失語症の方にやってはいけない声かけとは?
失語症のあるご家族と接していると、
「どう声をかければいいのだろう」
「励ましているつもりなのに、なぜか機嫌が悪くなる」
と悩むことがあるかもしれません。
失語症の方は、言葉が思うように出なかったり、人の話を理解しにくくなったりするため、
日常的に大きなストレスを抱えています。
周囲に悪気がなくても、何気ない一言が本人を傷つけたり、
自信を失わせたりすることがあります。
この記事では、失語症の方に対して避けたい声かけと、
代わりにどのような関わり方をするとよいのかを解説します。
「ちゃんと話して」
失語症の方が言葉に詰まったとき、
「ちゃんと話して」
「何を言っているのか分からない」
と言ってしまうことがあります。
しかし、本人は決して適当に話しているわけではありません。
頭の中では言いたいことがあるのに、言葉として出せない状態なのです。
このような言葉をかけられると、
「頑張っても話せない」
「自分はダメなんだ」
という気持ちになってしまいます。
言葉が出にくいときは、焦らせるのではなく、ゆっくり待つことが大切です。
「それ違うよ」
失語症では言い間違い(錯語)がよくみられます。
例えば、
「テレビ」と言いたいのに「ラジオ」と言ってしまうことがあります。
そのたびに、
「違うよ」
「また間違えたね」
と指摘されると、会話への意欲が低下してしまうことがあります。
もちろん、重要な場面では修正が必要なこともありますが、
普段の会話では内容が伝われば十分な場合も少なくありません。
まずは伝えようとしている気持ちを受け止めることを優先しましょう。
「頑張れば話せるでしょ」
失語症は努力不足で起こるものではありません。
本人も毎日必死に言葉と向き合っています。
そのため、
「もっと頑張ればいいのに」
「気合が足りないんじゃない?」
という言葉は大きな負担になります。
回復には時間がかかることもあります。
焦らせるよりも、
「ゆっくりで大丈夫だよ」
「少しずつやっていこう」
と安心できる言葉をかける方が支えになります。
本人の代わりに全部話してしまう
言葉が出にくい様子を見ると、家族が代わりに答えたくなることがあります。
例えば病院やお店で、
本人が話そうとしている途中なのに家族が先に答えてしまうことがあります。
もちろん助けが必要な場面もありますが、いつも代弁していると本人が話す機会を失ってしまいます。
本人が話そうとしているときは、まず待つことを意識しましょう。
必要なときだけサポートすることが大切です。
子ども扱いする
失語症になると会話が難しくなるため、
「何も分からなくなった」
と誤解されることがあります。
しかし、失語症は言葉の障害であり、人格や人生経験が失われたわけではありません。
幼児に話すような口調になったり、本人を目の前にして家族だけで話を進めたりすると、自尊心を傷つけることがあります。
失語症になっても、一人の大人として尊重する姿勢が大切です。
「前はできたのにね」
家族としては、病気になる前の姿を思い出してしまうこともあるでしょう。
しかし、
「前は普通に話せたのに」
「昔はできていたのに」
という言葉は、本人にとってつらいものです。
本人自身が一番その変化を感じています。
過去と比較するよりも、
「今日は昨日より言葉が出たね」
「少しずつできることが増えているね」
と現在の頑張りに目を向ける方が励みになります。
急かす
失語症の方は言葉を探すのに時間がかかることがあります。
沈黙が続くと、
「早く言って」
「もういいよ」
と言いたくなることもあるかもしれません。
しかし、その数秒から数十秒が本人にとって大切な時間です。
急かされると余計に言葉が出なくなってしまうことがあります。
会話では「待つこと」も大切なコミュニケーションです。
大切なのは「伝えたい気持ち」を受け止めること
失語症の方との会話では、言葉の正確さよりも、
「何を伝えたいのか」
に目を向けることが大切です。
多少の言い間違いがあっても、思いが伝われば十分なこともあります。
安心して話せる環境があることで、コミュニケーションへの意欲も高まりやすくなります。
まとめ
失語症の方に対して避けたい声かけには、
・「ちゃんと話して」
・「それ違うよ」
・「頑張れば話せるでしょ」
・「前はできたのにね」
・「早く言って」
などがあります。
これらの言葉は、本人を励ましているつもりでも、自信を失わせてしまうことがあります。
失語症の方とのコミュニケーションでは、
・急かさない
・間違いを責めない
・話を最後まで聞く
・一人の大人として尊重する
ことが大切です。
言葉がうまく出なくても、本人の思いや気持ちは失われていません。
伝えたい気持ちを受け止める姿勢が、安心できるコミュニケーションにつながります。

