構音障害とことばの遅れは何が違う?
子どもの話し方が気になるとき、発音の問題なのか、ことばの発達が遅れているのか判断に迷うことがあります。
ことばはたくさん知っていて会話もできるけれど発音が聞き取りにくい子どももいれば、発音そのものより使えることばの少なさが気になる子どももいます。
構音障害とことばの遅れは、どちらも話すことに関係するため混同されることがありますが、基本的には異なる問題です。
一方で、構音の問題とことばの発達の遅れが同時にみられることもあります。
この記事では、構音障害とことばの遅れの違いや、それぞれにみられる特徴、子どものことばを見るときのポイントについてわかりやすく解説します。
構音障害とは?
構音障害とは、ことばを話すために必要な音を正しく作ることが難しい状態です。
私たちは話すときに、舌や唇、あごなどを細かく動かして、さまざまな音を作っています。
構音に問題があると、特定の音を別の音に置き換えたり、音を省略したり、一般的な日本語の音とは異なる歪んだ音になったりすることがあります。
例えば、さかなをたかなと発音していても、本人は魚ということばの意味を理解し、魚について話すことができている場合があります。
この場合、ことばそのものを知らないのではなく、ことばを音として表す部分に問題があると考えます。
ことばの遅れとは?
ことばの遅れという表現は、子どもの言語発達が年齢から期待される状態よりゆっくりしている場合に広く使われます。
例えば、話せる単語が少ない、なかなか二語文が出ない、文が短い、ことばの意味を理解することが難しいなど、さまざまな特徴があります。
ことばの発達には、話す力だけでなく、相手の話を理解する力、語彙、文を組み立てる力、会話する力なども含まれます。
そのため、ことばの遅れがある場合には、発音だけを見るのではなく、ことば全体の発達を確認することが大切です。
一番大きな違いはどこ?
構音障害とことばの遅れの大きな違いは、主に何が難しいのかという点です。
構音障害では、言いたいことばはわかっているものの、そのことばに必要な音を正確に作ることが難しくなります。
一方、ことばの遅れでは、使える単語が少ない、文を組み立てることが難しい、ことばの意味の理解が十分に育っていないなど、言語そのものの発達に課題がみられます。
簡単に整理すると、
・構音障害:ことばの音を正しく作ることが難しい
・ことばの遅れ:ことばを理解したり、覚えたり、組み合わせたりする力の発達がゆっくりしている
という違いがあります。
ただし、実際には両者を明確に分けにくい場合もあるため、子どものことばを総合的に見る必要があります。
構音障害ではどのような様子がみられる?
構音障害がある子どもでは、話したい内容やことばそのものは年齢相応に発達していても、発音に特徴がみられることがあります。
例えば、次のような様子です。
・特定の音を別の音に置き換える
・特定の音が抜ける
・一部の音が歪んで聞こえる
・さ行やら行など特定の音だけ言えない
・話している内容は年齢相応だが発音が不明瞭
・家族には伝わるが他の人には伝わりにくい
発音の問題が軽い場合には、会話の内容を理解することにほとんど支障がないこともあります。
ことばの遅れではどのような様子がみられる?
ことばの発達がゆっくりしている場合には、発音以外の部分にも特徴がみられることがあります。
例えば、次のような様子です。
・同年代の子どもと比べて話せる単語が少ない
・なかなか文で話すようにならない
・短いことばだけで伝えることが多い
・ことばの意味を理解することが難しい
・質問に合った答えを返すことが難しい
・自分の経験をことばで説明することが難しい
・助詞などを使って文を組み立てることが難しい
ことばの遅れの現れ方には大きな個人差があります。
話すことばだけがゆっくりしていて理解は比較的良好な場合もあれば、話す力と理解する力の両方に課題がみられる場合もあります。
発音が悪いとことばが遅れているように見えることもある
構音の問題が強い場合には、実際には多くのことばを知っているにもかかわらず、周囲からことばが少ないように見えることがあります。
発音が不明瞭で聞き取れないため、子どもがどの程度の単語や文を使っているのかわかりにくくなるからです。
例えば、長い文で話していても、多くの音が置き換わったり省略されたりしていると、聞き手には内容が十分に伝わらないことがあります。
そのため、発音が不明瞭な子どものことばの発達を確認するときには、発音の正確さだけで判断しないことが大切です。
身振りや指さしなども含めて、どのような内容を伝えようとしているのかを見る必要があります。
ことばが遅いと発音も未熟なことがある
ことばの発達がゆっくりしている子どもでは、発音の発達もゆっくりしていることがあります。
子どもは多くのことばを聞き、実際に話す経験を重ねながら、ことばの音についても学習していきます。
そのため、使えることばがまだ少ない時期には、発音も十分に発達していないことがあります。
このような場合には、発音だけを繰り返し練習するよりも、まずことばやコミュニケーション全体の発達を促すことが重要になる場合があります。
どの部分への支援を優先するかは、子どもの発達状態によって異なります。
構音障害とことばの遅れが一緒にみられることもある
構音障害とことばの遅れは別の問題ですが、一人の子どもに両方がみられることもあります。
例えば、使える単語や文が同年代より少なく、さらに複数の音を正しく発音できない場合があります。
この場合、発音だけを評価するのではなく、ことばの理解、語彙、文、コミュニケーションなども含めて確認する必要があります。
反対に、ことばの理解や表現には問題がなく、特定の音だけに構音の問題がみられることもあります。
子どもによって状態はさまざまであるため、構音か言語発達かのどちらか一方だけに当てはめて考えないことが大切です。
家庭では何を確認すればいい?
