失語症と難聴の違いを解説
失語症の方を見ていると、
「耳が遠くなったのかな?」
「聞こえていないから返事ができないのでは?」
と思われることがあります。
実際にご家族からも、「失語症と難聴は何が違うのですか?」という質問を受けることがあります。
失語症と難聴は、どちらもコミュニケーションに影響するため似て見えることがあります。しかし、原因や症状は大きく異なります。
この記事では、失語症と難聴の違いについてわかりやすく解説します。
失語症とは?
失語症とは、脳卒中などによって脳の言語中枢が障害されることで起こる症状です。
失語症になると、
- 話す
- 聞いて理解する
- 読む
- 書く
能力に障害が生じます。
特に左脳の言語中枢が障害されることで起こることが多く、耳そのものに異常があるわけではありません。
難聴とは?
難聴とは、耳や聴覚神経の障害によって音が聞こえにくくなる状態です。
難聴では、
- 声が小さく聞こえる
- 音が聞き取りにくい
- 会話が聞こえない
といった症状が現れます。
言葉の意味を理解する能力そのものは保たれていることが一般的です。
一番大きな違いは?
最も大きな違いは、
失語症
聞こえていても意味が分からない
難聴
言葉の意味は分かるが聞こえない
という点です。
例えば、「今日は天気が良いですね」と言われた場合、
難聴の方は音が聞き取れれば内容を理解できます。
一方、失語症の方は音として聞こえていても意味が理解できないことがあります。
失語症の特徴
失語症では、
- 言葉が出ない
- 名前が思い出せない
- 言い間違いが増える
- 会話がかみ合わない
- 読み書きも難しくなる
といった症状がみられます。
また、「聞こえているのに理解できない」ことがあるのも特徴です。
難聴の特徴
難聴では、
- 音量が小さく感じる
- 聞き返しが増える
- テレビの音が大きくなる
といった症状がみられます。
しかし、文字を読んだり、意味を理解したりする力は基本的に保たれています。
会話の様子の違い
失語症と難聴では、会話中の反応にも違いがあります。
難聴の場合
何度か聞き返した後に、
「ああ、そういうことですね」
と理解できます。
失語症の場合
何度聞いても意味が理解できなかったり、質問と違う答えをしたりすることがあります。
両方を合併することもある
高齢者では、失語症と難聴を同時に持っていることもあります。
例えば、脳卒中による失語症があり、さらに加齢性難聴もある場合です。
この場合はコミュニケーションがさらに難しくなるため、より丁寧な対応が必要になります。
家族が間違えやすいポイント
失語症の方に対して、
「もっと大きな声で話せば分かるだろう」
と思うことがあります。
しかし失語症の場合、問題は耳ではなく言葉の理解です。
大声で話しても理解しやすくなるとは限りません。
むしろ、
- ゆっくり話す
- 短い文で話す
- 一度に一つの内容を伝える
ことが重要です。
コミュニケーションの工夫
失語症の方には、
- ジェスチャー
- 指差し
- 写真
- 絵
- メモ
などを活用すると理解しやすくなります。
難聴の方には、
- 補聴器
- 静かな環境
- はっきりした発音
が役立つことがあります。
原因によって対応方法が異なることを知っておくことが大切です。
まとめ
失語症と難聴は似ているようで異なる障害です。
失語症
- 脳の言語障害
- 聞こえていても意味が分からない
- 話す・読む・書くにも影響する
難聴
- 耳の障害
- 音が聞こえにくい
- 言葉の意味の理解は保たれる
ご本人に合った支援を行うためには、まず失語症と難聴の違いを理解することが大切です。

