5〜6歳ごろの発音の特徴
5〜6歳ごろになると、子どもの発音はかなり大人に近づいてきます。
日常会話では多くの音を正しく使えるようになり、家族だけでなく、初めて会う人にも話の内容が伝わりやすくなります。
一方で、さ行やら行など一部の音に誤りが残っている子どももいます。
発音の発達には個人差があるため、5歳になったらすべての音を完璧に言えなければならないわけではありません。
ただし、5〜6歳は小学校への就学を控えた時期でもあります。
発音の誤りが長く続いている場合や、本人が発音を気にしている場合には、言語聴覚士などの専門家への相談を検討する一つのタイミングになります。
この記事では、5〜6歳ごろの発音の特徴や、就学前に確認しておきたいポイント、構音訓練や専門家への相談を考える目安についてわかりやすく解説します。
5〜6歳では発音がかなり完成に近づく
子どもの発音は、ことばを話し始めてから少しずつ発達していきます。
1〜2歳では言える音がまだ限られており、ことばの省略や置き換えも多くみられます。
3〜4歳になると使える音が増え、会話もかなり聞き取りやすくなってきます。
そして5〜6歳ごろになると、多くの音を日常会話の中で正しく使えるようになります。
長いことばや文も以前より正確に発音できるようになり、家族以外の人との会話でも発音が原因で内容が伝わらない場面は少なくなってきます。
この時期には、発音の発達がかなり完成に近づいていると考えられます。
まだ一部の音に誤りが残ることもある
5〜6歳でも、一部の音が完全には安定していない子どももいます。
発音の発達には個人差があり、すべての子どもが同じ時期に同じ音を獲得するわけではありません。
特に、舌の位置や空気の流れを細かく調整する必要がある音は、習得までに時間がかかることがあります。
そのため、一つの音を間違えているだけで、すぐに構音障害と判断することはできません。
一方で、5〜6歳になっても複数の音に誤りがある場合や、発音全体が聞き取りにくい場合には、一度詳しく状態を確認することがあります。
さ行の発音を確認する
さ行は、子どもの発音について相談されることが多い音の一つです。
さ行を発音するときには、舌と上あごなどの間に狭い隙間を作り、そこへ空気を流して音を作ります。
舌の位置と空気の流れを細かく調整する必要があるため、幼児期には正しく発音することが難しい場合があります。
例えば、幼い時期には、さかなをたかなのように発音することがあります。
成長とともにこのような置き換えは減っていきますが、5〜6歳でも続いている場合には、発音の状態を一度確認してもよいでしょう。
特に、長期間ほとんど変化していない場合には、専門家への相談を検討することがあります。
ら行がまだ不安定な子どももいる
ら行では、舌先を上あご付近へ素早く接触させて音を作ります。
そのため、舌先の細かな動きが必要になります。
幼い子どもでは、ら行が別の音に置き換わることがあります。
5〜6歳になると正しく発音できる子どもが増えますが、まだ不安定な場合もあります。
単音では正しく言えても、単語や会話になると誤った発音に戻ることもあります。
どのような場面で正しく言えて、どのような場面で間違えるのかを確認することが大切です。
単音で言えるだけでは発音が完成したとは限らない
5〜6歳になると、苦手な音でも、一つの音としてなら正しく発音できることがあります。
しかし、単音で正しい音が出せることと、日常会話で自然に使えることは同じではありません。
例えば、さという音は言えても、さかなという単語になるとたかなになることがあります。
さらに、単語では正しく言えても、長い文章や会話では元の発音に戻ることがあります。
正しい音を完全に身につけるためには、単音だけでなく、単語、文、会話の中でも安定して使えるようになる必要があります。
5〜6歳では、正しい音が出るかだけでなく、日常会話で定着しているかを見ることも重要です。
長いことばも正確に言えるようになる
5〜6歳になると、語彙が増え、複雑で長いことばを使う機会も増えてきます。
幼い時期には、長いことばの一部を省略したり、音の順番を間違えたりすることがあります。
5〜6歳ごろになると、このような誤りも減り、多くのことばを正しい音の並びで発音できるようになってきます。
