言葉が出てこないときは待った方がいい?
失語症の方と会話をしていると、言葉が途中で止まってしまうことがあります。
そんなとき、ご家族は
「何か手伝った方がいいのかな?」
「言葉を教えてあげた方がいいのかな?」
と悩むことがあるでしょう。
結論から言うと、多くの場合はまず「待つこと」が大切です。
ただし、いつまでも何もせず待てばよいというわけではありません。
本人の様子を見ながら、必要に応じて適切なサポートを行うことが重要です。
この記事では、失語症の方の言葉が出てこないときの対応について解説します。
なぜ言葉が出てこなくなるの?
失語症では、言いたい言葉を思い出すことが難しくなることがあります。
例えば、
「時計」
と言いたいのに、
・名前が思い出せない
・言葉の一部しか出てこない
・違う言葉が出てしまう
といったことが起こります。
しかし、多くの場合は頭の中から言葉が完全に消えてしまったわけではありません。
時間をかけることで、自分で思い出せることも少なくありません。
まずは待つことが大切
言葉が出てこない様子を見ると、つい助けたくなるものです。
しかし、すぐに答えを教えてしまうと、本人が言葉を探す機会を失ってしまいます。
失語症の方は、
「あと少しで出そう」
「思い出せそう」
という状態で考えていることがあります。
そのため、まずは数秒から十数秒ほど待ってみることが大切です。
実際に待ってみると、自分の力で言葉を見つけられることもあります。
急かすのは逆効果になることも
沈黙が続くと、
「早く言って」
「何が言いたいの?」
と言いたくなることがあるかもしれません。
しかし、急かされると緊張が高まり、さらに言葉が出にくくなることがあります。
これは失語症の方によくみられる特徴です。
本人は決して怠けているわけではなく、一生懸命考えています。
焦らせるよりも、落ち着いて待つ方が言葉を引き出しやすくなります。
ずっと待てばいいわけではない
一方で、長時間待ち続けることが必ずしも良いとは限りません。
本人が困っていたり、疲れていたりする場合にはサポートが必要です。
例えば、
・考え込んでしまっている
・表情が苦しそう
・諦めた様子がある
といった場合には、適度な手助けを行いましょう。
大切なのは、「待つ」と「助ける」のバランスです。
どのように手助けすればいい?
言葉が出ないときには、ヒントを出す方法があります。
例えば、
「食べるときに使うもの?」
「台所にあるもの?」
など、カテゴリーのヒントを出す方法があります。
また、
「はさみ?」
「ペン?」
のように選択肢を提示することも有効です。
ただし、最初から答えを言ってしまうのではなく、本人が思い出せるように支援することを意識しましょう。
ジェスチャーや指差しも活用しよう
言葉だけでやり取りしようとすると、本人の負担が大きくなることがあります。
そんなときは、
・指差し
・ジェスチャー
・写真
・絵
・実物
などを活用してみましょう。
例えば、飲み物の話であれば実際のコップを指差すだけでも伝わることがあります。
コミュニケーションは言葉だけではありません。
本人によって適切な対応は異なる
失語症の症状は人によって大きく異なります。
少し待てば言葉が出る方もいれば、ヒントがあった方が話しやすい方もいます。
また、その日の体調や疲労によっても変わります。
ご本人がどのようなサポートを受けると話しやすいのかを観察しながら、関わり方を調整していくことが大切です。
待つことは大切な支援
「何もしないで待つ」というと簡単に聞こえるかもしれません。
しかし、失語症の方にとっては、
「急かされずに待ってもらえる」
こと自体が大きな支えになります。
安心して言葉を探せる環境は、コミュニケーションのしやすさだけでなく、自信にもつながります。
待つことも立派な支援の一つなのです。
まとめ
失語症の方の言葉が出てこないときは、まず待つことが大切です。
・すぐに答えを教えない
・急かさない
・言葉を探す時間を作る
・必要に応じてヒントを出す
・ジェスチャーや指差しを活用する
といった対応を心がけましょう。
失語症の方は、自分の力で伝えたいという思いを持っています。
言葉が出るまで少し待つことが、その思いを支える大切な関わりになります。

