子どもは何歳でどの音を言えるようになる?

子どもの発音を聞いていると、さ行がうまく言えない、ら行を間違えるなど、特定の音が気になることがあります。

周りの同じ年齢の子どもが正しく発音していると、うちの子は遅いのではないかと心配になることもあるでしょう。

しかし、日本語のすべての音が同じ時期に言えるようになるわけではありません。

比較的早く身につく音もあれば、正しく発音できるようになるまで時間がかかる音もあります。

また、音を獲得する時期には個人差があるため、何歳になったら必ずこの音を言えなければならないというものではありません。

この記事では、子どもが何歳ごろにどの音を言えるようになるのか、発音の発達時期の目安や、発音について相談を考えるポイントをわかりやすく解説します。

発音は少しずつ完成していく

子どもは、ことばを話し始めたときから日本語のすべての音を正しく発音できるわけではありません。

最初は自分が作りやすい音を使いながら、少しずつ使える音を増やしていきます。

発音するためには、舌や唇、あごなどを適切な位置へ動かし、声や息と組み合わせる必要があります。

音によって必要な動きの難しさが異なるため、獲得する時期にも違いがあります。

一般的には、比較的作りやすい音から身につき、舌の細かな動きや空気の調整が必要な音は遅れて完成していきます。

日本語の音を身につける時期には個人差がある

子どもの発音について考えるときに大切なのは、年齢はあくまで目安だということです。

同じ4歳でも、ほとんどの音を正しく発音できる子どももいれば、さ行やら行などに誤りが残っている子どももいます。

また、ある音を一度正しく言えたからといって、すぐに日常会話でも正しく使えるようになるわけではありません。

単音では言えても単語では間違えたり、単語では言えても会話になると間違えたりすることがあります。

発音は少しずつ安定しながら完成していきます。

何歳でどの音を言えるようになる?

日本語の構音発達については、研究や資料によって獲得年齢の区分に多少の違いがあります。

そのため、次の年齢は厳密な基準ではなく、おおよその目安として考えてください。

2〜3歳ごろ

この時期には、比較的作りやすい音から少しずつ安定してきます。

例えば、

・ぱ行
・ば行
・ま行
・や行
・わ行

などは比較的早い時期から使われます。

ただし、2〜3歳では発音そのものがまだ大きく発達している途中です。

同じことばでも毎回発音が違ったり、ことばの一部を省略したりすることもあります。

3〜4歳ごろ

3〜4歳ごろになると、さらに多くの音が安定してきます。

例えば、

・た行
・だ行
・な行
・か行
・が行

などが少しずつ正しく使えるようになります。

幼い時期には、か行をた行に置き換えることがあります。

例えば、かめをためのように発音する場合があります。

発達とともに舌の奥を使えるようになることで、か行も正しく発音できるようになっていきます。

4〜5歳ごろ

4〜5歳ごろになると、発音できる音の種類がさらに増え、会話もかなり聞き取りやすくなります。

例えば、

・は行
・ひの音
・ちゃ、ちゅ、ちょなどの音

なども安定してきます。

一方で、まだ一部の音には誤りが残ることがあります。

家族以外の人にも話がかなり伝わるようになってくる時期です。

5〜6歳ごろ

5〜6歳ごろになると、子どもの発音はかなり完成に近づいてきます。

比較的遅い時期まで発達が続く音として、

・さ行
・ざ行
・ら行
・つ

などがあります。

例えば、さかなをたかなと発音したり、ら行を別の音として発音したりすることがあります。

幼児期にはみられることがありますが、就学前になっても同じ誤りが続いている場合には、一度専門家へ相談してみてもよいでしょう。

発音の発達時期を一覧で確認

おおよその発達時期を整理すると、次のようになります。

・2〜3歳ごろ:ぱ行・ば行・ま行・や行・わ行など
・3〜4歳ごろ:た行・だ行・な行・か行・が行など
・4〜5歳ごろ:は行・ひ・ちゃ、ちゅ、ちょなど
・5〜6歳ごろ:さ行・ざ行・ら行・つなど

ただし、この一覧はすべての子どもに当てはまるものではありません。

研究によって獲得年齢の示し方も異なり、同じ音でも単語や前後の音によって発音の難しさが変わります。

この年齢になったのに言えないから異常と判断するための表ではなく、発音の発達を見るためのおおよその目安として利用しましょう。

なぜ音によって言える年齢が違うの?

