難聴の程度(軽度・中等度・高度・重度)の違い
「軽度難聴と言われましたが、補聴器は必要ですか?」
「高度難聴と重度難聴では何が違うのでしょうか?」
耳鼻咽喉科で難聴と診断されると、このような疑問を持つ方は少なくありません。
難聴は、「聞こえる」「聞こえない」の二択ではなく、聞こえにくさの程度によって分類されています。
難聴の程度を知ることで、自分の聞こえの状態や、必要な治療・支援について理解しやすくなります。
この記事では、難聴の程度について、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
難聴の程度はどのように決まる?
難聴の程度は、純音聴力検査で測定した聴力レベル(dBHL)をもとに判断します。
一般的な分類は次のとおりです。
- 正常:25dBHL以下
- 軽度難聴:26~40dBHL
- 中等度難聴:41~70dBHL
- 高度難聴:71~90dBHL
- 重度難聴:91dBHL以上
ただし、この数値だけで生活の困りごとが決まるわけではありません。
聞こえ方や言葉の聞き取りやすさ、生活環境なども合わせて評価します。
軽度難聴
軽度難聴では、静かな場所での日常会話は比較的聞き取れることが多くあります。
しかし、
- 小さな声が聞き取りにくい
- 離れた人の声が分かりにくい
- テレビの音量を少し大きくする
- 騒がしい場所では会話が難しい
といった困りごとがみられることがあります。
周囲からは気づかれにくく、「聞こえているはず」と思われてしまうことも少なくありません。
中等度難聴
中等度難聴になると、日常生活への影響が大きくなります。
例えば、
- 普通の会話でも聞き返すことが増える
- 電話での会話が難しい
- 会議や学校の授業で聞き取りにくい
- テレビの音量がかなり大きくなる
などの困りごとがみられます。
この程度になると、補聴器の使用を検討する方も多くなります。
高度難聴
高度難聴では、大きな声でも聞き取りが難しくなることがあります。
会話だけでなく、
- 呼びかけに気づきにくい
- インターホンや電話の音が聞こえにくい
- 外出時の車や自転車の接近に気づきにくい
など、安全面への影響も大きくなります。
補聴器を使用することが多く、必要に応じて人工内耳について検討する場合もあります。
重度難聴
重度難聴では、非常に大きな音でも聞こえにくい状態になります。
会話だけでなく、
- 大きな音への反応が少ない
- 音だけではコミュニケーションが難しい
- 読話(口の動きを読むこと)や筆談、手話などを併用することがある
など、聞こえ以外のコミュニケーション方法も重要になります。
人工内耳が適応となる方もいます。
子どもでは言葉の発達にも影響する
難聴の程度は、大人だけでなく子どもの発達にも大きく関係します。
特に中等度以上の難聴では、十分に音声を聞き取れないため、言葉の発達へ影響することがあります。
そのため、
- 新生児聴覚スクリーニング
- 定期健診
- 早期の補聴器装用
- 人工内耳
- 言語聴覚士による療育
など、早期発見・早期支援がとても大切です。
聴力だけでは困りごとは分からない
同じ「中等度難聴」でも、
- 会話にあまり困らない人
- 日常生活で大きな支障がある人
がいます。
これは、
- 言葉を聞き取る力
- 年齢
- 仕事や学校の環境
- 周囲の騒音
- 両耳か片耳か
などによって、困りごとが異なるためです。
そのため、医師や言語聴覚士は、検査結果だけでなく生活全体を見ながら支援方法を考えます。
補聴器は軽度難聴でも必要?
「軽度だから補聴器はいらない」とは限りません。
仕事で会話が多い方や、学校で授業を受ける子どもでは、軽度難聴でも聞き取りに困ることがあります。
一方で、聴力だけでなく生活の状況を考慮して、「今は経過観察」という場合もあります。
補聴器が必要かどうかは、一人ひとり異なるため、耳鼻咽喉科医や言語聴覚士と相談しながら決めることが大切です。
まとめ
難聴は、聞こえにくさの程度によって、
- 軽度難聴
- 中等度難聴
- 高度難聴
- 重度難聴
に分類されます。
難聴が進むほど生活への影響は大きくなりますが、困りごとは聴力だけで決まるわけではありません。
補聴器や人工内耳、聴覚リハビリテーションなどを適切に活用することで、聞こえを支援できる場合があります。
聞こえにくさを感じたら早めに耳鼻咽喉科を受診し、自分に合った治療や支援について相談しましょう。

