高次脳機能障害はどう診断される?
「最近物忘れが増えた」
「事故の後から集中できなくなった」
「脳卒中の後、以前のように仕事ができない」
このような症状がある場合、高次脳機能障害が疑われることがあります。
しかし、高次脳機能障害はレントゲンのように一目で分かる障害ではありません。
記憶や注意、判断力など目に見えない機能を評価する必要があるため、複数の情報を総合して診断されます。
この記事では、高次脳機能障害がどのように診断されるのかをわかりやすく解説します。
高次脳機能障害の診断は一つの検査だけでは決まらない
高次脳機能障害は、
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 半側空間無視
- 社会的行動障害
など、さまざまな症状が現れます。
そのため、「この検査で異常があれば高次脳機能障害」
という単純なものではありません。
医師は、
- 脳の画像検査
- 神経心理学的検査
- 日常生活の様子
などを総合的に評価して診断します。
まずは脳の病気やケガを確認する
高次脳機能障害の診断では、まず原因となる脳の損傷があるかを確認します。
主な原因には、
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- 頭部外傷
- 脳炎
- 脳腫瘍
などがあります。
これらの病気やケガの既往が重要な手がかりになります。
MRIやCTなどの画像検査
脳の損傷を確認するために、
- MRI
- CT
などの画像検査が行われます。
画像によって、
- どこが損傷しているか
- 損傷の範囲はどれくらいか
を確認します。
例えば、
- 前頭葉の損傷
- 側頭葉の損傷
- 頭頂葉の損傷
などが分かります。
ただし、画像だけで症状の重さは判断できません。
神経心理学的検査とは?
高次脳機能障害の診断で重要なのが神経心理学的検査です。
これは、
- 記憶
- 注意
- 判断
- 言語
- 遂行機能
などを調べる検査です。
学校のテストのような形式で行われることもあります。
よく行われる検査
MMSE(Mini-Mental State Examination)
認知機能を簡単に評価する検査です。
- 時間の理解
- 記憶
- 計算
- 言語
などを確認します。
HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)
日本で広く使われている認知機能検査です。
認知症の評価でもよく用いられます。
RBMT
日常生活に近い場面で記憶を評価する検査です。
記憶障害の評価に役立ちます。
TMT
注意力や処理速度を調べる検査です。
数字や文字を順番につなぐ課題を行います。
FAB
前頭葉機能を評価する検査です。
遂行機能や判断力などを確認します。
日常生活の様子も重要
高次脳機能障害では、検査だけでは分からないこともあります。
そのため、
- 本人への聞き取り
- 家族への聞き取り
- 職場や学校での様子
も重要な情報になります。
例えば、検査では問題がなくても、
- 約束を忘れる
- 仕事でミスが増えた
- 家事の段取りができない
といった問題がみられることがあります。
家族の情報が診断の助けになる
高次脳機能障害では、ご本人が障害に気づいていないことがあります。
これを「病識低下」といいます。
そのため、
- 発症前との違い
- 日常生活で困っていること
について、ご家族からの情報がとても重要になります。
診察や検査の際には、ご家族が同席することも少なくありません。
診断まで時間がかかることもある
高次脳機能障害は、脳卒中や事故の直後にははっきりしないことがあります。
特に、
- 入院中は問題が目立たない
- 退院後に困りごとが出てくる
ことも少なくありません。
そのため、発症からしばらく経って診断される場合もあります。
「検査が正常=問題なし」ではない
高次脳機能障害では、
検査結果が比較的良好でも、
- 仕事に戻れない
- 家事がうまくできない
- 社会生活で困る
ことがあります。
反対に、検査で課題があっても日常生活では工夫して問題なく生活できている方もいます。
そのため、検査結果だけではなく、実際の生活状況を含めて評価することが大切です。
まとめ
高次脳機能障害は、
- 脳の画像検査
- 神経心理学的検査
- 本人や家族からの情報
- 日常生活の様子
を総合的に評価して診断されます。
一つの検査だけで診断できるものではなく、生活の中でどのような困りごとがあるかを確認することが重要です。
「脳卒中や事故の後から何かおかしい」と感じる場合は、早めに医療機関へ相談してみましょう。