ただし、初めて聞いた難しいことばなどでは、大人でも言い間違えることがあります。
一度の言い間違いだけで発音に問題があると考える必要はありません。
普段から特定の音や音の並びを繰り返し間違えているかを見ることが大切です。
会話全体はかなり聞き取りやすくなる
5〜6歳では、家族だけでなく、その子どもの話し方に慣れていない人にも会話が伝わりやすくなります。
幼い時期には、家族は理解できても他の人には伝わらないということがあります。
しかし、発音が発達するにつれて、この差は小さくなっていきます。
5〜6歳になっても家族以外の人から何度も聞き返される場合には、どのような理由で伝わりにくいのか確認することが大切です。
発音の問題だけでなく、声の大きさ、話す速さ、ことばの使い方などが関係している場合もあります。
発音の歪みが残っている場合
5〜6歳で確認しておきたいのが、音の歪みです。
歪みとは、本来の音とも別の日本語の音とも異なる発音になることです。
例えば、さ行を言おうとしていることはわかるものの、一般的なさ行とは異なる独特な音になる場合があります。
幼児期によくみられる音の置き換えとは異なり、特徴的な歪みが定着している場合には、自然な改善だけを待たずに専門家へ相談したほうがよいことがあります。
舌を使う位置や空気を出す方向などを確認し、必要に応じて構音訓練を行います。
家庭では歪みかどうかを正確に判断する必要はありません。
周囲の子どもとは少し違う独特な発音が続いていると感じた場合には、相談してみてもよいでしょう。
就学前は発音を確認する大切な時期
5〜6歳は、小学校への就学を控えた時期です。
小学校へ入学すると、授業中に発表したり、教科書を音読したりする機会が増えます。
友達や先生など、さまざまな人とことばを使ってコミュニケーションを取るようになります。
そのため、就学前に発音の状態を確認しておくことには意味があります。
発音の誤りが残っている場合でも、必ず就学前にすべて直さなければならないということではありません。
しかし、経過を見てよい発音なのか、構音訓練を検討したほうがよいのかを確認しておくと、その後の対応を考えやすくなります。
発音とひらがなの読み書き
5〜6歳になると、ひらがなに興味を持つ子どもが増えてきます。
ことばが一つひとつの音からできていることにも気づくようになります。
例えば、さかなということばが、さ・か・なという音からできていることを意識できるようになっていきます。
このようなことばの音を意識する力は、読み書きを学ぶうえでも大切です。
発音の誤りがあるから必ず読み書きが苦手になるわけではありません。
ただし、発音だけでなく、ことばの音を聞き分けることや、音の並びを意識することにも難しさがある場合には、読み書きについても注意して経過を見ることがあります。
自分の発音の違いに気づくことが増える
5〜6歳になると、自分の発音と周囲の人の発音が違うことに気づく子どもも増えてきます。
友達から指摘されたり、自分で聞き比べたりすることで、発音を意識することがあります。
自分から正しく言い直そうとする子どももいます。
一方で、うまく言えないことを気にして、特定のことばを避けることがあります。
例えば、自分の名前に苦手な音が含まれている場合などには、発音を強く意識することもあります。
発音の程度だけではなく、本人が困っているかどうかも支援を考える重要なポイントです。
友達から発音を指摘されることもある
5〜6歳になると、友達同士の会話が活発になります。
子ども同士でも発音の違いに気づくようになるため、友達から発音について指摘されることがあります。
本人が特に気にしていない場合もありますが、何度も指摘されることで話すことに自信をなくすこともあります。
発音の誤りが軽くても、本人が強く気にしている場合には専門家へ相談してもよいでしょう。
発音を正しくすることだけではなく、安心して人と話せることも大切です。
5〜6歳は構音訓練を検討する時期になる
5〜6歳で発音の誤りが残っている場合には、構音訓練を検討することがあります。
この年齢になると、専門家からの説明を理解したり、自分の舌の位置を意識したりする力も育ってきます。
そのため、構音訓練に取り組みやすくなる子どもも増えます。
