高次脳機能障害と失語症の違い
脳卒中や頭部外傷の後、
「高次脳機能障害があります」
「失語症があります」
と説明を受けることがあります。
すると、
「高次脳機能障害と失語症は同じもの?」
「失語症も高次脳機能障害の一種なの?」
と疑問に思う方も少なくありません。
実は、高次脳機能障害と失語症は密接な関係がありますが、まったく同じものではありません。
この記事では、高次脳機能障害と失語症の違いについてわかりやすく解説します。
高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって起こる認知機能の障害の総称です。
具体的には、
- 記憶する
- 集中する
- 計画する
- 判断する
- 感情をコントロールする
といった脳の高度な働きが低下した状態を指します。
主な症状として、
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
- 半側空間無視
などがあります。
失語症とは?
失語症とは、脳の言語中枢が損傷されることで起こる言葉の障害です。
耳が聞こえないわけでも、口や舌が動かないわけでもありません。
言葉を理解したり、話したり、読んだり、書いたりすることが難しくなります。
例えば、
- 言いたい言葉が出てこない
- 話の内容が理解しにくい
- 文字が読めない
- 文字が書けない
といった症状が現れます。
一番大きな違いは「障害される機能」
高次脳機能障害
主に、
- 記憶
- 注意
- 判断
- 計画
- 社会性
などに問題が生じます。
失語症
主に、
- 話す
- 聞く
- 読む
- 書く
といった言語機能に問題が生じます。
つまり、高次脳機能障害は認知機能全般の障害であり、失語症は言葉に特化した障害といえます。
失語症は高次脳機能障害の一部?
専門家の間でも表現が異なることがあります。
広い意味では、言語機能も高次脳機能の一つです。
そのため、「失語症は高次脳機能障害の一種」と説明されることがあります。
一方で医療現場では、
- 高次脳機能障害
- 失語症
を分けて考えることも多くあります。
なぜなら症状や支援方法が異なるからです。
症状の違いを具体例で考える
高次脳機能障害の場合
例えば、「今日の午後2時に病院へ行く」という予定があったとします。
高次脳機能障害の方では、
- 予定を忘れる
- 時間管理ができない
- 準備の段取りが立てられない
といった問題が起こることがあります。
失語症の場合
同じ状況でも、
- 医師の説明が理解しにくい
- 症状をうまく説明できない
- 予約票が読めない
といった言葉に関する問題が中心になります。
両方を併せ持つことも多い
脳卒中では、高次脳機能障害と失語症が同時にみられることが少なくありません。
例えば、左脳の脳梗塞では、
- 失語症
- 記憶障害
- 注意障害
が一緒に現れることがあります。
そのため、
「言葉が出にくい」
「忘れっぽい」
という複数の症状が重なることがあります。
リハビリの違い
高次脳機能障害
主に、
- 記憶訓練
- 注意訓練
- 問題解決訓練
- 環境調整
などを行います。
失語症
主に、
- 聴理解訓練
- 呼称訓練
- 音読訓練
- 会話訓練
などを行います。
どちらも言語聴覚士が関わることがありますが、訓練内容は異なります。
家族から見る違い
高次脳機能障害
家族は、
- 約束を忘れる
- 怒りっぽくなる
- 段取りが悪くなる
といった変化に気づくことが多いです。
失語症
家族は、
- 言葉が出ない
- 会話が成立しにくい
- 読み書きが難しい
といった変化に気づきやすいです。
どちらも日常生活に大きな影響を与えます。
まとめ
高次脳機能障害と失語症は、どちらも脳の損傷によって起こる障害ですが、影響を受ける機能が異なります。
| 高次脳機能障害 | 失語症 |
|---|---|
| 記憶・注意・判断などの障害 | 言葉の障害 |
| 忘れっぽい、段取りが苦手 | 話せない、理解しにくい |
| 認知機能全般に影響 | 言語機能に影響 |
ただし実際には両方が同時にみられることも少なくありません。
それぞれの特徴を理解することで、適切な支援やリハビリにつながります。

