さ行は何歳から言える?
子どもの発音について、さかながたかなになる、せんせいがてんていのように聞こえるなど、さ行が気になることがあります。
さ行は、日本語の音の中でも比較的遅い時期まで発達が続く音の一つです。
そのため、幼い子どもがさ行をうまく言えなくても、発音の発達途中としてみられる場合があります。
一方、5〜6歳ごろになってもさ行の誤りが続いている場合や、独特な歪みがある場合には、一度専門家へ相談してもよいでしょう。
この記事では、さ行は何歳ごろから言えるようになるのか、さ行が難しい理由、子どもによくみられる発音の誤り、相談を考える目安についてわかりやすく解説します。
さ行は比較的遅く身につく音
子どもは、日本語のすべての音を同じ時期に身につけるわけではありません。
ま行やぱ行など比較的早くから使える音がある一方で、さ行のように正しく発音できるようになるまで時間がかかる音もあります。
さ行は、舌の位置や空気の流れを細かく調整する必要があるため、幼児期の後半まで発達が続くことがあります。
3〜4歳ごろでは、まださ行を正しく言えない子どももいます。
5〜6歳ごろになると、日常会話の中でも正しいさ行を使える子どもが増えてきます。
ただし、発音を獲得する時期には個人差があります。
さ行は何歳ごろから言える?
さ行の獲得年齢については、研究や評価方法によって多少違いがあります。
一般的には、さ行は幼児期の後半にかけて安定してくる音と考えられています。
おおよその目安としては、4〜5歳ごろから正しく言える子どもが増え、5〜6歳ごろにかけて安定していきます。
ただし、4歳でさ行が言えないから構音障害、5歳になったら必ず言えなければならない、と単純に判断することはできません。
正しく言える単語が増えているか、以前より誤りが減っているかなど、発音の変化も大切です。
さ行にはいくつかの音がある
一般的にさ行と呼ばれるものには、
・さ
・し
・す
・せ
・そ
があります。
これらはすべて同じ方法で作られているわけではありません。
特に、しは、さ・す・せ・そとは舌の位置などが異なります。
そのため、さは言えるけれど、しがうまく言えないということもあります。
反対に、しは比較的言いやすいものの、さ・す・せ・そがうまく言えない場合もあります。
さ行が言えるかどうかを見るときには、さだけで判断するのではなく、それぞれの音を確認することが大切です。
さ行はどのように作る?
さ・す・せ・そを発音するときには、舌を上の前歯の少し後ろに近づけます。
このとき、舌を上あごへ完全につけるのではなく、狭い隙間を残します。
その狭い隙間へ息を通すことで、さ行特有の摩擦するような音が生まれます。
このように、狭い隙間から空気を流して作る音を摩擦音といいます。
舌が上あごについてしまったり、舌の位置がずれたりすると、正しいさ行になりません。
舌の位置だけでなく、空気を中央からまっすぐ出すことも必要です。
なぜ、さ行は難しいの?
さ行が難しい大きな理由は、舌と空気の細かなコントロールが必要だからです。
例えば、ぱでは唇を閉じてから開くことで音を作ることができます。
一方、さ行では舌を上あごにつけず、非常に狭い隙間を保たなければなりません。
さらに、その隙間へ一定の空気を流します。
舌が少しずれたり、隙間が広すぎたり狭すぎたりするだけでも、正しい音にならないことがあります。
幼い子どもにとって、このような細かな調整は難しいため、さ行は比較的遅い時期まで発達が続きます。
さ行がた行になることがある
子どもの発音では、さ行をた行として発音することがあります。
例えば、
・さかな → たかな
・せみ → てみ
・そら → とら
などです。
さ行では舌と上あごの間に隙間を作りますが、た行では舌を上あご付近につけて空気を一度止めます。
子どもにとっては、狭い隙間を維持するより、舌をつけて音を作るほうが簡単な場合があります。
そのため、まださ行を作れない時期に、より発音しやすいた行へ置き換えることがあります。
幼児期には発達過程としてみられることがあります。
さ行が別の音になる場合もある
さ行の誤りは、た行への置き換えだけではありません。
子どもによっては、さ行がしゃ行に近く聞こえたり、別の音へ置き換わったりすることがあります。
また、正しいさ行とも他の日本語の音とも異なる、独特な発音になることもあります。
発音の誤り方によっては、発達途中として経過を見る場合と、専門家による評価を検討する場合があります。
家庭で誤りの種類を正確に判断する必要はありません。
どのように聞こえるのかを覚えておき、相談するときに伝えるとよいでしょう。
舌が前に出る発音もある
さ行を発音するときに、舌が前歯より前へ出てしまう子どももいます。
舌が前方へ出ると、息の流れ方が変わり、正しいさ行とは異なる音に聞こえることがあります。
このような発音は、単純なた行への置き換えとは異なる特徴的な歪みとしてみられることがあります。
舌がいつも歯の間から見えている、さ行だけ独特な音になるなどの特徴がある場合には、一度専門家へ相談してみてもよいでしょう。
舌の位置や歯並び、口腔内の状態なども確認することがあります。
息が横から出る発音もある
さ行などを発音するときに、本来中央から流れるはずの息が舌の横から出る場合があります。
このような発音では、独特な濁った音や不明瞭な音として聞こえることがあります。
発音の誤りが単純な音の置き換えではなく、息の流れる方向に特徴がある場合には、自然な発達だけでは改善しにくいこともあります。
家庭で息の方向を判断することは難しいため、独特な発音が長く続いている場合には言語聴覚士などへ相談するとよいでしょう。
4歳でさ行が言えなくても大丈夫?
