高次脳機能障害と発達障害の違い
高次脳機能障害と発達障害は、
- 忘れ物が多い
- 集中力が続かない
- 段取りが苦手
- 人間関係で困りやすい
など、似たような症状がみられることがあります。
そのため、
「高次脳機能障害と発達障害は同じなの?」
「どのように違うの?」
と疑問に思う方も少なくありません。
実際には、高次脳機能障害と発達障害は原因や経過が異なる別の状態です。
この記事では、高次脳機能障害と発達障害の違いについてわかりやすく解説します。
高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、脳卒中や頭部外傷などによって脳が損傷し、
- 記憶
- 注意
- 判断
- 計画
- 感情コントロール
などの機能が低下した状態を指します。
主な原因には、
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- 外傷性脳損傷
などがあります。
つまり、一度獲得した能力が脳の損傷によって低下する障害です。
発達障害とは?
発達障害は、生まれつきの脳機能の特性によって生じる障害です。
代表的なものには、
自閉スペクトラム症(ASD)
- コミュニケーションが苦手
- 対人関係が難しい
- こだわりが強い
注意欠如・多動症(ADHD)
- 不注意
- 落ち着きのなさ
- 衝動性
学習障害(LD)
- 読み書きや計算が苦手
などがあります。
発達障害は病気や事故によって起こるものではなく、発達の過程で現れる特性です。
一番大きな違いは「いつからあるか」
高次脳機能障害
ある時点までは問題なく生活できていた方が、
- 脳卒中
- 交通事故
- 頭部外傷
などをきっかけに症状が現れます。
例えば、「脳梗塞の後から忘れっぽくなった」
というように、変化した時期が比較的明確です。
発達障害
幼少期から特性がみられることが多いです。
例えば、
- 子どもの頃から忘れ物が多かった
- 昔から集団行動が苦手だった
といった特徴があります。
症状が似ることもある
注意障害とADHD
高次脳機能障害の注意障害では、
- 集中力が続かない
- ミスが増える
- 気が散りやすい
といった症状がみられます。
これはADHDの特徴と似ています。
遂行機能障害と発達障害
高次脳機能障害の遂行機能障害では、
- 段取りが苦手
- 優先順位を決められない
- 計画的に行動できない
ことがあります。
これも発達障害の一部の方にみられる特徴と似ています。
社会的行動障害とASD
高次脳機能障害では、
- 空気が読めない
- 相手の気持ちを考えにくい
ことがあります。
これもASDの特徴と重なる部分があります。
症状の背景は異なる
似た症状があっても、原因は異なります。
高次脳機能障害
脳の損傷によって、
「以前できていたことができなくなる」
状態です。
発達障害
生まれつきの特性として、「もともと苦手だった」状態です。
この違いは支援を考えるうえでとても重要です。
発達障害がある人が高次脳機能障害になることもある
発達障害と高次脳機能障害は別のものですが、両方を持つこともあります。
例えば、ADHDやASDのある方が、
- 脳卒中
- 頭部外傷
を経験し、高次脳機能障害を発症することがあります。
その場合は、もともとの特性と新たな障害の両方を考慮した支援が必要になります。
リハビリや支援の考え方
高次脳機能障害
- 機能回復を目指す
- 代償手段を活用する
- 環境を調整する
ことが中心になります。
発達障害
- 特性を理解する
- 苦手な部分を補う
- 強みを活かす
ことが中心になります。
支援方法は異なりますが、環境調整が重要という点は共通しています。
家族が見るポイント
高次脳機能障害か発達障害かを考える際には、
「いつからその特徴があったのか」
が大きな手がかりになります。
例えば、
- 子どもの頃からあった → 発達障害の可能性
- 病気や事故の後から始まった → 高次脳機能障害の可能性
があります。
ただし、正確な判断には専門的な評価が必要です。
まとめ
高次脳機能障害と発達障害は、似た症状がみられることがありますが、原因が異なります。
| 高次脳機能障害 | 発達障害 |
|---|---|
| 脳卒中や頭部外傷が原因 | 生まれつきの脳機能の特性 |
| 発症時期が比較的明確 | 幼少期から特徴がみられる |
| 以前できていたことが難しくなる | もともとの苦手さとして現れる |
症状だけでは区別が難しいこともありますが、「いつから始まったのか」を知ることが重要な手がかりになります。
気になる症状がある場合は、医療機関や専門機関へ相談してみましょう。

