緊張すると吃音がひどくなるのはなぜ?
緊張は吃音の原因ではありません
「人前に出るとどもってしまう。」
「電話になると急に話せなくなる。」
このような経験から、「吃音は緊張が原因なのでは?」と思われることがあります。
しかし、現在では、緊張そのものが吃音の原因ではないと考えられています。
吃音は、脳の働きや遺伝、発達など複数の要因が関係するコミュニケーション障害です。
一方で、緊張によって症状が強くなることはよくあります。
つまり、緊張は吃音を引き起こす原因ではなく、症状を強める要因の一つなのです。
緊張すると体にはどんな変化が起こる?
人は緊張すると、無意識のうちに体が反応します。
例えば、
- 呼吸が浅くなる
- 心拍数が上がる
- 筋肉がこわばる
- 口や喉に力が入る
- 声が出しにくくなる
などの変化が起こります。
話すためには、呼吸や声帯、舌、唇などがスムーズに連携する必要があります。
緊張によってこれらの動きがぎこちなくなることで、吃音の症状が目立ちやすくなると考えられています。
「どもるかもしれない」という不安も影響する
吃音のある人は、
「また詰まったらどうしよう。」
「笑われたら嫌だ。」
「失敗したくない。」
という不安を感じることがあります。
このような気持ちが強くなると、話すことを必要以上に意識してしまいます。
すると、
- 話すタイミングが取りにくくなる
- 口や喉に力が入りやすくなる
- 呼吸が乱れる
などが重なり、さらに話しにくくなることがあります。
話しにくくなりやすい場面
緊張しやすい場面では、吃音が目立つことがあります。
例えば、
- 自己紹介
- 学校での発表
- 面接
- 電話
- 注文
- 会議での発言
- 初対面の人との会話
などです。
これらの場面では、「失敗できない」という気持ちが強くなりやすく、吃音が出やすくなることがあります。
リラックスした場面では話しやすいこともある
一方で、
- 家族との会話
- 仲の良い友人との会話
- 独り言
- 歌を歌う
- ペットに話しかける
などでは、比較的スムーズに話せる人もいます。
このことから、「普通に話せるときもあるのだから、気持ちの問題では?」と思われることがあります。
しかし、これは気持ちだけの問題ではなく、場面によって脳の働きや心理的な負荷が変化することが関係していると考えられています。
「緊張するから吃音」ではなく「吃音があるから緊張する」
ここで大切なのは順番です。
多くの場合、緊張するから吃音になるのではなく、吃音があるから緊張しやすくなるという関係です。
これまでに、
- 言葉が詰まった経験
- 笑われた経験
- 急かされた経験
などがあると、「また同じことが起こるかもしれない」という不安につながります。
その結果、さらに緊張しやすくなるという悪循環が生まれることがあります。
周囲ができること
緊張を完全になくすことはできません。
しかし、安心して話せる環境をつくることはできます。
例えば、
- 最後まで話を聞く
- 話を急がせない
- 話し方ではなく内容に耳を傾ける
- 言葉を先回りして言わない
といった対応は、本人の安心感につながります。
「落ち着いて」「ゆっくり話して」と何度も声をかけるよりも、「あなたの話を最後まで聞いています」という姿勢を示すことが大切です。
まとめ
緊張は吃音の原因ではありませんが、症状を強くする要因になることがあります。緊張すると呼吸や筋肉の動きが変化し、話すための動きがスムーズに行えなくなるためです。
また、吃音のある人は過去の経験から話すことへの不安を感じやすく、「吃音があるから緊張する」という悪循環に陥ることもあります。安心して話せる環境を整え、本人の話したい内容に耳を傾けることが大切です。

