嚥下障害はどうやって診断するの?
「嚥下障害かもしれないと言われました。」
「病院ではどのように診断するのでしょうか?」
「レントゲンやCTだけで分かるのですか?」
食事中によくむせたり、飲み込みにくさを感じたりすると、「嚥下障害ではないか」と心配になる方も多いでしょう。
しかし、嚥下障害は血液検査やレントゲンだけで診断できるものではありません。
飲み込みの様子を実際に確認し、どの段階で問題が起きているのかを詳しく調べることが大切です。
この記事では、嚥下障害がどのように診断されるのか、検査の流れについてわかりやすく解説します。
嚥下障害は「飲み込み全体」を評価する
飲み込みは、
- 食べ物を口へ入れる
- 噛む
- 舌でまとめる
- のどへ送る
- 食道を通って胃へ送る
という複数の動きが連続して行われます。
そのため、どこか一つでも問題があると、飲み込みにくさが起こります。
診断では、「どの段階で問題が起きているのか」を明らかにすることが重要です。
まずは問診から始まる
最初に、医師や言語聴覚士が症状について詳しく確認します。
例えば、
- いつ頃から症状があるか
- どんな食べ物でむせるか
- 水分でも咳き込むか
- 食事時間は長くなったか
- 発熱や体重減少はあるか
などを確認します。
また、
- 脳卒中
- パーキンソン病
- 認知症
などの病気があるかどうかも重要な情報になります。
口やのどの動きを確認する
次に、
- 舌の動き
- 唇の動き
- あごの動き
- 声の状態
- 咳をする力
などを確認します。
これにより、飲み込みに関わる筋肉が十分に働いているかを評価します。
実際に飲み込みを確認する
飲み込みの状態を調べるために、
- 唾液
- 水
- ゼリー
などを実際に飲んでもらい、
- むせるか
- 飲み込みに時間がかかるか
- 声が変わるか
などを観察します。
このような評価を嚥下機能評価といいます。
必要に応じて詳しい検査を行う
飲み込みの状態をさらに詳しく調べるために、
嚥下内視鏡検査(VE)
細い内視鏡を鼻から入れ、のどの動きを直接観察する検査です。
食べ物がどこに残るのか、誤嚥していないかを確認できます。
嚥下造影検査(VF)
造影剤を混ぜた食べ物を食べてもらい、レントゲンで飲み込みの様子を動画として確認する検査です。
口から食道まで、一連の飲み込みの動きを詳しく評価できます。
血液検査や画像検査も行われることがある
嚥下障害そのものは血液検査では診断できません。
しかし、
- 栄養状態
- 脱水
- 炎症
- 肺炎
などを確認するために血液検査を行うことがあります。
また、
- 脳卒中
- 腫瘍
などが疑われる場合には、CTやMRIなどの画像検査が行われることもあります。
診断で大切なのは「原因」を見つけること
嚥下障害は病名ではなく、「飲み込みに問題がある状態」を指します。
そのため、
- 脳卒中が原因なのか
- パーキンソン病なのか
- 加齢による変化なのか
- 食道の病気なのか
を明らかにすることが、治療やリハビリにつながります。
言語聴覚士の役割
嚥下障害の評価では、**言語聴覚士(ST)**が中心となって関わることが多くあります。
言語聴覚士は、
- 飲み込みの状態を評価する
- 食べ方や姿勢を確認する
- 食形態を提案する
- 嚥下リハビリを行う
など、一人ひとりに合った支援を行います。
検査を受けるメリット
「まだ食べられるから検査は必要ない。」
と思われる方もいます。
しかし、検査を受けることで、
- 誤嚥しているか
- 安全に食べられているか
- どんな食事が合っているか
を客観的に知ることができます。
また、症状が軽いうちに対策を始めることで、誤嚥性肺炎や低栄養の予防にもつながります。
まとめ
嚥下障害は、
- 問診
- 口やのどの診察
- 嚥下機能評価
- 嚥下内視鏡検査(VE)
- 嚥下造影検査(VF)
などを組み合わせて診断します。
大切なのは、「飲み込みにくい」という症状だけを見るのではなく、どの段階で問題が起きているのか、その原因は何かを明らかにすることです。
食事中によくむせる、食事時間が長くなった、体重が減ってきたなどの症状がある場合は、早めに医療機関で評価を受けましょう。
適切な診断が、安全に食べ続けるための第一歩になります。

