記憶障害とは?
脳卒中や頭部外傷の後に、
- 「さっき聞いたことを忘れてしまう」
- 「何度も同じことを聞いてしまう」
- 「予定を覚えていられない」
といった症状がみられることがあります。
こうした症状の背景には、高次脳機能障害による記憶障害が関係している場合があります。
記憶障害は、高次脳機能障害の中でも比較的よくみられる症状です。しかし、「単なる物忘れ」と誤解されることも多く、ご本人やご家族が戸惑うことがあります。
この記事では、記憶障害とはどのような症状なのか、なぜ起こるのか、日常生活ではどのような困りごとが生じるのかをわかりやすく解説します。
記憶障害とは?
記憶障害とは、新しいことを覚えたり、覚えたことを思い出したりすることが難しくなる状態です。
私たちは普段、
- 人の名前を覚える
- 約束の日時を覚える
- 買い物の内容を覚える
- 昨日の出来事を思い出す
といったことを自然に行っています。
しかし脳に損傷が生じると、こうした記憶の働きに問題が起こることがあります。
「覚えられない」と「思い出せない」は違う
記憶障害にはさまざまなタイプがあります。
新しいことを覚えられない
最もよくみられるのが、新しい情報を記憶することが難しくなる状態です。
例えば、
- 今日の予定を忘れる
- 初めて会った人の名前を覚えられない
- 病院で説明された内容を忘れる
といった症状がみられます。
思い出せない
記憶そのものは残っていても、必要なときに思い出せない場合があります。
例えば、
- 人の名前が出てこない
- 約束を思い出せない
といった状態です。
ヒントをもらうと思い出せることもあります。
記憶障害と加齢による物忘れの違い
ご家族からよく聞かれるのが、
「年齢による物忘れと何が違うのですか?」という質問です。
加齢による物忘れでは、
- 忘れたことを自覚している
- ヒントがあれば思い出せる
ことが多くあります。
一方、記憶障害では、
- 出来事そのものを覚えていない
- 忘れたことにも気づかない
ことがあります。
そのため生活への影響が大きくなりやすいのが特徴です。
なぜ記憶障害が起こるの?
記憶には脳のさまざまな部分が関わっています。
特に、
- 側頭葉
- 海馬
- 前頭葉
などは記憶に重要な役割を果たしています。
脳卒中や頭部外傷などによってこれらの部位が損傷すると、記憶機能に影響が生じることがあります。
また、注意障害があると情報が十分に頭に入らず、結果として「覚えられない」と感じることもあります。
記憶障害でみられる症状
記憶障害の現れ方は人によって異なります。
同じ質問を繰り返す
説明を受けても内容を覚えられず、何度も同じことを聞いてしまうことがあります。
約束や予定を忘れる
病院の予約や家族との約束を忘れてしまうことがあります。
物を置いた場所を忘れる
財布やスマートフォンなどをどこに置いたか思い出せなくなることがあります。
新しいことを覚えられない
新しい仕事の手順や生活の変化に対応することが難しくなることがあります。
日常生活への影響
記憶障害は生活のさまざまな場面に影響します。
家庭生活
- 薬を飲み忘れる
- ゴミ出しの日を忘れる
- 家族との約束を忘れる
といったことがあります。
社会生活
- 予定を忘れる
- 人の名前を覚えられない
- 会話内容を忘れる
ことによって人間関係に影響が出ることがあります。
仕事
- 作業手順を覚えられない
- 指示内容を忘れる
- ミスが増える
といった問題につながることがあります。
ご本人が感じるつらさ
記憶障害は周囲から見えにくい症状です。
そのため、
- 「ちゃんと聞いていたの?」
- 「また忘れたの?」
と言われてしまうことがあります。
ご本人も、
- 覚えたいのに覚えられない
- 周囲に迷惑をかけてしまう
というつらさを抱えていることがあります。
まずは病気による症状であることを理解することが大切です。
記憶障害は改善することがある
記憶障害は脳の回復やリハビリによって改善する可能性があります。
また、
- メモを活用する
- カレンダーを使う
- スマートフォンのアラームを利用する
- 決まった場所に物を置く
といった工夫によって生活しやすくなることもあります。
症状が残った場合でも、代償手段を活用することで多くの方が生活を送っています。
まとめ
記憶障害とは、新しいことを覚えたり、覚えたことを思い出したりすることが難しくなる症状です。
高次脳機能障害の中でも代表的な症状の一つであり、日常生活や仕事、人間関係に大きな影響を与えることがあります。
しかし、脳の回復やリハビリによって改善する可能性があり、メモやアラームなどの工夫によって生活しやすくなることも少なくありません。
まずは記憶障害について正しく理解し、ご本人に合った支援や対策を考えていくことが大切です。

