左側に気づかないのはなぜ?

脳卒中の後、

  • 左側のおかずだけ残してしまう
  • 左側から話しかけられても気づかない
  • 左側の壁や家具にぶつかる
  • 本や新聞の左側を読み飛ばしてしまう

といった症状がみられることがあります。

ご家族は、「目は見えているのに、なぜ気づかないのだろう?」

と不思議に感じることがあるかもしれません。

こうした症状は、高次脳機能障害の一つである半側空間無視によって起こることがあります。

この記事では、なぜ左側に気づかなくなるのか、その仕組みや脳との関係についてわかりやすく解説します。

左側に気づかないのは「見えていない」からではない

まず知っておいていただきたいのは、半側空間無視は目の病気ではないということです。

視力そのものに問題がない方も多くいます。

目から入った情報は脳まで届いています。

しかし、その情報に注意を向けることが難しくなっているため、左側の存在に気づけなくなります。

そのため、「見えていない」というよりも、「気づいていない」という表現の方が正確です。

注意の障害が起きている

半側空間無視は、注意機能の障害と考えられています。

私たちは普段、

  • 前を見る
  • 左右を見る
  • 周囲の状況を確認する

といったことを無意識に行っています。

しかし脳に障害が生じると、

左側の空間へ注意を向ける力が弱くなります。

その結果、左側にある物や人の存在を認識しにくくなってしまうのです。

右脳の損傷が関係している

半側空間無視は、主に脳の右半球の損傷で起こります。

特に、

  • 右頭頂葉
  • 右前頭葉
  • 右側頭葉

などが関係しています。

脳の右半球は、

  • 左側の空間
  • 右側の空間

の両方に注意を向ける働きを持っています。

一方、左半球は主に右側の空間を担当しています。

そのため右半球が損傷すると、左側への注意が大きく低下しやすくなります。

脳の中で何が起きているの?

分かりやすく例えると、

脳の中にある「左側を見るためのスポットライト」が弱くなっている状態です。

本来であれば、左右に均等に光が当たっている状態ですが、

半側空間無視では左側への光が弱くなります。

そのため、左側に物があっても気づきにくくなります。

これはご本人がわざと無視しているわけではありません。

脳の働きによって起こる症状なのです。

左側にある物が消えたように感じることもある

重度の場合、左側の情報がほとんど意識に上らないことがあります。

例えば、食事では右側のおかずだけを食べて、

「全部食べました」と言うことがあります。

実際には左側におかずが残っていても、ご本人には見えていないのではなく、

認識できていない状態です。

身体の左側にも気づきにくくなることがある

半側空間無視では、周囲の空間だけでなく、自分の身体の左側への注意も低下することがあります。

例えば、

  • 左腕の存在を忘れる
  • 左側の髪を整えない
  • 左側だけひげを剃り残す

といったことがあります。

これを身体無視と呼ぶこともあります。

日常生活で起こる具体例

食事

左側のおかずやご飯を食べ残します。

歩行

左側の壁や家具にぶつかりやすくなります。

車椅子操作

左側の障害物に気づかず接触することがあります。

読書

文章の左側を読み飛ばすことがあります。

着替え

左袖に腕を通し忘れることがあります。

本人は気づいていないことが多い

半側空間無視の大きな特徴は、本人に自覚がないことが多いという点です。

例えば、「左側のおかずが残っていますよ」と言われても、

「食べ終わったよ」と答えることがあります。

ご本人にとっては本当に見落としている自覚がありません。

そのため、「ちゃんと見て」「気を付けて」と言われても難しいことがあります。

リハビリで改善する可能性がある

半側空間無視は脳の回復やリハビリによって改善する可能性があります。

リハビリでは、

  • 左側を見る練習
  • 探索訓練
  • 視線移動の練習

などが行われます。

また、

  • 左側から声をかける
  • 左側に目印を置く
  • 食事前に左側を確認する

といった工夫も役立ちます。

家族が理解することが大切

半側空間無視は、

  • 不注意
  • 怠け
  • わざとの無視

ではありません。

脳の障害によって左側への注意が向けにくくなっている状態です。

まずはその特徴を理解し、優しく注意を促すことが大切です。

まとめ

左側に気づかなくなるのは、半側空間無視によって左側への注意が低下するためです。

目が見えなくなっているわけではなく、脳が左側の情報を十分に認識できなくなっています。

多くの場合は右半球の損傷によって起こり、食事や歩行、読書など生活のさまざまな場面に影響を与えます。

本人に自覚がないことも多いため、ご家族が症状を理解し、適切な支援を行うことが大切です。

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