失語症の方と会話するときのポイント

失語症になると、「話す」「聞く」「読む」「書く」といった言葉の機能に障害が生じます。

そのため、ご家族や周囲の方は、

「どう話しかければいいのだろう」
「会話がうまく続かない」

と悩むことがあるかもしれません。

しかし、少し工夫するだけでコミュニケーションはずっとスムーズになります。

大切なのは、失語症の方が安心して会話できる環境を作ることです。

この記事では、失語症の方と会話するときに意識したいポイントをご紹介します。

落ち着いた環境で話す

まず大切なのは、会話する環境です。

テレビの音が大きかったり、周囲が騒がしかったりすると、言葉を理解することが難しくなる場合があります。

また、複数人が同時に話す場面では、誰が何を話しているのか分かりにくくなることもあります。

会話をするときは、

・テレビを消す
・静かな場所で話す
・一対一で話す

などの工夫をしてみましょう。

それだけでも会話しやすくなることがあります。

ゆっくり、短く話す

失語症の方は、長い説明を理解することが難しい場合があります。

例えば、

「今日は病院に行って、そのあと買い物をして、夕方には娘さんが来る予定ですよ」

という説明よりも、

「今日は病院です。」
「そのあと買い物です。」
「夕方に娘さんが来ます。」

と区切って伝える方が理解しやすくなります。

一度にたくさんの情報を伝えるのではなく、短く分かりやすく話すことを心がけましょう。

言葉が出るまで待つ

失語症の方は、言葉を探すのに時間がかかることがあります。

沈黙が続くと、

「これ?」
「○○って言いたいの?」

とすぐに助けたくなるかもしれません。

しかし、本人は頭の中で一生懸命言葉を探しています。

少し待てば、自分で言葉を見つけられることもあります。

会話では「待つこと」も大切な支援の一つです。

答えやすい質問をする

自由に話すことが難しい場合は、質問の仕方を工夫してみましょう。

例えば、

「今日は何を食べたい?」

よりも、

「ご飯がいい?」
「パンがいい?」

の方が答えやすいことがあります。

また、

「痛いですか?」
「疲れていますか?」

など、「はい」「いいえ」で答えられる質問も有効です。

答えやすい会話を心がけることで、本人の負担を減らすことができます。

ジェスチャーや指差しを活用する

コミュニケーションは言葉だけではありません。

身振りや手振り、指差しなども大切な手段です。

例えば、

・飲み物を指差す
・時計を見せる
・カレンダーを使う
・写真を見せる

といった方法があります。

視覚的な情報を加えることで、理解しやすくなることがあります。

間違いを責めない

失語症では言い間違い(錯語)がよくみられます。

本人は間違えようとしているわけではありません。

そのため、

「違うよ」
「ちゃんと言って」

と繰り返し指摘されると、自信を失ってしまうことがあります。

会話では正確さよりも、

「何を伝えたいのか」

に目を向けることが大切です。

安心して話せる環境が、コミュニケーションを豊かにします。

本人を会話の中心にする

家族や医療者が本人の代わりに話してしまうことがあります。

もちろん必要な場面もありますが、本人が話そうとしているときは、

できるだけ本人に話してもらうことが大切です。

例えば病院で説明を受けるときも、

家族だけに話しかけるのではなく、

「どう思いますか?」
「何か質問はありますか?」

と本人にも声をかけましょう。

会話に参加する機会を作ることが大切です。

完璧な会話を目指さない

失語症になる前と同じような会話を求めると、本人も家族も疲れてしまいます。

大切なのは、

「完璧に話すこと」

ではなく、

「気持ちを伝え合うこと」

です。

多少言葉が足りなくても、会話が途中で止まってしまっても問題ありません。

伝え合おうとする姿勢そのものが大切なのです。

まとめ

失語症の方と会話するときは、

・落ち着いた環境で話す
・ゆっくり短く伝える
・言葉が出るまで待つ
・答えやすい質問をする
・ジェスチャーや指差しを使う
・間違いを責めない
・本人を会話の中心にする

ことが大切です。

失語症になっても、人とつながりたい気持ちは変わりません。

少しの工夫と理解が、本人の安心感や自信につながります。完璧な会話を目指すのではなく、

お互いが気持ちよくやり取りできることを大切にしていきましょう。

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