4歳でさ行が正しく言えない場合でも、必ずしも問題があるとは限りません。
さ行は比較的遅くまで発達する音であり、4歳ではまだ正しい音を獲得している途中の子どももいます。
特に、以前はすべてた行になっていたものの、最近は正しく言える単語が出てきたなど、変化がみられている場合には発達途中の可能性があります。
一方、さ行だけでなく複数の音に誤りがあり、会話全体がかなり聞き取りにくい場合には、発音全体について相談してもよいでしょう。
年齢と一つの音だけで判断しないことが大切です。
5歳でさ行が言えない場合は?
5歳ごろになると、さ行を正しく使える子どもが増えてきます。
一方、5歳でもまださ行に誤りが残っている子どもはいます。
正しい音が時々出るようになっている、誤りが少しずつ減っているなどの変化がある場合には、その後の発達を確認することがあります。
反対に、さ行がまったく出ない状態が続いている場合や、独特な歪みがみられる場合には、一度専門家へ相談することを検討してもよいでしょう。
本人が発音を気にしているかどうかも大切なポイントです。
6歳・就学前でもさ行が言えない場合
6歳ごろになってもさ行の誤りが続いている場合には、言語聴覚士などの専門家へ相談することを検討しましょう。
就学後は、授業で音読や発表をする機会が増えます。
また、ひらがなの読み書きなどを通して、ことばを一つひとつの音として意識する機会も増えてきます。
さ行が言えないから必ず学習に問題が生じるわけではありません。
しかし、就学前に発音の状態を確認し、経過を見てよいのか、構音訓練を検討したほうがよいのかを確認しておくとよいでしょう。
単音では言えるのに単語では言えないこともある
子どもが、さという音だけなら正しく言えるのに、さかなになるとたかなと言ってしまうことがあります。
これは珍しいことではありません。
一つの音だけを意識して発音する場合と、複数の音を続けて単語として発音する場合では難しさが異なります。
さらに、単語では正しく言えても、会話になると間違えることもあります。
正しいさ行を身につける過程では、
・単音で言える
・単語で言える
・短い文で言える
・文章で言える
・日常会話で自然に言える
というように、少しずつ使える場面が広がっていくことがあります。
家庭で、さを何度も言わせたほうがいい?
子どもがさ行を間違えていると、家庭で繰り返し練習したほうがよいのではないかと考えることがあります。
しかし、正しいさ行の作り方を身につけていない状態で、さ、さ、さと何度も言わせても、正しい音が出るとは限りません。
誤った舌の使い方で繰り返すことになる場合もあります。
また、会話のたびに発音を指摘されると、子どもが話すことを負担に感じることがあります。
日常生活では、発音を間違えるたびに訂正する必要はありません。
例えば、子どもがたかなと言った場合には、そうだね、さかながいるね、などと、大人が自然に正しい発音を返す方法があります。
構音訓練ではどのようなことをする?
さ行の構音訓練が必要な場合には、まず現在どのように発音しているのかを確認します。
そのうえで、正しい舌の位置や息の出し方を練習していきます。
正しい音が作れるようになったら、徐々に実際のことばへ広げます。
一般的には、
・正しい音を作る
・単音で安定させる
・単語で練習する
・文で練習する
・会話で使えるようにする
というように段階的に進めます。
子どもの状態によって練習方法や進め方は異なります。
自己流で舌の位置を直そうとするより、必要な場合には専門家から適切な方法を教えてもらうとよいでしょう。
さ行について相談を考える目安
さ行は比較的遅くまで発達するため、幼い時期の誤りだけで過度に心配する必要はありません。
一方、次のような場合には専門家への相談を検討してもよいでしょう。
・5〜6歳になってもさ行の誤りが続いている
・就学前になってもさ行がほとんど言えない
・発音が長期間ほとんど変化していない
・さ行だけ独特な音に聞こえる
・舌が歯の間から出るような発音が続いている
・息が横へ抜けているような独特な発音がある
・さ行以外にも複数の音を間違えている
・家族以外の人に話が伝わりにくい
・本人が発音を気にしている
・発音を理由に話すことを避けている
発音については、言語聴覚士がいる医療機関や療育機関、自治体の発達相談などで相談できる場合があります。
就学後は、地域によってことばの教室などで相談できることもあります。
まとめ
さ行は、日本語の音の中でも比較的遅い時期まで発達が続く音の一つです。
一般的には4〜5歳ごろから正しく言える子どもが増え、5〜6歳ごろにかけて日常会話でも安定していきます。
ただし、発音の発達には個人差があるため、年齢だけで構音障害かどうかを判断することはできません。
幼い時期には、さかなをたかなのように、さ行をた行へ置き換えることがあります。
一方、舌が前へ出る、息が横へ抜けるなど、特徴的な歪みがみられる場合には専門家への相談を検討することがあります。
発音を見るときには、現在さ行が言えるかだけでなく、以前より正しい発音が増えているか、会話でどの程度伝わっているか、本人が困っていないかなども確認することが大切です。
5〜6歳になってもさ行の誤りが続いている場合や、就学前になっても気になる発音がある場合には、言語聴覚士などへ相談してみるとよいでしょう。