構音訓練では、いきなり苦手なことばを何度も繰り返すわけではありません。
まず正しい音を作るための舌の位置や空気の流れなどを確認します。
正しい音が作れるようになったら、
・単音
・単語
・短い文
・文章
・日常会話
というように、少しずつ難しい条件でも正しく発音できるよう練習していきます。
実際の開始時期や練習方法は、子どもの発音の状態によって異なります。
家庭で自己流の構音訓練をする必要はない
就学が近づくと、入学までに発音を直したいと考える保護者の方もいるでしょう。
しかし、正しい音の作り方がわからないまま、家庭で何度も苦手なことばを言わせる必要はありません。
例えば、さかなをたかなと言っている子どもに、さかなと言えるまで何度も繰り返させても、正しいさの作り方を身につけていなければ改善しないことがあります。
また、発音を何度も指摘されることで、子どもが話すことを嫌がる可能性もあります。
日常生活では子どもの話の内容を受け止めることを大切にしましょう。
専門的な練習が必要な場合には、言語聴覚士などの評価を受け、子どもの状態に合った方法で取り組むことが大切です。
発音だけでなくことば全体も確認する
5〜6歳で話し方が気になる場合には、発音だけを見るのではなく、ことば全体の発達も確認しましょう。
発音には誤りがあるものの、年齢に応じた語彙や文を使って会話できている場合があります。
一方、発音だけでなく、ことばの理解、語彙、文を作ること、経験したことを説明することなどにも難しさがみられる場合があります。
このような場合には、構音だけではなく言語発達についても評価することがあります。
就学後の学習を考えるうえでも、子どものことばを総合的に見ることが大切です。
聞こえについても確認する
発音の発達には聞こえが関係しています。
子どもは周囲のことばを聞き、それぞれの音の違いを学びながら発音を身につけます。
聞こえにくさがあると、似た音を十分に聞き分けることが難しくなり、発音に影響する場合があります。
呼びかけへの反応が悪い、何度も聞き返す、テレビの音を大きくするなど、聞こえについて気になる様子がある場合には、耳鼻咽喉科への相談も検討しましょう。
発音の問題だけだと思っていても、聞こえの確認が必要になることがあります。
就学前に相談を考えたいのはどんなとき?
5〜6歳は発音がかなり完成に近づく時期であるため、気になる発音が残っている場合には一度専門家へ相談することを検討してもよいでしょう。
特に、次のような場合には相談する一つの目安になります。
・複数の音に発音の誤りが残っている
・発音全体が聞き取りにくい
・家族以外の人から何度も聞き返される
・発音の誤りが長期間ほとんど変化していない
・特徴的な音の歪みがある
・単音でも正しい音を作ることが難しい
・本人が自分の発音を気にしている
・友達から発音を指摘されて困っている
・発音を理由に人前で話すことを避けている
・ことばの理解や表現にも気になるところがある
・聞こえについて心配がある
・就学前に発音の状態を確認しておきたい
子どもの発音については、言語聴覚士がいる医療機関や療育機関、自治体の発達相談などで相談できる場合があります。
就学後には、地域によって学校のことばの教室などで相談できることもあります。
まとめ
5〜6歳ごろになると、子どもの発音はかなり大人に近づき、多くの音を日常会話の中で正しく使えるようになります。
一方、さ行やら行など一部の音がまだ安定していない子どももいます。
発音の発達には個人差がありますが、5〜6歳は就学を控えた時期でもあるため、発音の誤りが長く続いている場合には一度状態を確認しておくとよいでしょう。
特に、複数の音に誤りがある、会話全体が聞き取りにくい、特徴的な歪みがある、本人が発音を気にしているといった場合には、専門家への相談を検討します。
また、発音だけではなく、ことばの理解や表現、ことばの音を意識する力、聞こえなどもあわせて見ることが大切です。
家庭では入学までに直さなければならないと焦って何度も言い直させるのではなく、子どもが安心して話せることを大切にしましょう。
気になる発音が残っている場合には、言語聴覚士などに相談し、経過を見てよいのか、構音訓練を始めたほうがよいのかを確認することができます。

