言語聴覚士によるリハビリとは?
失語症と診断されると、
「言語聴覚士ってどんな人?」
「どんなリハビリをしてくれるの?」
「理学療法士や作業療法士とは何が違うの?」
と疑問に思う方も多いでしょう。
失語症のリハビリを専門的に行うのが、言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)です。
言語聴覚士は、話す・聞く・読む・書くといった言葉の問題に対して支援を行う国家資格です。
この記事では、言語聴覚士による失語症リハビリについてわかりやすく解説します。
言語聴覚士とは?
言語聴覚士は、言葉やコミュニケーション、飲み込み(嚥下)の専門家です。
1997年に国家資格として制定され、病院や介護施設、訪問リハビリ、福祉施設などで活躍しています。
主な対象は、
- 失語症
- 構音障害
- 高次脳機能障害
- 吃音
- 発達障害
- 聴覚障害
- 嚥下障害
などです。
失語症リハビリの専門職
失語症では、
- 言葉が出ない
- 人の話が理解できない
- 読み書きが難しい
などの症状がみられます。
言語聴覚士は、これらの症状を評価し、適切な訓練を行う専門職です。
まずは評価を行う
リハビリを始める前に、現在の言語能力を詳しく調べます。
例えば、
- 話す力
- 聞く力
- 読む力
- 書く力
を確認します。
また、
- 日常生活で困っていること
- ご本人の目標
- ご家族の希望
なども確認します。
話す力を高めるリハビリ
言葉が出にくい方には、発話訓練を行います。
例えば、
呼称訓練
絵を見て名前を言う練習です。
復唱訓練
聞いた言葉を繰り返します。
語想起訓練
カテゴリーや頭文字から言葉を思い出します。
会話訓練
実際の生活場面を想定して練習します。
聞く力を高めるリハビリ
理解が難しい方には、聴理解訓練を行います。
例えば、
- 絵の指差し
- 単語理解
- 短文理解
- 指示理解
などです。
症状に合わせて難易度を調整します。
読む力を高めるリハビリ
読字障害がある場合には、
- 文字と絵の対応
- 単語読解
- 音読
- 文章読解
などを行います。
新聞や本を読むことを目標にする場合もあります。
書く力を高めるリハビリ
書字障害がある場合には、
- なぞり書き
- 写字
- 単語書字
- 短文作成
- 日記練習
などを行います。
名前や住所を書く練習から始めることもあります。
コミュニケーション方法を一緒に考える
失語症リハビリは、言葉を回復させることだけが目的ではありません。
例えば、
- ジェスチャー
- 指差し
- 絵カード
- 筆談
- スマートフォン
などを活用して、「伝えられる方法」を増やす支援も行います。
家族へのアドバイスも大切な仕事
言語聴覚士は、ご本人だけでなくご家族も支援します。
例えば、
- どのように話しかけるか
- どのくらい待つか
- どんなサポートが有効か
を一緒に考えます。
失語症の回復には家族の関わりが非常に重要だからです。
理学療法士・作業療法士との違い
リハビリ職には、
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST)
がいます。
理学療法士
歩行や身体機能の回復を担当します。
作業療法士
日常生活動作や手の機能を担当します。
言語聴覚士
言葉やコミュニケーション、嚥下を担当します。
それぞれ専門分野が異なります。
退院後も相談できることがある
言語聴覚士は、
- 外来リハビリ
- 訪問リハビリ
- 介護保険サービス
などで関わることがあります。
また、地域によっては失語症者向けの支援活動を行っていることもあります。
まとめ
言語聴覚士は、失語症リハビリの専門家です。
話す・聞く・読む・書く能力を評価し、その人に合った訓練を行います。
また、
- コミュニケーション方法の提案
- 家族へのアドバイス
- 日常生活への支援
も大切な役割です。
失語症のリハビリは単に言葉を増やすことではなく、その人らしい生活を取り戻すことが目的です。その実現を支える専門職が言語聴覚士なのです。