音によって獲得する年齢が異なる理由の一つは、音を作る方法が違うためです。

例えば、ま行は左右の唇を閉じることで作ります。

一方、さ行では、舌を適切な位置に保ちながら狭い隙間を作り、その隙間へ息を流す必要があります。

ら行では、舌先を上あご付近へ素早く接触させる必要があります。

このように、音によって必要となる舌や唇の動きが異なります。

細かな調整が必要な音ほど、正しく発音できるようになるまで時間がかかることがあります。

早く言える音と遅く言える音がある

子どもの発音では、唇などを使って比較的作りやすい音が早くから現れる傾向があります。

そのため、まま、ぱぱ、ばいばいなどのことばは幼い時期から使われることがあります。

一方、さ行やら行などは、舌の位置を細かく調整する必要があります。

幼児期の後半まで発達が続くことがあるため、3〜4歳で正しく言えなくても、それだけで構音障害と判断することはできません。

どの音を間違えているのかだけでなく、その子どもの年齢を考えることが大切です。

正しく言えない音は別の音に置き換えることがある

まだ正しく作れない音があると、子どもは自分が言いやすい別の音を使うことがあります。

例えば、

・さかな → たかな
・かめ → ため

などです。

このような発音の誤りを音の置き換えといいます。

幼児期には、発音の発達過程として音の置き換えがみられることがあります。

正しい音を作れるようになるにつれて、少しずつ置き換えが減っていきます。

音の省略がみられることもある

発音の発達途中では、本来ある音を発音せず、省略することもあります。

特に幼い子どもでは、長いことばや複雑な音の並びをそのまま再現することが難しいことがあります。

このような誤りも、成長とともに使える音が増え、ことばの音の並びを扱う力が発達することで減っていくことがあります。

年齢だけでなく、以前と比べて省略が減っているかを見ることも大切です。

同じ音でも言えたり言えなかったりする

発音の発達途中では、同じ音でも正しく言える場合と間違える場合があります。

例えば、さという音だけなら正しく言えても、さかなではたかなになってしまうことがあります。

また、単語では正しく言えても、会話になると誤った発音へ戻ることもあります。

音の前後にどのような音があるかによっても、発音の難しさは変わります。

そのため、一度正しく言えたから完全に獲得した、一度間違えたから発音できないと判断することはできません。

発音の完成は単音だけで判断しない

子どもが音を獲得したかどうかを見る場合には、単音だけでなく、実際のことばや会話で使えているかを見ることが重要です。

発音は一般的に、

・正しい音が出る
・単音で安定する
・単語で使える
・文で使える
・日常会話でも自然に使える

というように、少しずつ定着していきます。

構音訓練でも、正しい音を作れるようになったあと、単語や文、会話へと段階的に練習を進めることがあります。

年齢より発音の変化を見ることも大切

何歳でどの音が言えるのかという目安は、子どもの発音を見るうえで参考になります。

しかし、年齢だけで判断するのではなく、発音が少しずつ変化しているかを見ることも重要です。

例えば、4歳でさ行を間違えていても、以前より正しく言える単語が増えている場合には、発音が発達している途中と考えられることがあります。

反対に、長い期間まったく同じ発音が続いている場合には、一度状態を確認してもよいでしょう。

子どもの発音を見るときには、現在の状態だけではなく、これまでの変化も確認します。

年齢に合わない発音の誤りが続く場合

幼い時期には自然にみられる発音の誤りでも、年齢が上がってから続いている場合には、専門家への相談を検討することがあります。

例えば、比較的早い時期に獲得される音が年齢が上がっても正しく言えない場合や、複数の音に誤りが残っている場合です。

また、発音が不明瞭で家族以外の人に話が伝わりにくい場合にも相談を考えます。

年齢と音の種類を組み合わせて考えることが大切です。

特徴的な歪みは年齢にかかわらず相談してもよい

子どもの発音の誤りには、発達途中でよくみられる置き換えだけでなく、歪みがみられることがあります。

歪みとは、正しい音とも別の日本語の音とも異なる、独特な音になることです。

例えば、さ行を発音しようとしているものの、一般的なさ行とは違う独特な音として聞こえることがあります。

特徴的な歪みが定着している場合には、単純に年齢が上がるのを待つのではなく、専門家へ相談することがあります。

家庭で歪みかどうかを正確に判断する必要はありません。

独特な発音が続いていると感じた場合には相談してみてもよいでしょう。

家庭で発音を何度も練習させる必要はない

発音の発達時期を知ると、そろそろこの音を言えるようにしなければならないと考えることがあります。

しかし、年齢の目安をもとに家庭で無理に練習させる必要はありません。

まだ正しい音を作る準備が整っていない場合には、何度同じことばを言わせても改善しないことがあります。

また、発音を間違えるたびに訂正すると、子どもが話すことに苦手意識を持つ可能性があります。

普段の会話では、発音の正確さだけに注目せず、子どもが何を伝えようとしているのかを大切にしましょう。

専門家への相談を考える目安

発音の発達には個人差がありますが、次のような場合には言語聴覚士などの専門家への相談を検討してもよいでしょう。

・年齢から考えて獲得が期待される音に誤りが続いている
・発音の誤りが長期間ほとんど変化していない
・複数の音を正しく発音できない
・会話全体がかなり聞き取りにくい
・家族以外の人から何度も聞き返される
・特徴的な音の歪みがある
・本人が自分の発音を気にしている
・発音を理由に話すことを避けている
・聞こえについても気になる
・口や舌などの形態や動きが気になる
・就学前になっても発音について心配がある

相談したからといって、必ず構音訓練を始めるわけではありません。

現在の発音が発達途中なのか、経過を見てよいのか、訓練を検討したほうがよいのかを確認することができます。

まとめ

子どもの発音は、すべての音が同時に完成するわけではありません。

比較的作りやすい、ぱ行、ば行、ま行などは早い時期から使われ、舌や空気の流れを細かく調整する、さ行、ら行などは幼児期の後半まで発達が続くことがあります。

おおよその目安として、2〜3歳、3〜4歳、4〜5歳、5〜6歳と成長するにつれて、正しく発音できる音が少しずつ増えていきます。

ただし、音の獲得時期には個人差があり、年齢だけで構音障害かどうかを判断することはできません。

どの音を間違えているのか、以前より発音が改善しているか、家族以外の人にも話が伝わるか、本人が困っていないかなどを総合的に見ることが大切です。

発音の誤りが長く続いている場合や、特徴的な歪みがある場合、就学前になっても発音が気になる場合には、言語聴覚士などの専門家へ相談することも検討しましょう。

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