知的発達症と言葉の発達
はじめに
「言葉がなかなか増えません。」
「知的発達症と言われました。言葉は話せるようになるのでしょうか。」
知的発達症(知的障害)のある子どもの保護者から、このような相談を受けることがあります。
知的発達症では、言葉の発達がゆっくりになることがあります。しかし、その発達の仕方には大きな個人差があり、一人ひとり異なります。
大切なのは、他の子どもと比べることではなく、お子さんのペースに合わせて言葉やコミュニケーションを育んでいくことです。
この記事では、知的発達症と言葉の発達の関係についてわかりやすく解説します。
知的発達症とは?
知的発達症は、知的な能力や日常生活に必要な力の発達に困難がみられる発達障害の一つです。
例えば、
- 新しいことを覚える
- 理解した内容を応用する
- 問題を解決する
- 日常生活のさまざまな場面に対応する
といった力の発達がゆっくりなことがあります。
困りごとの程度には幅があり、必要な支援も一人ひとり異なります。
知的発達症では言葉の発達もゆっくりなことがある
言葉は、「言葉だけ」が発達するものではありません。
周囲の出来事を理解したり、人とやり取りしたり、経験を積み重ねたりする中で育っていきます。
そのため、知的発達症では、
- 最初の言葉がゆっくり
- 語彙が増えるペースがゆるやか
- 二語文や会話の発達に時間がかかる
ことがあります。
これは、言葉だけに問題があるのではなく、全体的な発達のペースが影響しているためです。
言葉の理解もゆっくり発達することがある
言葉の発達というと、「話すこと」に目が向きがちですが、「理解する力」もとても大切です。
例えば、
- 名前を呼ばれると振り向く
- 「持ってきて」と言われて行動できる
- 絵本の内容が少しずつ分かる
など、理解する力が育つことで、話す力も発達しやすくなります。
知的発達症では、理解する力もゆっくり育つことがあるため、話す言葉もそれに合わせて少しずつ発達していくことがあります。
コミュニケーションの方法は言葉だけではない
言葉が少ない時期でも、コミュニケーションはできます。
例えば、
- 指差しをする
- ジェスチャーを使う
- 表情で気持ちを伝える
- 絵や写真を指さして伝える
なども、大切なコミュニケーションの方法です。
「まだ話せないから何も伝えられない」と考えるのではなく、お子さんが今できる方法を大切にしながら、少しずつ言葉につなげていくことが重要です。
一人ひとりに合ったペースで学ぶことが大切
知的発達症のある子どもは、新しい言葉を覚えるまでに時間がかかることがあります。
そのため、
- 同じ言葉を何度も繰り返す
- 実際の物を見せながら話す
- 絵や写真を使って伝える
- 成功したときにはしっかり褒める
など、分かりやすい方法で経験を積み重ねることが大切です。
焦って難しいことを教えるよりも、「できた」という経験を積み重ねることが、学ぶ意欲や自信につながります。
家庭でできる関わり方
家庭では、日常生活そのものが言葉を育てる機会になります。
例えば、食事のときには、「りんごだね。」「赤いね。」「おいしいね。」と、見たり触れたりしているものを言葉にして伝えます。
散歩では、「犬がいるね。」「バスが来たね。」など、子どもが興味を示したものに合わせて話しかけると、言葉と実際の経験が結び付きやすくなります。
また、お子さんが言葉で伝えられなくても、指差しや視線、表情などから気持ちを受け止めることも、コミュニケーションを育てる大切な関わりです。
支援を受けながら成長していける
知的発達症があるからといって、言葉が発達しないということではありません。
子どもによって発達のスピードは異なりますが、療育や言語聴覚士による支援、家庭での関わりを通して、少しずつできることが増えていく子どもはたくさんいます。
周囲がその子の理解しやすい方法で関わることによって、コミュニケーションの力は育っていきます。
大切なのは、「他の子と同じように話せるようになること」ではなく、お子さんが自分の気持ちを伝え、人とのやり取りを楽しめるようになることです。
まとめ
知的発達症では、全体的な発達のペースに合わせて、言葉の発達もゆっくり進むことがあります。
しかし、その発達の仕方には大きな個人差があり、一人ひとり異なります。
家庭では、
- 子どもの興味に合わせて話しかける
- 実物や絵を使って分かりやすく伝える
- 指差しやジェスチャーも大切にする
- 成功体験を積み重ねる
ことが、言葉やコミュニケーションの発達につながります。
焦らず、お子さんのペースを大切にしながら、一歩ずつ成長を支えていきましょう。

