構音障害と失語症の違い
脳卒中の後、「言葉がうまく話せなくなった」と言われる方は少なくありません。
そのときによく聞かれるのが、
「構音障害と失語症は何が違うのですか?」
「ろれつが回らないのは失語症ですか?」
という質問です。
どちらも会話に影響する障害ですが、原因や症状は大きく異なります。正しく理解することで、リハビリやご家族の関わり方も変わってきます。
この記事では、構音障害と失語症の違いについて分かりやすく解説します。
構音障害とは
構音障害とは、言葉を発音するための舌や唇、あご、のどなどの動きがうまくいかなくなり、言葉が不明瞭になる障害です。
本人は何を言いたいのか分かっています。
また、相手の話も理解できています。
しかし、
- ろれつが回らない
- 発音が不明瞭になる
- 声が小さくなる
- 聞き返されることが増える
といった症状が現れます。
つまり、「言葉の中身」は分かっているけれど、「発音する動き」に問題がある状態です。
失語症とは
失語症とは、脳の言語を司る部分が障害されることで、言葉を理解したり使ったりする力が低下する障害です。
例えば、
- 言いたい言葉が出てこない
- 相手の話が理解しにくい
- 文字が読みにくい
- 文字が書きにくい
といった症状が現れます。
失語症では発音そのものよりも、「言葉を扱う能力」に障害が起こります。
一番大きな違いは?
最も大きな違いは、障害される部分です。
構音障害
発音するための運動に問題がある
失語症
言葉を理解したり使ったりする能力に問題がある
例えば、コーヒーを見て「コーヒー」と言いたい場合を考えてみましょう。
構音障害の方は、「コーヒーと言いたい」という考えは正しくあります。
しかし、「こーひー」が不明瞭になり、聞き取りにくくなります。
一方、失語症の方は、「コーヒーという言葉が出てこない」「飲み物だけど名前が分からない」
という状態になることがあります。
比較表で見てみましょう
| 項目 | 構音障害 | 失語症 |
|---|---|---|
| 言葉の理解 | 保たれることが多い | 低下することがある |
| 発音 | 不明瞭になる | 比較的保たれることもある |
| 言葉を思い出す力 | 保たれる | 障害されることがある |
| 読む力 | 保たれる | 障害されることがある |
| 書く力 | 保たれる | 障害されることがある |
| 主な問題 | 発音の運動 | 言語機能 |
両方が起こることもある
脳卒中では、構音障害と失語症が同時にみられることもあります。
例えば、
- 言葉が出てこない
- 発音も不明瞭
という状態です。
その場合は、「何を言いたいのか分からない」「発音も聞き取りにくい」という二重の困難が生じます。
実際の臨床では、言語聴覚士が詳しく評価を行い、それぞれの症状に合わせたリハビリを進めていきます。
家族が気を付けたいポイント
構音障害の方は、頭の中では正しく考えていることがほとんどです。
そのため、「何を言っているか分からないから理解していない」
と思い込まないことが大切です。
一方、失語症の方は言葉の理解そのものに困難がある場合があります。
ご家族は、
- 短い文で話す
- ゆっくり話す
- ジェスチャーを使う
などの工夫が役立ちます。
まとめ
構音障害と失語症はどちらも会話に影響する障害ですが、その原因は異なります。
構音障害は「発音の障害」、失語症は「言葉の障害」と考えると分かりやすいでしょう。
脳卒中後には両方がみられることもあります。まずはそれぞれの特徴を理解し、ご本人に合った支援やリハビリにつなげることが大切です。

