嚥下障害はなぜ起こるの?原因をわかりやすく解説
「どうして飲み込みが悪くなったの?」
「年齢のせいなの?」
「リハビリをすれば良くなるの?」
嚥下障害と診断されると、このような疑問を持つ方は少なくありません。
嚥下障害は、一つの病気ではなく、さまざまな原因によって起こる症状です。
飲み込みには脳や神経、筋肉、口やのどなど多くの器官が関わっているため、そのどこかに問題が生じると、うまく飲み込めなくなります。
この記事では、嚥下障害が起こる主な原因について、わかりやすく解説します。
飲み込みは全身の働きで成り立っている
食べ物を飲み込むためには、
- 脳が「飲み込む」という指令を出す
- 神経が筋肉へ指令を伝える
- 唇や舌、のどの筋肉が協調して動く
- 飲み込みのタイミングに合わせて気管を閉じる
- 食道が食べ物を胃へ送る
という複雑な動きが必要です。
そのため、これらのどこかに障害が起こると、嚥下障害につながります。
原因① 脳卒中
嚥下障害の原因として最も多いものの一つが脳卒中です。
脳卒中では、飲み込みをコントロールする脳の働きが障害されるため、
- 飲み込み反射が遅れる
- 舌がうまく動かない
- のどの筋肉が十分に働かない
などの症状が現れることがあります。
脳卒中の急性期には嚥下障害がみられる方も多く、回復の程度は障害された部位や重症度によって異なります。
原因② 神経の病気
神経の病気でも嚥下障害が起こります。
代表的な病気には、
- パーキンソン病
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 重症筋無力症
- 多系統萎縮症
などがあります。
これらの病気では、筋肉を動かす神経の働きが低下するため、飲み込みに必要な筋肉も十分に動かなくなります。
病気によって進行の仕方や症状は異なるため、それぞれに合わせた対応が必要です。
原因③ 加齢
年齢を重ねると、
- 筋力の低下
- 唾液の減少
- 飲み込み反射の遅れ
- 感覚の低下
などが起こりやすくなります。
これらの変化によって、若い頃より飲み込みに時間がかかったり、むせやすくなったりすることがあります。
ただし、加齢だけで必ず嚥下障害になるわけではありません。
日頃から口やのどの機能を保ち、適度に体を動かすことは、飲み込みの機能維持にも役立つと考えられています。
原因④ 頭頸部がん
舌やのど、喉頭などにできる頭頸部がんでは、
- 手術
- 放射線治療
- 化学療法
などの影響によって、飲み込みの機能が低下することがあります。
例えば、舌の一部を切除すると食べ物を送り込む力が弱くなり、放射線治療後には筋肉が硬くなって飲み込みにくくなることがあります。
そのため、治療と並行して嚥下リハビリを行うことが大切です。
原因⑤ 筋力や体力の低下
長期間の入院や安静によって全身の筋力が低下すると、飲み込みに必要な筋肉も弱くなります。
また、
- 食欲の低下
- 低栄養
- 脱水
なども嚥下機能の低下につながることがあります。
特に高齢者では、全身状態の変化が飲み込みに大きく影響することがあります。
原因⑥ 薬の影響や口の中の問題
薬の副作用や口の中の状態が、飲み込みに影響することもあります。
例えば、
- 唾液が少なくなる薬
- 強い眠気が出る薬
- 合わない入れ歯
- 歯が少ない
- 口の中の乾燥
などが原因で、食べづらさを感じることがあります。
こうした場合は、薬の見直しや歯科での調整によって改善が期待できることもあります。
原因は一つとは限らない
実際には、一つの原因だけではなく、複数の要因が重なっていることが少なくありません。
例えば、
- 脳卒中の後遺症がある
- 加齢による筋力低下もある
- 食欲が低下して体力も落ちている
というように、いくつかの原因が組み合わさって嚥下障害が起きている場合もあります。
そのため、「年齢のせい」と決めつけず、専門的な評価を受けることが大切です。
原因に合わせた対応が重要
嚥下障害は、原因によって必要な対応が異なります。
例えば、
- 脳卒中では嚥下訓練を行う
- パーキンソン病では姿勢や薬の調整を検討する
- 口腔内の問題では歯科治療や口腔ケアを行う
- 低栄養では栄養管理を行う
など、それぞれに合った方法を選ぶことが大切です。
自己判断せず、医師や言語聴覚士などの専門職に相談しながら進めましょう。
まとめ
嚥下障害は、飲み込みに関わる脳や神経、筋肉、口やのどなどの働きに問題が生じることで起こります。
主な原因には、
- 脳卒中
- 神経の病気
- 加齢
- 頭頸部がん
- 筋力や体力の低下
- 薬や口の中の問題
などがあります。
原因は一つではなく、複数の要因が重なっていることも珍しくありません。
原因を正しく理解し、その人に合った治療やリハビリを行うことが、安全に食べ続けるための第一歩となります。

