不顕性誤嚥とは?
「誤嚥しているのに、むせないことがあると聞きました。」
「咳をしていないなら大丈夫ではないのでしょうか?」
「不顕性誤嚥とは何ですか?」
誤嚥というと、「食べ物が気管に入り、激しくむせる」というイメージを持つ方が多いでしょう。
しかし実際には、誤嚥していても咳やむせがほとんど出ない場合があります。
この状態を不顕性誤嚥といいます。
本人も周囲も気づきにくいため、誤嚥性肺炎につながることがあり、特に注意が必要です。
この記事では、不顕性誤嚥とは何か、なぜ起こるのか、どのようなサインがあるのかについて、わかりやすく解説します。
不顕性誤嚥とは?
不顕性誤嚥とは、食べ物や飲み物、唾液などが気管へ入っているにもかかわらず、咳やむせなどの症状がほとんど現れない状態のことです。
通常、誤嚥すると体は咳をして異物を外へ出そうとします。
しかし、不顕性誤嚥ではこの防御反応が十分に働かないため、本人も誤嚥していることに気づかないままになってしまいます。
なぜむせないの?
咳は、気管に異物が入ったことを脳が感知して起こる反射です。
しかし、
- 加齢
- 脳卒中
- パーキンソン病
- 認知症
- 神経筋疾患
などによって感覚や反射が低下すると、気管へ食べ物が入っても十分な咳が出なくなることがあります。
つまり、不顕性誤嚥は「誤嚥していない」のではなく、**「誤嚥していても気づけない状態」**なのです。
不顕性誤嚥が起こりやすい人
不顕性誤嚥は、次のような方で起こりやすいとされています。
- 脳卒中になった人
- パーキンソン病などの神経疾患がある人
- 認知症がある人
- 神経筋疾患がある人
- 高齢者
- 嚥下障害がある人
特に脳卒中後の急性期では、不顕性誤嚥がみられることも少なくありません。
むせないから安心とは限らない
「最近はむせなくなったので、良くなったと思っていました。」
このように思われることがありますが、必ずしもそうとは限りません。
以前は咳が出ていた方でも、病気の進行や加齢によって咳をする力や感覚が低下すると、
誤嚥してもむせなくなることがあります。
つまり、「むせが減った=改善した」とは判断できないのです。
むしろ、不顕性誤嚥へ移行している可能性もあるため注意が必要です。
不顕性誤嚥でみられるサイン
咳やむせがないため気づきにくいのが特徴ですが、次のような変化がみられることがあります。
- 原因不明の発熱を繰り返す
- 誤嚥性肺炎になったことがある
- 食後に痰が増える
- 食後に声がガラガラになる
- 食事量が減ってきた
- 体重が減少している
- 食事に時間がかかる
これらの症状が続く場合は、不顕性誤嚥が隠れている可能性があります。
誤嚥性肺炎との関係
不顕性誤嚥は、誤嚥性肺炎の大きな原因の一つです。
咳で異物を外へ出せないため、
- 食べ物
- 飲み物
- 唾液
- 口の中の細菌
などが肺へ入りやすくなります。
その結果、細菌が肺で炎症を起こし、誤嚥性肺炎につながることがあります。
どうやって調べるの?
不顕性誤嚥は、外から見ただけでは判断できないことがあります。
そのため、必要に応じて、
- 嚥下内視鏡検査(VE)
- 嚥下造影検査(VF)
などを行い、実際に飲み込みの様子を確認します。
これらの検査によって、
- 誤嚥しているか
- どのタイミングで誤嚥しているか
- 食事形態の変更が必要か
などを詳しく評価できます。
不顕性誤嚥を防ぐためにできること
不顕性誤嚥の予防には、
- 正しい姿勢で食事をする
- 一口量を調整する
- 食形態を見直す
- 口腔ケアを徹底する
- 嚥下リハビリを行う
ことが重要です。
また、医師や言語聴覚士の指導を受けながら、その人に合った方法で食事を続けることが大切です。
まとめ
不顕性誤嚥とは、食べ物や飲み物、唾液などが気管へ入っていても、咳やむせがほとんど出ない誤嚥のことです。
本人が気づきにくいため、誤嚥性肺炎につながるリスクが高くなります。
特に、
- 脳卒中
- パーキンソン病
- 認知症
- 神経筋疾患
- 高齢者
では注意が必要です。
「むせないから安心」と考えず、食後の声の変化や発熱など、小さなサインにも目を向けましょう。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関で飲み込みの評価を受けることをおすすめします。

