小学校入学までに発音は完成する?

小学校への入学が近づくと、まださ行がうまく言えない、ら行を間違えるけれど大丈夫?と、子どもの発音が気になることがあります。

一般的に、子どもの発音は幼児期を通して少しずつ発達し、5〜6歳ごろになると多くの音が正しく言えるようになります。

そのため、小学校へ入学するころには、発音はかなり完成に近づいていると考えられます。

一方、発音の発達には個人差があります。

入学時点で一部の音に誤りが残っているからといって、必ずしも構音障害があるとは限りません。

ただし、複数の音を間違えている、発音が非常に聞き取りにくい、特徴的な音の歪みがあるなどの場合には、就学前に専門家へ相談しておくとよいことがあります。

この記事では、小学校入学までに発音はどのくらい完成するのか、就学前にみられる発音の特徴や、相談を考える目安についてわかりやすく解説します。

子どもの発音は少しずつ完成していく

子どもは、ことばを話し始めたときから大人と同じように発音できるわけではありません。

1〜2歳ごろは使える音がまだ限られており、ことばの一部を省略したり、難しい音を別の音へ置き換えたりすることがあります。

3〜4歳ごろになると使える音が増え、会話も少しずつ聞き取りやすくなります。

さらに5〜6歳ごろになると、多くの音を正しく発音できるようになり、家族以外の人にも話が伝わりやすくなります。

このように、発音は数年かけて少しずつ完成していきます。

小学校入学ごろには多くの音が言えるようになる

小学校へ入学する6歳前後になると、多くの子どもは日本語のさまざまな音を日常会話の中で使えるようになります。

幼いころにみられた大きな音の置き換えや省略も減っていきます。

長いことばも正確に発音できるようになり、初めて会った人にも話の内容が伝わりやすくなります。

そのため、就学前は発音が完成に近づく時期と考えることができます。

ただし、すべての子どもが入学する日までにすべての音を完全に獲得するわけではありません。

発音の発達には個人差があります。

発音が完成する時期には個人差がある

子どもの発音には、おおよその発達時期があります。

しかし、この年齢になったら必ずこの音を言えなければならないという明確な境界があるわけではありません。

同じ5歳でも、すべての音をほぼ正しく言える子どももいれば、一部の音に誤りが残っている子どももいます。

また、同じ音でも単語によって正しく言えたり、間違えたりすることがあります。

年齢だけで判断するのではなく、どのような音を間違えているのか、以前より正しい発音が増えているのかなどを確認することが大切です。

さ行は就学前まで発達が続くことがある

さ行は、子どもにとって比較的難しい音の一つです。

さ・す・せ・そなどを発音するときには、舌と上あごなどの間に狭い隙間を作り、そこへ息を流す必要があります。

舌の位置と空気の流れを細かく調整する必要があるため、幼児期の後半まで発達が続くことがあります。

幼い時期には、

・さかな → たかな
・せみ → てみ
・そら → とら

など、さ行をた行へ置き換えることがあります。

5〜6歳になると正しいさ行を使える子どもが増えてきます。

就学前になってもさ行の誤りが続いている場合には、一度発音の状態を確認してもよいでしょう。

ら行も比較的遅く安定する

ら行も、幼児期の後半まで発達が続くことがある音です。

ら行では、舌先を上の前歯の少し後ろにある歯茎付近へ素早く接触させる必要があります。

幼い子どもでは、この細かな動きが難しく、ら行をだ行などに置き換えることがあります。

例えば、

・らっぱ → だっぱ
・ろうそく → どうそく

などです。

5〜6歳になると、ら行を正しく使える子どもが増えてきます。

一方、単音では言えても、単語や会話では間違えることがあります。

就学前では、正しいら行が出るかだけではなく、日常会話の中で安定して使えているかを見ることも大切です。

入学時に一つの音が言えないと問題?

