聞こえにくいとどんな困りごとが起こる?
「少し聞こえにくいだけだから、大丈夫。」
「年齢のせいだから仕方ない。」
このように考えて、聞こえにくさをそのままにしている方は少なくありません。
しかし、聞こえにくさは単に「音が聞こえない」という問題だけではなく、会話や仕事、学校生活、人とのつながりなど、さまざまな場面に影響を及ぼします。
聞こえにくさの程度や原因によって困りごとは異なりますが、早めに気づき、適切な支援を受けることで生活しやすくなることもあります。
この記事では、聞こえにくいことで起こりやすい困りごとについて、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
会話が聞き取りにくくなる
最も多い困りごとは、人との会話が聞き取りにくくなることです。
例えば、
- 相手の話を何度も聞き返してしまう
- 小さな声が聞き取りにくい
- 複数人での会話についていけない
- 電話での会話が難しい
といったことが起こります。
特に周囲が騒がしい場所では、聞き取りにくさがさらに強くなることがあります。
聞こえていても言葉が分からないことがある
聴覚障害では、「音は聞こえるけれど、何と言っているか分からない」ということがあります。
例えば、相手が話していることは分かるものの、「かき」と言ったのか、「たき」と言ったのか区別できないことがあります。
そのため、「聞こえているのに理解できない」という困りごとにつながります。
これは特に感音難聴でよくみられる特徴です。
学校や仕事で困ることがある
聞こえにくさは、学習や仕事にも影響します。
例えば、
学校では
- 先生の説明が聞き取りにくい
- 友達との会話に入りづらい
- グループ活動についていけない
などがあります。
職場では
- 会議の内容が分かりにくい
- 電話対応が難しい
- 指示を聞き間違えてしまう
といった困りごとがみられることがあります。
家庭での困りごと
家庭でも、
- 家族との会話が減る
- 呼びかけに気づかない
- テレビの音量が大きくなる
- インターホンや電話に気づきにくい
などのことが起こります。
家族から、「返事をしてくれない」と思われても、実際には聞こえていないこともあります。
そのため、家族の理解もとても大切です。
外出時の危険が増える
聞こえにくさは、安全面にも影響します。
例えば、
- 車や自転車の接近に気づきにくい
- 踏切や警報音が聞こえにくい
- 駅や空港のアナウンスを聞き逃す
- 災害時の避難放送が聞こえない
などがあります。
音による情報が得られないことで、危険を避けにくくなる場合があります。
疲れやすくなる
聞こえにくい方は、相手の話を理解するために多くの集中力を使っています。
- 相手の口の動きを見る
- 前後の話から内容を予測する
- 聞き取れなかった部分を推測する
といったことを無意識に繰り返しているため、会話のあとに強い疲労感を感じることがあります。
「最近、人と話すと疲れる」という方は、聞こえの影響が関係しているかもしれません。
人との交流が減ることもある
聞き返すことが増えると、「迷惑をかけたくない」「会話についていけない」と感じ、人との交流を避けるようになる方もいます。
すると、
- 外出の機会が減る
- 趣味を楽しめなくなる
- 地域活動へ参加しなくなる
など、生活の範囲が狭くなってしまうことがあります。
子どもでは言葉の発達へ影響する
子どもの場合、十分に音声を聞き取れない状態が続くと、
- 言葉を覚えにくい
- 発音が不明瞭になる
- コミュニケーションが難しくなる
ことがあります。
そのため、早期発見・早期支援がとても重要です。
一人で悩まないことが大切
聞こえにくさは、周囲から見えにくい障害です。
そのため、「ちゃんと聞いていない」「返事をしない」などと誤解されることもあります。
しかし、適切な治療や補聴器、人工内耳、聴覚リハビリテーション、周囲の配慮によって、多くの困りごとは軽減できます。
困ったことがあれば、一人で抱え込まず、耳鼻咽喉科医や言語聴覚士へ相談しましょう。
まとめ
聞こえにくさによって、
- 会話が聞き取りにくい
- 学校や仕事で困る
- 家庭でのコミュニケーションが減る
- 外出時の危険が増える
- 疲れやすくなる
- 人との交流が減る
など、さまざまな困りごとが起こることがあります。
しかし、早めに聞こえの状態を確認し、自分に合った治療や補聴器、人工内耳、リハビリテーションなどを活用することで、生活しやすくなることが期待できます。
「少し聞こえにくいだけ」と我慢せず、気になる症状があれば早めに耳鼻咽喉科へ相談しましょう。

