高次脳機能障害と精神疾患の違い
高次脳機能障害のある方の中には、
- 怒りっぽくなった
- 感情の起伏が激しくなった
- やる気がなくなった
- 人付き合いが苦手になった
といった変化がみられることがあります。
そのため、
「精神的な病気なのでは?」
「うつ病や統合失調症とは違うの?」
と疑問に思う方やご家族も少なくありません。
実際、高次脳機能障害と精神疾患は一部の症状が似ているため、混同されることがあります。
しかし、両者は原因や支援の考え方が異なる状態です。
この記事では、高次脳機能障害と精神疾患の違いについてわかりやすく解説します。
高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、脳卒中や頭部外傷などによって脳が損傷し、
- 記憶
- 注意
- 判断
- 計画
- 感情コントロール
などの機能が低下した状態を指します。
主な原因には、
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- 外傷性脳損傷
などがあります。
つまり、高次脳機能障害は「脳の損傷によって起こる障害」です。
精神疾患とは?
精神疾患とは、こころや行動、考え方に影響を及ぼす病気の総称です。
代表的なものとして、
- うつ病
- 双極症(躁うつ病)
- 統合失調症
- 不安障害
- パニック症
などがあります。
精神疾患では、脳の働きの変化が関係していると考えられていますが、高次脳機能障害のように脳の特定の損傷が原因とは限りません。
一番大きな違いは「原因」
高次脳機能障害
原因は脳の損傷です。
例えば、
- 脳卒中
- 頭部外傷
- 脳炎
などによって発症します。
発症時期が比較的はっきりしています。
精神疾患
原因はさまざまです。
- 遺伝的要因
- 環境要因
- ストレス
- 脳内の神経伝達物質の変化
などが関係していると考えられています。
なぜ間違われやすいの?
高次脳機能障害では、
- 怒りっぽくなる
- 無気力になる
- 人との関わりが減る
ことがあります。
そのため周囲から、「精神的な問題では?」と思われることがあります。
しかし、実際には脳の損傷による症状であることも少なくありません。
高次脳機能障害でみられる症状
記憶障害
- 約束を忘れる
- 同じ質問を繰り返す
注意障害
- 集中できない
- ミスが増える
遂行機能障害
- 段取りが立てられない
- 計画的に行動できない
社会的行動障害
- 怒りっぽくなる
- 衝動的になる
- 相手の気持ちを考えにくくなる
これらは脳の機能低下によって生じます。
精神疾患でみられる症状
精神疾患では、
うつ病
- 気分の落ち込み
- 興味の喪失
- 強い疲労感
統合失調症
- 幻覚
- 妄想
- 思考のまとまりにくさ
不安障害
- 強い不安
- 緊張
- 心配が止まらない
などがみられます。
高次脳機能障害では幻覚や妄想は少ない
高次脳機能障害では、
- 記憶障害
- 注意障害
などが中心であり、幻覚や妄想は一般的ではありません。
一方、統合失調症などの精神疾患では、
- 実際には聞こえない声が聞こえる
- 監視されていると思い込む
などの症状がみられることがあります。
高次脳機能障害とうつ病は併存しやすい
高次脳機能障害と精神疾患は別のものですが、同時に存在することがあります。
例えば、脳卒中や頭部外傷の後に、
- 以前のように働けない
- 思うように生活できない
という経験から、うつ状態になることがあります。
そのため、高次脳機能障害+うつ病というケースも珍しくありません。
支援の方法も異なる
高次脳機能障害
主に、
- リハビリ
- 環境調整
- 代償手段の活用
が中心になります。
精神疾患
主に、
- 薬物療法
- 心理的支援
- 精神科治療
が中心になります。
ただし、実際には両方の支援が必要になることもあります。
家族が知っておきたいこと
高次脳機能障害の方が、
- 怒りっぽい
- やる気がない
- 人付き合いが苦手
という様子を見せると、
「性格が変わった」
「精神的な病気になった」
と感じることがあります。
しかし、それは脳の損傷による症状かもしれません。
本人を責めるのではなく、「なぜその行動が起きているのか」を理解することが大切です。
まとめ
高次脳機能障害と精神疾患は、似た症状がみられることがありますが、原因が異なります。
| 高次脳機能障害 | 精神疾患 |
|---|---|
| 脳の損傷が原因 | 心理・生物学的要因が関係 |
| 記憶障害や注意障害が中心 | 気分や思考の変化が中心 |
| リハビリが重要 | 精神科治療が重要 |
| 発症時期が比較的明確 | 徐々に発症することも多い |
また、高次脳機能障害と精神疾患が同時に存在することもあります。
症状だけで判断するのではなく、専門家による評価を受けながら適切な支援につなげることが大切です。