小学校入学時に一つの音を間違えているからといって、それだけで大きな問題があるとは限りません。

発音の発達には個人差があり、入学前後にも変化することがあります。

例えば、正しい音が時々出るようになっており、以前より誤りが減っているのであれば、発音が発達している途中の場合があります。

一方、一つの音だけでも特徴的な歪みが続いていたり、本人が強く気にしていたりする場合には、相談を検討してもよいでしょう。

音の数だけでなく、誤り方や本人の困りごとを見ることが重要です。

複数の音を間違えている場合は?

就学前になっても複数の音に誤りがある場合には、一度発音全体を確認してもよいでしょう。

例えば、さ行だけではなく、か行、ら行など複数の音が別の音へ置き換わっている場合があります。

誤る音が多くなると、会話全体の聞き取りやすさにも影響します。

家族は子どもの発音に慣れているため理解できても、初めて会った人には伝わりにくいことがあります。

小学校では先生や友達など多くの人と話すようになるため、家族以外の人にどの程度伝わるかも確認しておきたいポイントです。

置き換えと歪みは少し違う

子どもの発音の誤りには、置き換えや省略、歪みなどがあります。

置き換えとは、本来の音を別の日本語の音として発音することです。

例えば、さかなをたかなと言う場合です。

一方、歪みとは、本来の音とも別の日本語の音とも異なる、独特な発音になることです。

舌が歯の間から出ていたり、息が横へ抜けたりすることで、独特な音になる場合があります。

幼児期によくみられる置き換えとは異なり、特徴的な歪みは自然な改善だけでは変化しにくい場合があります。

就学前になっても独特な発音が続いている場合には、言語聴覚士などの専門家へ相談してみてもよいでしょう。

発音が以前より改善しているかを見る

就学前の発音を見るときに大切なのは、現在間違えている音だけではありません。

これまでどのように変化してきたのかも重要です。

例えば、4歳では多くの単語でさ行を間違えていたものの、5歳になって正しく言える単語が増えているのであれば、発音が発達していることがわかります。

反対に、数年間ほとんど同じ誤りが続いている場合には、一度専門家に確認してもらうことを検討できます。

発音の状態を一時点だけで判断せず、変化を見ていきましょう。

単音では言えても会話では間違えることがある

就学前になると、苦手だった音を一つだけなら正しく発音できることがあります。

しかし、単音で言えることと、日常会話で正しく使えることは同じではありません。

例えば、さは正しく言えても、さかなになるとたかなになることがあります。

単語では言えても、文章を読んだり会話したりすると誤った発音へ戻る場合もあります。

正しい発音は、

・単音
・単語
・短い文
・文章
・日常会話

というように、少しずつ使える場面が広がっていきます。

発音が完成しているかを見るときには、日常会話でも自然に使えているかを確認することが大切です。

小学校では話す機会が増える

小学校へ入学すると、幼児期とは生活環境が大きく変わります。

授業では先生の質問に答えたり、自分の考えを発表したりする機会があります。

教科書を音読することもあります。

休み時間には、友達との会話も増えていきます。

発音に誤りがあっても学校生活にほとんど影響しない子どももいます。

一方、何度も聞き返されたり、友達から発音を指摘されたりすることで、本人が話すことを気にする場合があります。

就学前には、発音そのものだけでなく、本人が困っていないかも確認することが大切です。

発音とひらがなの読み書きは関係する?

小学校では、ひらがなの読み書きを本格的に学びます。

読み書きでは、ことばが一つひとつの音からできていることを意識する力が必要になります。

例えば、さかなということばを、さ・か・なという音に分けて考える力です。

発音に誤りがあるからといって、必ず読み書きにも問題が生じるわけではありません。

発音だけに難しさがあり、読み書きを問題なく身につける子どももいます。

一方、発音だけでなく、音を聞き分けることや、ことばを音に分けることにも難しさがある場合には、読み書きの発達についても確認することがあります。

発音と読み書きを単純に結びつけず、子どものことばの力を総合的に見ることが大切です。

入学までに発音を直さなければならない?

