軟口蓋(のどの奥)はどんな働きをしているの?
「声が鼻に抜けるようになった」
「話し方が鼻声になった」
「飲み物が鼻から出ることがある」
このような症状がある場合、軟口蓋(なんこうがい)の働きが低下している可能性があります。
軟口蓋は口の奥にある柔らかい部分で、普段はあまり意識することがありません。
しかし、話すことや飲み込むことに欠かせない重要な役割を担っています。
この記事では、軟口蓋がどのような働きをしているのかを分かりやすく解説します。
軟口蓋とは?
口の中の天井を上あご(口蓋)と呼びます。
このうち前方の硬い部分を「硬口蓋(こうこうがい)」、奥の柔らかい部分を「軟口蓋(なんこうがい)」といいます。
鏡で口を大きく開けると、のどの奥に垂れ下がっている「のどちんこ(口蓋垂)」が見えることがあります。
その周囲の柔らかい部分が軟口蓋です。
軟口蓋の働き① 鼻と口を仕切る
軟口蓋の最も重要な役割は、鼻と口の通り道を適切に仕切ることです。
私たちの口や鼻、のどは奥でつながっています。
話したり飲み込んだりするときには、
- 鼻へ空気を流す
- 鼻を閉じる
という調整を行う必要があります。
その調整役が軟口蓋です。
軟口蓋の働き② はっきりした発音を作る
私たちが話すとき、多くの音は口から空気を出して作られます。
そのため軟口蓋は上へ持ち上がり、鼻への通り道を閉じています。
例えば、
- た
- か
- さ
- ぱ
などの音を出すときには、軟口蓋がしっかり閉じています。
もし軟口蓋の動きが弱くなると、空気が鼻へ漏れてしまいます。
すると、
- 声が鼻に抜ける
- 鼻声になる
- 発音が聞き取りにくくなる
といった症状が現れます。
軟口蓋の働き③ 鼻音を作る
一方で、
- ま
- な
などの音は鼻から空気を出して作ります。
これらを鼻音と呼びます。
鼻音を出すときには軟口蓋が少し下がり、空気が鼻へ流れるようになります。
つまり軟口蓋は、
「鼻を閉じる」
「鼻を開ける」
を瞬時に切り替えているのです。
軟口蓋の働き④ 飲み込みを助ける
軟口蓋は飲み込むときにも重要です。
食べ物や飲み物を飲み込む際、軟口蓋は上に持ち上がって鼻への通り道を閉じます。
これによって食べ物や飲み物が鼻へ入り込むのを防いでいます。
私たちが安心して食事できるのは、軟口蓋が働いているおかげなのです。
軟口蓋の動きが悪くなるとどうなる?
脳卒中や神経の病気によって軟口蓋を動かす神経が障害されると、次のような症状が現れることがあります。
話し方への影響
- 鼻声になる
- 声が鼻に抜ける
- 発音が不明瞭になる
- 聞き返されることが増える
食事への影響
- 飲み物が鼻へ抜ける
- 食事中に違和感がある
- むせやすくなる
このような症状は「鼻咽腔閉鎖不全(びいんくうへいさふぜん)」と呼ばれることがあります。
構音障害との関係
構音障害では、舌や唇だけでなく軟口蓋の動きも低下することがあります。
特に、
- 脳卒中
- ALS
- パーキンソン病
- 多系統萎縮症
などでは軟口蓋の機能低下がみられることがあります。
その結果、「何を言っているか分からない」と言われる原因の一つになります。
家族が知っておきたいこと
鼻声になったり、発音が不明瞭になったりすると、
「適当に話している」ように聞こえることがあります。
しかし、ご本人は一生懸命話していることがほとんどです。
軟口蓋の動きが低下しているだけで、理解力や考える力に問題があるわけではありません。
聞き取りにくいときは静かな環境でゆっくり会話することが大切です。
まとめ
軟口蓋は口の奥にある柔らかい部分で、話すことや飲み込むことを支える重要な役割を担っています。
特に鼻と口の通り道を調整し、はっきりした発音を作る働きがあります。
軟口蓋の動きが低下すると、鼻声になったり発音が不明瞭になったりすることがあります。
構音障害を理解するためには、舌や唇だけでなく軟口蓋の働きについても知っておくことが大切です。

