片耳だけ聞こえにくい場合はどうなる?
「右耳だけ聞こえにくい気がする。」
「片方の耳だけ聞こえないけれど、もう片方は普通に聞こえるので様子を見ています。」
このような症状があっても、「もう片方の耳が聞こえているから大丈夫」と考えてしまう方は少なくありません。
しかし、片耳だけの難聴(片側難聴)でも、日常生活にはさまざまな影響が出ることがあります。
また、中には早期の治療が必要な病気が原因となっている場合もあります。
この記事では、片耳だけ聞こえにくい場合に起こる困りごとや考えられる原因について、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
片耳だけの難聴とは?
片耳だけ聞こえにくくなる状態を片側難聴といいます。
聞こえにくさの程度はさまざまで、
- 少し聞き取りにくい
- ほとんど聞こえない
- 全く聞こえない
場合まであります。
反対側の耳が正常に聞こえているため、自分では気づきにくいこともあります。
会話はできても困ることがある
片耳が聞こえていると、日常会話はある程度できることが多いため、「問題なく生活できている」と思われがちです。
しかし、実際には次のような困りごとがあります。
音の方向が分かりにくい
私たちは左右の耳に届く音の違いを利用して、「どこから音が聞こえてきたのか」を判断しています。
そのため片耳だけ聞こえにくいと、
- 後ろから呼ばれても方向が分からない
- 車や自転車がどちらから来たのか分かりにくい
- スマートフォンの着信音の場所が分かりにくい
などのことがあります。
安全面にも影響するため注意が必要です。
騒がしい場所で会話が難しい
静かな場所では困らなくても、
- レストラン
- 学校
- 職場
- 電車
など、周囲に雑音がある環境では会話が聞き取りにくくなることがあります。
両耳で聞くことで雑音の中から相手の声を聞き取りやすくなりますが、片耳だけではその働きが十分にできません。
そのため、「家では困らないのに、外では会話についていけない」という方も少なくありません。
聞き返すことが増える
聞こえにくい側から話しかけられると、
- 「もう一度お願いします。」
- 「反対側に回ってもらえますか。」
とお願いすることが増える場合があります。
本人が気づいていなくても、家族や職場の人が先に気づくこともあります。
疲れやすくなる
片耳だけで一生懸命聞こうとするため、
- 会話に集中する
- 相手の口元を見る
- 内容を推測する
といったことを無意識に続けています。
その結果、長時間の会話や会議のあとに疲れやすくなることがあります。
子どもでは学校生活への影響も
子どもの片側難聴では、
- 先生の声が聞き取りにくい
- グループ活動で会話についていけない
- 騒がしい教室で理解しにくい
ことがあります。
学力には問題がなくても、聞こえにくさが学習や友達とのコミュニケーションに影響することがあるため、学校での配慮が大切です。
原因はさまざま
片耳だけの難聴には、さまざまな原因があります。
例えば、
- 突発性難聴
- 中耳炎
- メニエール病
- 外傷
- 聴神経の病気
- 生まれつきの片側難聴
などです。
特に突然聞こえなくなった場合は、早急な受診が必要です。
突発性難聴では、治療開始が早いほど回復する可能性が高くなるため、「様子を見よう」とせず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。
生活しやすくする工夫
片側難聴では、少しの工夫で生活しやすくなることがあります。
例えば、
- よく聞こえる耳を相手側へ向ける
- 静かな場所で会話する
- 相手にゆっくり話してもらう
- 必要に応じて補聴器などを検討する
といった方法があります。
聞こえにくさの程度や原因によって適した支援は異なるため、専門家に相談することが大切です。
言語聴覚士ができる支援
言語聴覚士は、聞こえにくさによるコミュニケーションの困りごとに対して支援を行います。
例えば、
- 聞き取りやすい環境づくりの提案
- コミュニケーション方法の工夫
- 補聴器や人工内耳を使用する方への支援
- ご家族や学校、職場へのアドバイス
などを行っています。
聞こえにくさで困っている場合は、一人で悩まず相談することが大切です。
まとめ
片耳だけ聞こえにくい場合でも、音の方向が分かりにくくなったり、騒がしい場所で会話が難しくなったりするなど、日常生活にさまざまな影響が現れることがあります。
また、突然片耳だけ聞こえなくなった場合は、突発性難聴など早期治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。
「もう片方が聞こえているから大丈夫」と自己判断せず、聞こえにくさを感じたら早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
原因に応じた治療や支援を受けることで、より安心して生活できるようになります。