就学前に発音の誤りがあると、入学までに絶対に直さなければならないと焦ってしまうことがあります。

しかし、入学という日を発音の期限として考える必要はありません。

大切なのは、現在の発音が自然な発達の途中なのか、専門的な支援を受けたほうがよい状態なのかを確認することです。

発音の誤りがあっても経過を見てよい場合があります。

一方、構音訓練を始めたほうがよい場合には、就学前から取り組むこともあります。

子どもの状態に合わせて考えることが重要です。

5〜6歳は構音訓練を検討しやすい時期

5〜6歳になると、必要に応じて構音訓練を検討することがあります。

この時期になると、専門家の説明を理解したり、自分の舌の位置や動きを意識したりできる子どもが増えてきます。

一定時間、発音の課題に取り組むこともできるようになります。

そのため、幼い時期より構音訓練を進めやすくなる場合があります。

ただし、5歳になったら全員が訓練を始めるわけではありません。

発音の誤り方、自然な改善の有無、本人の困りごと、課題への取り組みやすさなどを確認して判断します。

家庭で無理に練習する必要はない

就学が近づくと、家庭で発音を直してあげたいと思うこともあるでしょう。

しかし、正しい音の作り方を身につけていない状態で、苦手なことばを何度も繰り返させる必要はありません。

例えば、さかなをたかなと言っている子どもに、さかなと何度も言わせても、舌の使い方が変わらなければ正しいさ行にはならないことがあります。

また、発音を頻繁に訂正されることで、子どもが話すことを嫌がる可能性もあります。

家庭では、発音の正確さよりも、子どもが伝えようとしている内容を受け止めることを大切にしましょう。

必要な練習については、専門家に相談してから行う方法があります。

小学校にはことばの教室がある場合も

地域によっては、小学校にことばの教室などと呼ばれる通級指導教室があります。

発音の誤りや吃音、ことばの課題などについて支援を受けられる場合があります。

すべての小学校に設置されているわけではなく、対象となる子どもや利用方法も地域によって異なります。

在籍している学校とは別の学校へ通う場合もあります。

就学前から発音について心配がある場合には、自治体の就学相談や教育委員会などへ相談し、地域にどのような支援があるのか確認しておく方法もあります。

就学前に専門家への相談を考えたい場合

小学校入学までに発音が完全に完成していなくても、それだけで問題とは限りません。

一方、次のような場合には、就学前に一度相談してみてもよいでしょう。

・複数の音に発音の誤りが残っている
・会話全体がかなり聞き取りにくい
・家族以外の人から頻繁に聞き返される
・発音の誤りが長期間ほとんど変化していない
・特徴的な音の歪みがある
・舌が歯の間から出るような発音が続いている
・息が横へ抜けるような独特な発音がある
・本人が自分の発音を気にしている
・友達から発音を指摘されて困っている
・人前で話すことを避けている
・ことばの理解や表現にも気になる点がある
・聞こえについて心配がある
・就学後の発音について保護者が心配している

相談先としては、言語聴覚士がいる医療機関や療育機関、自治体の発達相談などがあります。

就学に関する支援については、自治体や教育委員会などへ相談する方法もあります。

まとめ

子どもの発音は幼児期を通して少しずつ発達し、5〜6歳ごろになると多くの音が正しく言えるようになります。

そのため、小学校へ入学するころには発音はかなり完成に近づいていると考えられます。

一方、発音の発達には個人差があり、入学時点で一部の音に誤りが残っていることもあります。

一つの音が言えないだけで、必ず構音障害と判断することはできません。

どのような音を間違えているのか、以前より改善しているか、会話が周囲の人に伝わるか、本人が困っているかなどを総合的に見ることが大切です。

特に、複数の音に誤りがある、特徴的な歪みがある、長期間発音が変化していない、本人が発音を気にしているといった場合には、就学前に専門家へ相談することを検討してもよいでしょう。

入学までに必ず発音を直さなければならないと考えるのではなく、その子どもの発音の状態に合った対応を考えていくことが大切です。

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