会話が成立しないときの対処法
失語症の方と会話をしていると、
「何を言いたいのか分からない」
「話がかみ合わない」
「質問に対して違う答えが返ってくる」
といった場面に出会うことがあります。
ご家族としては、
「どうして伝わらないんだろう」
「どう対応したらいいのだろう」
と戸惑うことも少なくありません。
しかし、会話が成立しないからといって、ご本人が協力していないわけでも、
理解しようとしていないわけでもありません。
失語症による言葉の障害が影響している可能性があります。
この記事では、失語症の方との会話がうまくいかないときの対処法について解説します。
なぜ会話が成立しなくなるの?
失語症では、
・言葉が出にくい
・人の話が理解しにくい
・言い間違いが増える
・話の内容を整理しにくい
といった症状がみられることがあります。
そのため、
質問を理解できていない
↓
違う内容を答える
ということが起こる場合があります。
また、本人は正しく伝えたつもりでも、聞き手には違う意味に聞こえることもあります。
まずは「わざとではない」ということを理解することが大切です。
焦らず一度立ち止まる
会話がかみ合わないと、
「違う違う」
「そうじゃなくて」
と何度も説明したくなることがあります。
しかし、そのやり取りを繰り返すと、本人も混乱してしまいます。
うまく伝わらないと感じたら、一度会話を止めて整理しましょう。
焦って話を続けるよりも、落ち着いてやり直した方が伝わりやすくなります。
話を短くする
長い説明は理解しにくいことがあります。
例えば、
「明日の午前中に病院へ行って、そのあと薬局へ寄って、お昼を食べてから帰ります」
という説明よりも、
「明日は病院です。」
「そのあと薬局です。」
「お昼を食べます。」
と区切った方が理解しやすくなります。
一度に一つの内容を伝えることを意識しましょう。
質問を簡単にする
会話が成立しないときは、質問が難しすぎる場合があります。
例えば、
「今日はどんなことをしたいですか?」
よりも、
「散歩に行きますか?」
「テレビを見ますか?」
の方が答えやすくなります。
特に「はい」「いいえ」で答えられる質問は有効です。
ジェスチャーや指差しを使う
言葉だけでは伝わりにくい場合があります。
そんなときは、
・ジェスチャー
・指差し
・写真
・絵
・実物
などを活用しましょう。
例えば、
「お茶を飲みますか?」
と言いながらコップを指差すだけでも理解しやすくなることがあります。
言葉以外の情報を加えることで、コミュニケーションがスムーズになることがあります。
本人の話を推測しすぎない
ご家族は長く一緒にいるため、
「たぶんこう言いたいんだろう」
と予測することがあります。
もちろん助けになることもありますが、毎回先回りすると本人が話す機会を失ってしまいます。
まずは本人の言葉を最後まで聞き、それでも難しいときにサポートすることが大切です。
間違いを責めない
会話が成立しないと、お互いにイライラしてしまうことがあります。
しかし、
「ちゃんと聞いて」
「何回言えば分かるの?」
といった言葉は本人を傷つけてしまいます。
失語症による症状であることを忘れず、責めるのではなく支える姿勢を持つことが大切です。
一度話題を変えるのも方法
どうしても伝わらない場合は、無理に続ける必要はありません。
会話を中断し、
・少し休憩する
・別の話題にする
・時間を置いてから話す
という方法も有効です。
疲労や緊張によって言葉が出にくくなっている場合もあります。
少し時間を置くだけで、スムーズに話せることもあります。
会話が成立しなくても関わりは続けられる
失語症の方とのコミュニケーションでは、
「完璧に会話を成立させること」
を目標にしすぎないことも大切です。
時にはうまく伝わらないこともあります。
それでも、
・一緒に笑う
・同じテレビを見る
・散歩をする
・うなずき合う
といった関わりも大切なコミュニケーションです。
言葉だけが人とのつながりではありません。
まとめ
失語症の方との会話が成立しないときは、
・まず落ち着く
・話を短くする
・質問を簡単にする
・ジェスチャーや指差しを使う
・本人を責めない
・必要なら休憩する
ことが大切です。
会話がうまくいかない場面は誰にでもあります。
大切なのは「正しく伝えること」ではなく、「伝え合おうとすること」です。
焦らず、少しずつコミュニケーションの方法を見つけていきましょう。

