音の地図(言語聴覚士ヒューマンシリーズ第1弾)

「聞こえる」とは、どのようなことなのでしょうか。
私たちは普段、当たり前のように音に囲まれて暮らしています。しかし、その「当たり前」は、誰にとっても同じではありません。
『音の地図 』は、人工内耳を選んだ10歳の少女と、彼女に寄り添う若き言語聴覚士を主人公にした医療ヒューマンドラマです。
人工内耳の手術を受ければ、すぐに普通に聞こえるようになるわけではありません。初めて耳に届く音は戸惑いの連続であり、その音を「意味のある音」として理解していくためには、長い時間とリハビリが必要です。
本作では、風の音や川のせせらぎ、人の声といった小さな音を一つひとつ受け止めながら、自分だけの「音の地図」を描いていく少女の成長を描きました。
私は言語聴覚士として、多くの方々の「話す」「聞く」「食べる」に関わるリハビリに携わってきました。その経験を生かし、医療の現場だからこそ生まれる葛藤や希望を、小説という形で届けたいという思いで執筆しています。
『音の地図』は、「言語聴覚士ヒューマンシリーズ」の第一作です。今後も失語症、嚥下障害、構音障害、高次脳機能障害など、言語聴覚士が関わるさまざまなテーマを題材に、人と人とのつながりを描く物語を発表していく予定です。
この作品を通して、一人でも多くの方に「言語聴覚士」という仕事を知っていただき、そして「聞こえること」「伝わること」の大切さを感じていただけたら嬉しく思います。

