吃音は病気なの?障害なの?
吃音は「病気」ではなく「障害」と考えられています
「吃音は病気なのでしょうか。それとも障害なのでしょうか。」
これは、吃音について初めて知る方からよく寄せられる質問です。
結論からいうと、吃音は一般的に「コミュニケーション障害(発話の流暢性障害)」の一つと考えられています。
風邪や肺炎のように薬で治る病気ではなく、話し方の流れ(流暢性)に困難が生じる状態です。
「病気」と「障害」の違い
病気と障害は似たように使われることがありますが、意味は少し異なります。
一般的に病気とは、
- 細菌やウイルスによる感染
- 炎症
- がん
- 糖尿病
など、身体の機能に異常が生じ、治療の対象となるものを指します。
一方、障害とは、身体や脳の働きに何らかの特徴や困難があり、それによって日常生活や社会生活に影響が生じる状態を指します。
吃音は後者に当てはまり、話すことに困難が生じるコミュニケーション障害として位置づけられています。
吃音は本人の努力不足ではない
昔は、
- 緊張しやすいから
- 性格が弱いから
- 親の育て方が悪いから
などと考えられていた時代もありました。
しかし現在では、そのような考え方は否定されています。
近年の研究では、
- 脳の言語ネットワークの働き
- 遺伝的要因
- 発達
など、複数の要因が関係していることがわかってきました。
そのため、本人が努力すれば治るものでも、気持ちの問題でもありません。
障害だからといって「話せない」わけではない
障害という言葉を聞くと、「全く話せない」とイメージする人もいるかもしれません。
しかし、吃音のある人の多くは、
- 話したい内容を理解している
- 言葉を知っている
- 会話そのものはできる
という特徴があります。
困っているのは「何を話すか」ではなく、「どのように話すか」という部分です。
そのため、知的能力や理解力とは直接関係ありません。
障害があるからこそ支援が大切
吃音は障害であるため、「話し方を直す」ことだけが目標ではありません。
例えば、
- 学校で安心して発表できる
- 電話への苦手意識を減らす
- 面接で自分らしく話せる
- 周囲が正しく理解する
など、生活しやすい環境を整えることも重要です。
言語聴覚士による支援や、学校・職場での配慮によって、本人の負担を軽減できる場合があります。
「障害」という言葉に抵抗を感じる人もいる
一方で、障害という言葉に抵抗を感じる当事者もいます。
「障害ではなく個性だと思う」
「障害と呼ばれたくない」
という考え方の人もいれば、「障害として理解されることで必要な支援を受けやすくなる」と考える人もいます。
感じ方は人それぞれであり、どちらが正しいというものではありません。
大切なのは、本人の考え方や希望を尊重することです。
社会の理解も重要
吃音による困りごとは、話し方そのものだけではありません。
例えば、
- 話し終わる前に言葉を補われる
- 笑われたり真似をされたりする
- 「ゆっくり話せばいい」と繰り返し言われる
など、周囲の対応によってつらい思いをすることもあります。
そのため、吃音を正しく理解し、最後まで話を聞く姿勢や、安心して話せる環境づくりがとても大切です。
まとめ
吃音は風邪のような病気ではなく、話し方に困難が生じるコミュニケーション障害の一つです。
本人の努力不足や性格が原因ではなく、脳の働きや発達、遺伝など複数の要因が関係すると考えられています。
障害という言葉の受け止め方は人それぞれですが、何より大切なのは、吃音のある人が安心して話せる環境を社会全体でつくっていくことです。

