話したいことがあるのに言葉にならないとき
失語症のある方から、
「頭の中では言いたいことがあるのに言葉にならない」
「伝えたいことはあるのに口から出てこない」
という悩みをよく聞きます。
ご家族から見ても、
「何か言いたそうだけど言えない」
「もどかしそうにしている」
と感じることがあるでしょう。
この症状は失語症ではよくみられるもので、ご本人にとって大きなストレスになります。
この記事では、話したいことがあるのに言葉にならない理由と対処法についてわかりやすく解説します。
頭の中で考えていることは消えていない
失語症になると、
「言葉が出ない=考えられない」
と思われることがあります。
しかし実際には、
- 何を伝えたいか分かっている
- 気持ちがある
- 考えがある
ことが少なくありません。
問題は、考えている内容を言葉として取り出すことにあります。
言葉を探す力が低下している
私たちは話すとき、頭の中にある情報の中から適切な言葉を選び出しています。
例えば、
「今日は暑いですね」
と言うだけでも、
- 気温が高いと感じる
- 「暑い」という言葉を探す
- 文を組み立てる
という作業を行っています。
失語症では、この言葉を探す力が低下するため、伝えたい内容があっても言葉になりません。
「喉まで出かかっている」状態が続く
健康な人でも、
「あの人の名前が出てこない」
「喉まで出かかっている」
という経験があります。
失語症では、その状態が日常的に起こります。
例えば、コップを見ながら、
「ほら、あれ……飲むやつ……」
と説明できても、「コップ」という言葉が出てきません。
ご本人は非常にもどかしい思いをしています。
焦ると言葉はさらに出にくくなる
言葉が出ないと、
「早く言わなければ」
「ちゃんと伝えなければ」
と焦ってしまうことがあります。
しかし、焦りや緊張は脳への負担を増やし、さらに言葉が出にくくなることがあります。
そのため、言葉が出ないときほど落ち着くことが大切です。
疲労や体調も影響する
失語症の症状は一定ではありません。
例えば、
- 疲れている日
- 寝不足の日
- 体調が悪い日
には言葉が出にくくなることがあります。
逆に、体調が良い日は比較的話しやすいこともあります。
そのため、「今日はうまく話せない日なんだな」と考えることも大切です。
言葉以外の方法を使う
伝えたいことが言葉にならないときは、
言葉だけにこだわる必要はありません。
例えば、
- ジェスチャー
- 指差し
- 絵
- 写真
- 筆談
- スマートフォン
などを活用することができます。
大切なのは、伝えることをあきらめないことです。
リハビリで改善する可能性がある
言葉が出ない症状は、リハビリによって改善する可能性があります。
例えば、
- 呼称訓練
- 語想起訓練
- 音読練習
- 会話訓練
などが行われます。
繰り返し練習することで、言葉を取り出しやすくなることがあります。
家族ができるサポート
ご家族は、
- 急かさない
- 途中で答えを言わない
- 最後まで待つ
ことを心がけましょう。
また、「何を伝えたいのかな?」という姿勢で耳を傾けることも大切です。
ご本人は一生懸命伝えようとしています。
その努力を支えることが重要です。
「話せない」と「分からない」は違う
失語症の方は、
話せないために
「理解していない」
と思われることがあります。
しかし、
- 状況を理解している
- 周囲の会話を聞いている
- 気持ちを持っている
ことは少なくありません。
話せないことと、分からないことは別の問題です。
まとめ
失語症では、話したいことがあるのに言葉にならないことがあります。
これは、
- 言葉を探す力の低下
- 言葉を取り出す力の低下
によって起こります。
ご本人は何も考えていないわけではなく、むしろ伝えたい気持ちを強く持っていることが少なくありません。
焦らず、言葉以外の方法も活用しながらコミュニケーションを続けることが大切です。

