると分かりやすいでしょう。
なぜ必要なの?
高次脳機能障害は見た目では分かりにくい障害です。
例えば、
- 歩ける
- 会話できる
- 食事できる
という方でも、
- 約束を忘れる
- 集中できない
- 段取りが立てられない
ことがあります。
こうした目に見えない問題を客観的に評価するために神経心理学的検査が行われます。
どんなことを調べるの?
記憶
新しいことを覚える力や思い出す力を調べます。
例えば、
- 単語を覚える
- 名前を覚える
- 約束を記憶する
などの課題があります。
注意
集中力や注意力を調べます。
例えば、
- 数字を順番につなぐ
- 指示に従って作業する
などの課題があります。
言語
言葉の理解や表現の能力を調べます。
例えば、
- 名前を言う
- 文章を読む
- 指示を理解する
などを確認します。
遂行機能
計画を立てたり問題を解決したりする能力を調べます。
例えば、
- 手順を考える
- 優先順位を決める
といった能力です。
空間認識
周囲の空間を正しく認識できるかを調べます。
半側空間無視などの評価にも使われます。
代表的な神経心理学的検査
HDS-R
改訂長谷川式簡易知能評価スケールです。
認知機能を簡単に評価します。
MMSE
認知症の評価でも広く使われる検査です。
RBMT
日常生活に近い記憶を評価する検査です。
記憶障害の評価によく用いられます。
TMT
注意力や処理速度を調べる検査です。
FAB
前頭葉機能や遂行機能を評価します。
SLTA
失語症の評価を行う検査です。
言語聴覚士が実施することが多くあります。
検査は「できる・できない」を決めるためではない
神経心理学的検査を受けると、
「点数が悪かったらどうしよう」と不安になる方もいます。
しかし、検査の目的は優劣を決めることではありません。
大切なのは、
- どの機能が保たれているか
- どの機能に支援が必要か
を知ることです。
その結果をもとに、リハビリや生活支援の方法を考えていきます。
検査結果だけで全ては分からない
神経心理学的検査は重要ですが、それだけで診断が決まるわけではありません。
例えば、
検査では良い成績でも、
- 仕事でミスが増える
- 家事がうまくできない
ことがあります。
反対に、検査結果に課題があっても、工夫しながら問題なく生活できている方もいます。そのため、
- 本人の訴え
- 家族からの情報
- 日常生活の様子
も合わせて評価されます。
まとめ
神経心理学的検査とは、脳の働きを調べるための検査です。
- 記憶
- 注意
- 言語
- 遂行機能
- 空間認識
などを客観的に評価し、高次脳機能障害の診断やリハビリに役立てます。
MRIやCTが脳の「形」を調べる検査であるのに対し、神経心理学的検査は脳の「働き」を調べる検査です。
検査結果は、できないことを探すためではなく、その人に合った支援やリハビリを考えるために活用されます。

