補聴器はいつから使うべき?
「補聴器は、もっと聞こえなくなってから使えばいいのでしょうか?」
「まだ何とか会話できるので、今は必要ない気がします。」
補聴器を勧められても、「まだ早い」「もう少し様子を見よう」と考える方は少なくありません。
しかし、補聴器は『聞こえなくなってから』ではなく、『聞こえにくさで困り始めたとき』に検討することが大切です。
早めに補聴器を使い始めることで、会話を楽しみやすくなり、聞こえの低下による生活への影響を軽減できる可能性があります。
この記事では、補聴器を使い始めるタイミングについて、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
「もっと悪くなってから」はおすすめできない
「今はまだ聞こえるから大丈夫。」そう考えて補聴器の使用を先延ばしにする方は多くいます。
しかし、聞こえにくい状態が長く続くと、
- 家族との会話が減る
- 人との交流を避けるようになる
- 聞き返しが増えて疲れやすくなる
など、生活への影響が少しずつ大きくなることがあります。
また、聞こえにくい状態が続くと、脳が言葉を聞き取る力(語音の理解力)が低下してしまうこともあると考えられています。
そのため、必要な時期に補聴器を使い始めることが大切です。
このようなサインがあれば相談してみよう
次のようなことが増えてきたら、補聴器を検討する一つの目安になります。
- 家族からテレビの音が大きいと言われる
- 会話で聞き返すことが増えた
- 複数人での会話についていきにくい
- 電話で話しにくいと感じる
- 病院や銀行などで名前を呼ばれても気づきにくい
- 騒がしい場所で会話が聞き取りにくい
一つだけではなく、いくつか当てはまる場合は、耳鼻咽喉科で相談してみることをおすすめします。
聴力だけでは判断しない
補聴器が必要かどうかは、聴力検査の結果だけで決まるわけではありません。
例えば、同じ程度の難聴でも、
- 仕事で会話が多い方
- 一人で過ごす時間が多い方
- 趣味や地域活動に積極的に参加している方
では、困りごとは大きく異なります。
そのため、「どのくらい困っているか」という生活の状況も大切な判断材料になります。
早く使い始めるメリット
補聴器を早めに使い始めることで、
- 会話がしやすくなる
- 家族とのコミュニケーションが増える
- 外出や趣味を楽しみやすくなる
- 聞き取りの力を維持しやすくなる可能性がある
などのメリットが期待できます。
また、比較的聞こえが残っている時期の方が、補聴器の音にも慣れやすいといわれています。
「まだ早い」と感じても試聴してみる
最近では、多くの補聴器販売店や医療機関で補聴器の試聴ができます。
実際に使ってみることで、
- 聞こえ方
- 装着感
- 日常生活での使いやすさ
などを確認できます。
購入を急ぐ必要はありませんが、「自分に合うかどうか」を知るためにも、一度試してみることは良い経験になります。
子どもの場合はできるだけ早く
子どもの難聴では、聞こえは言葉の発達に大きく関わるため、必要と判断された場合は、できるだけ早く補聴器を装用することが勧められます。
早期から適切な支援を受けることで、言葉やコミュニケーションの発達を促しやすくなります。
医師や言語聴覚士と相談しながら決めよう
補聴器を使い始める時期は、自己判断ではなく、耳鼻咽喉科の医師や言語聴覚士、認定補聴器技能者などと相談しながら決めることが大切です。
聞こえの状態や生活環境に合わせて、
- 補聴器が必要かどうか
- どの種類が合っているか
- 両耳につけるべきか
などを一緒に考えていきます。
まとめ
補聴器は、「まったく聞こえなくなってから」使うものではありません。
聞き返しが増えたり、日常生活で聞こえにくさを感じたりするようになったら、補聴器を検討するタイミングです。
早めに使用を始めることで、会話やコミュニケーションを楽しみやすくなり、生活の質の向上につながることが期待できます。
「まだ早いかな」と迷ったときこそ、一度耳鼻咽喉科で相談し、自分の聞こえの状態を確認してみましょう。