子どもの話し方が気になる場合には、発音だけでなく、ことば全体の様子を観察してみましょう。
次のような点が参考になります。
・話せる単語は増えているか
・年齢に応じた長さの文で話しているか
・大人の話している内容を理解しているか
・質問されたことに答えられるか
・自分の経験や気持ちをことばで伝えられるか
・特定の音だけが言えないのか
・複数の音に発音の誤りがあるのか
・発音以外のことばの発達にも気になる点があるか
・家族以外の人ともコミュニケーションが取れているか
一つの項目だけで判断する必要はありません。
普段の生活の中で、どのようなことができていて、どのような場面で困っているのかを見ることが大切です。
発音の練習だけをすればいいとは限らない
子どもの話し方が不明瞭だと、まず発音を練習させようと考えるかもしれません。
しかし、ことばの発達そのものがゆっくりしている場合には、発音だけを練習することが最優先とは限りません。
子どもの状態によっては、使えることばを増やす、やり取りを楽しむ、文で表現する力を育てるなど、ことば全体への働きかけが重要になることがあります。
一方、ことばの発達は年齢相応で、特定の音だけに問題がある場合には、構音への専門的な練習を検討することがあります。
子どもが何につまずいているのかを確認したうえで、適切な支援を考えることが大切です。
どこに相談すればいい?
構音障害なのか、ことばの遅れなのかわからない場合でも、家庭で判断する必要はありません。
言語聴覚士は、発音だけでなく、ことばの理解や表現などについても評価します。
地域によって相談できる場所は異なりますが、言語聴覚士がいる医療機関や療育機関、自治体の発達相談などが相談先になります。
聞こえについて気になる様子がある場合には、耳鼻咽喉科へ相談することも大切です。
発音とことばの両方が気になる場合には、そのことを相談時に伝えるとよいでしょう。
どのような場合に相談を考える?
子どもの発達には個人差があるため、少しことばが遅い、発音を間違えるというだけで、必ず問題があるわけではありません。
一方で、次のような場合には専門家への相談を検討してもよいでしょう。
・同年代と比べて使えることばがかなり少ない
・ことばの理解にも気になるところがある
・年齢が上がっても文で話すことが少ない
・複数の音に発音の誤りがある
・発音がかなり聞き取りにくい
・家族以外の人との会話が成立しにくい
・本人が話すことや発音を気にしている
・園や学校からことばや発音について指摘された
・聞こえについても心配がある
早めに相談することで、現在の発達状態を確認し、経過を見てよいのか、何らかの支援が必要なのかを考えることができます。
まとめ
構音障害とことばの遅れは、どちらも子どもの話し方に関係しますが、基本的には異なるものです。
構音障害では、言いたいことばがわかっていても、そのことばに必要な音を正しく作ることが難しくなります。
一方、ことばの遅れでは、使える単語が少ない、文を組み立てることが難しい、ことばの理解がゆっくりしているなど、言語全体の発達に特徴がみられます。
ただし、構音の問題とことばの遅れが同時にみられる子どももいます。
そのため、発音が聞き取りにくいときには、発音だけではなく、ことばの理解、語彙、文、会話なども含めて子どもの発達を見ることが大切です。
構音障害なのかことばの遅れなのかわからない場合には、言語聴覚士などの専門家へ相談し、子どものことば全体を確認してもらうとよいでしょう。

