1〜2歳ごろの発音の特徴
1〜2歳ごろになると、意味のあることばを話し始め、少しずつ使えることばが増えていきます。
ママ、パパ、わんわんなどのことばが聞かれるようになり、2歳ごろには二つのことばを組み合わせて話す子どもも増えてきます。
一方、この時期の発音はまだ発達の途中です。
大人と同じようにすべての音を正しく発音することは難しく、ことばの一部が抜けたり、別の音になったりすることも珍しくありません。
そのため、1〜2歳ごろは発音の正確さだけを見るのではなく、ことばが増えているか、相手に伝えようとしているか、ことばを理解しているかなど、コミュニケーション全体を見ることが大切です。
この記事では、1〜2歳ごろの子どもにみられる発音の特徴や、発音を見るときのポイントについてわかりやすく解説します。
1〜2歳はことばが大きく発達する時期
1〜2歳ごろは、ことばの発達に大きな変化がみられる時期です。
1歳ごろから意味のあることばが少しずつ現れ、成長とともに話せることばが増えていきます。
最初は一つのことばで要求や気持ちを伝えることが中心です。
例えば、わんわんと言って犬を指したり、まんまと言って食べ物を求めたりします。
さらにことばが増えてくると、ママ きた、わんわん いたなど、二つのことばを組み合わせて表現するようになります。
ただし、ことばが出始める時期や増え方には個人差があります。
同じ2歳でも、話せることばの数や文の長さには大きな違いがあります。
1〜2歳では発音はまだ未完成
1〜2歳ごろは、ことばをたくさん覚えていく時期ですが、発音についてはまだ未完成です。
大人は日本語のさまざまな音を自然に使い分けていますが、子どもが同じように発音するためには、舌や唇などを細かく動かす必要があります。
1〜2歳では、このような細かな動きをまだ十分に身につけていません。
そのため、言いたいことばはわかっていても、大人と同じようには発音できないことがあります。
例えば、大人が聞くとかなり違うことばに聞こえていても、子ども自身は特定のものを表すことばとして一貫して使っていることがあります。
この時期には、発音が不明瞭だからといって、それだけで構音障害と判断することはできません。
母音を中心とした発音がみられる
日本語には、あ・い・う・え・おという5つの母音があります。
母音は子どもの発声でも比較的早い時期から現れます。
赤ちゃんのころから、あー、うーなど、母音に近い声を出すことがあります。
その後、子音と母音を組み合わせた音を使えるようになり、ことばへと発達していきます。
1〜2歳ごろになると使える音の種類は増えていきますが、すべての子音を正しく使えるわけではありません。
まだ発音できない子音があるため、母音が目立って聞こえたり、ことば全体が簡略化されたりすることがあります。
唇を使う音は比較的現れやすい
子どもの発音では、唇を使って作る音が比較的早い時期からみられます。
例えば、ま行、ぱ行、ば行などでは唇を使って音を作ります。
ママ、パパ、まんまなどが初期のことばとしてよく聞かれる背景には、ことばの意味だけでなく、比較的作りやすい音が含まれていることも関係しています。
一方で、舌を細かく調整する必要がある音などは、この時期にはまだ正しく発音できないことがあります。
子どもは発音しやすい音から少しずつ使えるようになっていきます。
同じ音を繰り返すことばも言いやすい
1歳前後では、まま、ぱぱ、わんわんなど、同じような音を繰り返すことばが多く使われます。
同じ動きを繰り返せばよいため、複雑な音の並びを発音するよりも言いやすい場合があります。
大人が使う正式な名称より、わんわん、ぶーぶーなどの幼児語を先に使う子どもも多くいます。
成長して使える音やことばが増えてくると、少しずつ大人が使うことばへ移っていきます。
この時期は、発音の正確さよりも、ことばを使って人や物を表現できるようになることが重要です。
ことばの一部を省略することがある
1〜2歳ごろでは、大人が話すことばをそのまま再現することが難しく、ことばの一部を省略することがあります。
特に長いことばや複雑な音の並びは難しく、子どもが言いやすい短い形になることがあります。
大人には一部の音しか聞こえなくても、本人にとっては意味のあることばとして使われていることがあります。
このようなことばの簡略化は、発音やことばの音を扱う力が未発達な時期にみられます。
成長して使える音が増え、長いことばを言えるようになるにつれて、少しずつ大人の発音へ近づいていきます。
難しい音を別の音にすることもある
まだ発音できない音がある場合、子どもは自分が言いやすい音を使うことがあります。
本来の音とは異なる音で発音することを、音の置き換えといいます。
1〜2歳ごろでは発音そのものが大きく発達している途中なので、さまざまな置き換えがみられることがあります。
この時期に一部の音を間違えているからといって、すぐに正しい発音を練習させる必要はありません。
まずは使えることばや音が少しずつ増えているかを見ていくことが大切です。
家族にしかわからないことばがある
1〜2歳ごろでは、子どもの発音を家族だけが理解できることも珍しくありません。
例えば、ある独特な発音を子どもがいつも同じ意味で使っていると、家族は自然に何を表しているのか理解できるようになります。
また、家族は子どもが何を見ているのか、何を欲しがっているのかなど、状況をよく知っています。
そのため、不明瞭なことばでも意味を推測できます。
家族以外の人にはほとんど理解できなくても、この年齢では発音がまだ発達途中であることを考慮する必要があります。
同じことばでも毎回同じ発音とは限らない
1〜2歳ごろでは、一度正しく言えたことばを次には違う発音で言うこともあります。
ある日は上手に言えたのに、別の日には音が抜けているということもあります。
まだ発音が安定していないため、同じことばでも発音にばらつきがみられることがあります。
また、子どもは発音だけでなく、ことばの意味や使い方など多くのことを同時に学んでいます。
一度正しく言えたからといって、その音を完全に身につけたとは限りません。
少しずつ正しく言える場面が増えていく過程を見ていくことが大切です。
発音よりことばの理解も大切
1〜2歳ごろのことばの発達を見るときには、話せることばだけではなく、ことばをどの程度理解しているかも大切です。
例えば、日常生活の中で簡単なことばかけを理解しているか、名前を呼ばれたときに反応するか、身近な物の名前がわかるかなどを見ます。
まだ上手に話せなくても、大人のことばを理解して行動できることがあります。
話す力と理解する力は必ずしも同じ速さで発達するわけではありません。
発音だけを取り出して考えるのではなく、ことばの理解やコミュニケーションを含めて発達を見ることが重要です。
指さしや身振りも大切なコミュニケーション
1〜2歳ごろでは、ことばだけでなく、指さしや身振りも重要なコミュニケーション手段です。
欲しい物を指さしたり、興味のあるものを大人に見せたり、バイバイと手を振ったりすることがあります。
まだ十分に話せなくても、視線や指さし、表情などを使って相手へ伝えようとします。
このようなやり取りは、その後のことばの発達にもつながっていきます。
発音が不明瞭なときにも、子どもがどのような方法で相手へ伝えようとしているのかを見ることが大切です。
発音を何度も直す必要はない
1〜2歳ごろの子どもがことばを間違えて発音すると、正しく言わせたほうがよいのではないかと思うかもしれません。
しかし、この時期はまだ発音できない音がたくさんあります。
正しい音を作る準備が整っていない状態で、何度も言い直させても上手に発音できるとは限りません。
子どもが不明瞭な発音で話した場合には、伝えようとしている内容を受け止めながら、大人が自然に正しいことばを返してあげるとよいでしょう。
例えば、子どもが独自の発音でわんわんについて話したら、わんわんいたね、犬がいたね、などと自然にことばを返します。
正しい発音を強く求めるより、ことばを使って伝える楽しさを育てることが大切です。
絵本や会話を通してことばをたくさん聞く
1〜2歳ごろは、周囲からさまざまなことばを聞く時期でもあります。
日常生活の中で、子どもが見ているものや興味を持っているものについて大人がことばを添えてあげるとよいでしょう。
例えば、車を見ていたら、赤い車だね、ブーブー走っているね、などと話しかけます。
絵本の読み聞かせも、さまざまなことばや音に触れる機会になります。
発音を教え込むのではなく、楽しいやり取りの中で多くのことばを聞く経験を作ることが大切です。
1〜2歳では発音だけで構音障害を判断しにくい
1〜2歳は発音が大きく発達している途中です。
まだ言えない音が多く、発音の置き換えや省略などもみられます。
そのため、この年齢では特定の音が言えないということだけから、構音障害かどうかを判断することは難しい場合があります。
発音だけではなく、ことばの理解や表現、聞こえ、コミュニケーション全体の発達を見ることが重要です。
発音そのものへの本格的な訓練より、まずことばやコミュニケーション全体の発達を支えることが優先される場合もあります。
発音以外にも気になることがある場合は相談する
1〜2歳では発音が不明瞭なこと自体は珍しくありません。
一方で、発音以外にも気になる様子がある場合には、専門家へ相談することを検討してもよいでしょう。
例えば、次のような様子です。
・ことばの理解について気になる
・ことばがなかなか増えていかない
・人への働きかけが少ない
・指さしや身振りがあまりみられない
・呼びかけへの反応が気になる
・聞こえについて心配がある
・以前使っていたことばを使わなくなった
・保護者がことばの発達について強く心配している
子どもの発達には個人差があるため、一つの特徴だけで発達上の問題があると判断することはできません。
心配な場合には、乳幼児健診や自治体の発達相談、小児科、耳鼻咽喉科などで相談することができます。
まとめ
1〜2歳ごろは、意味のあることばが現れ、使えることばが大きく増えていく時期です。
一方、発音はまだ発達の途中であり、大人と同じようにすべての音を正しく発音することはできません。
ことばの一部を省略したり、難しい音を別の音へ置き換えたり、同じことばでも発音が変わったりすることがあります。
そのため、1〜2歳では発音が正しいかどうかだけを見るのではなく、ことばが増えているか、話しかけを理解しているか、指さしや身振りを使って相手へ伝えようとしているかなど、コミュニケーション全体を見ることが大切です。
発音を何度も訂正するより、子どもの伝えたい気持ちを受け止め、大人との楽しいやり取りの中でたくさんのことばに触れられるようにしましょう。
発音以外にもことばの理解や聞こえ、コミュニケーションなどについて気になることがある場合には、乳幼児健診や専門機関などで相談することも検討しましょう。

