言い間違いが増えるのはなぜ?(錯語)
失語症になると、
「言いたい言葉と違う言葉を言ってしまう」
「本人は正しく言ったつもりなのに伝わらない」
ということがあります。
例えば、
- テレビ → ラジオ
- 犬 → 猫
- りんご → りごん
のような言い間違いがみられることがあります。
このような症状を「錯語(さくご)」と呼びます。
錯語は失語症でよくみられる症状の一つであり、ご本人もご家族も戸惑うことが少なくありません。
この記事では、錯語の原因や種類、対応方法についてわかりやすく解説します。
錯語とは?
錯語とは、話したい言葉とは異なる言葉が出てしまう症状です。
失語症では、脳の言語中枢が障害されることで、言葉を選んだり並べたりする過程に問題が生じます。
その結果、正しい言葉を言おうとしているのに別の言葉が出てしまうことがあります。
これは単なる言い間違いではなく、失語症による症状です。
なぜ錯語が起こるの?
私たちは会話をするとき、
- 言いたい内容を考える
- 適切な言葉を探す
- 音を組み立てる
- 発音する
という作業を脳の中で行っています。
失語症になると、この過程のどこかがうまく働かなくなります。
そのため、
- 別の言葉を選んでしまう
- 音を間違えてしまう
ことが起こります。
意味性錯語とは?
意味性錯語は、意味が近い言葉に置き換わるタイプの錯語です。
例えば、
- 犬 → 猫
- テレビ → ラジオ
- フォーク → スプーン
などです。
どれも同じカテゴリーの言葉であり、意味が関連しています。
本人は正しい言葉を探しているものの、近い意味の言葉が選ばれてしまいます。
音韻性錯語とは?
音韻性錯語は、音の並びが誤ってしまうタイプの錯語です。
例えば、
- テレビ → テレピ
- りんご → りごん
- えんぴつ → えんぴちゅ
などです。
言葉の意味は合っていますが、音の順番や発音が変化してしまいます。
伝導失語などでよくみられる症状です。
新造語とは?
重度の失語症では、
実際には存在しない言葉
が出ることがあります。
例えば、「テレビ」を指して、「トレマキ」など意味のない言葉を話すことがあります。
これを新造語と呼びます。
ウェルニッケ失語でみられることがあります。
錯語に本人は気づいている?
錯語に対する気づきは人によって異なります。
気づく場合
- 「違った」
- 「今のは違う」
と自分で言い直そうとします。
気づきにくい場合
本人は正しく話しているつもりで、周囲との会話がかみ合わなくなることがあります。
特にウェルニッケ失語では、自分の誤りに気づきにくいことがあります。
錯語は治るの?
錯語はリハビリによって改善する可能性があります。
例えば、
- 呼称訓練
- 復唱訓練
- 音読練習
- 音韻訓練
などが行われます。
脳の可塑性によって、正しい言葉を選ぶ力が回復することがあります。
家族が気をつけたいこと
錯語がある方との会話では、
- 間違いを責めない
- 急いで訂正しない
- 伝えたい内容をくみ取る
ことが大切です。
例えば、
「犬」と言いたいのに「猫」と言った場合でも、
まずは話の内容を理解しようとする姿勢が重要です。
何度も指摘されると、ご本人が話すことに自信を失ってしまうことがあります。
コミュニケーションのコツ
錯語があっても、
- ジェスチャー
- 指差し
- 絵や写真
- 筆談
などを併用することで意思疎通しやすくなります。
言葉だけに頼らないコミュニケーションも大切です。
まとめ
錯語とは、言いたい言葉とは異なる言葉が出てしまう失語症の症状です。
代表的なものには、
- 意味性錯語
- 音韻性錯語
- 新造語
があります。
錯語は本人の努力不足ではなく、脳の障害によって起こる症状です。
周囲が正しく理解し、焦らずコミュニケーションを続けることが、失語症のある方への大切な支援になります。

