飲み込むまでに時間がかかるのはなぜ?
「以前より食事に時間がかかるようになった。」
「口に入れてから飲み込むまでに時間がかかる。」
「年齢のせいなのでしょうか?」
食事に時間がかかるようになると、「ゆっくり食べるようになっただけ」と考えてしまう方も少なくありません。
もちろん、ゆっくり味わって食べること自体は悪いことではありません。
しかし、以前より明らかに飲み込むまでに時間がかかるようになった場合は、嚥下障害が関係している可能性があります。
飲み込みに時間がかかる背景には、口やのどの筋力低下だけでなく、
脳や神経の病気、認知機能の低下など、さまざまな原因があります。
この記事では、飲み込むまでに時間がかかる理由や、受診を考えたほうがよいケースについてわかりやすく解説します。
飲み込みは短時間で行われる動作
私たちは普段、食べ物を口へ入れると、
- 噛む
- 唾液と混ぜる
- 舌でのどへ送る
- 飲み込む
という一連の動きを自然に行っています。
これらは無意識のうちに短時間で行われていますが、どこかの段階で問題が起こると、
飲み込みまでに時間がかかるようになります。
舌の動きが弱くなっている
食べ物を飲み込むためには、舌が食べ物をまとめて、のどへ送り込む必要があります。
しかし、
- 脳卒中
- パーキンソン病
- 神経筋疾患
などでは舌の動きが弱くなり、食べ物を送り込むまでに時間がかかることがあります。
その結果、
- 何度も舌を動かす
- 飲み込むまで迷うような動きになる
ことがあります。
噛む力が低下している
飲み込む前には、食べ物を十分に噛んで飲み込みやすい状態(食塊)にまとめる必要があります。
しかし、
- 歯が少ない
- 入れ歯が合わない
- あごの筋力が弱い
などがあると、食べ物を細かくするのに時間がかかります。
そのため、飲み込むまでの時間も長くなります。
飲み込み反射が遅くなっている
食べ物がのどへ送られると、通常はすぐに飲み込み反射が起こります。
しかし、
- 加齢
- 脳卒中
- 神経の病気
などでは、この反射が遅れることがあります。
その結果、口の中では食べ物を送り込めていても、実際に飲み込むまで時間がかかることがあります。
認知症や高次脳機能障害の影響
認知症では、
- 食べ方がわからなくなる
- 飲み込むタイミングがつかめない
- 食べ物を口の中にため込む
ことがあります。
また、高次脳機能障害でも、注意力や判断力の低下によって食事がスムーズに進まないことがあります。
このような場合は、飲み込みそのものだけでなく、認知機能への支援も重要になります。
「飲み込むまで時間がかかる」と「食事時間が長い」は少し違う
食事に時間がかかる理由はさまざまです。
例えば、
- よく噛んで食べている
- 会話を楽しみながら食べている
だけであれば、大きな問題はないこともあります。
一方、
- 一口ごとに飲み込めない
- 食べ物を口に入れたまま止まってしまう
- 何度も飲み込もうとする
場合は、嚥下障害の可能性があります。
どの場面で時間がかかっているのかを観察することが大切です。
このような症状があれば注意
次のような症状を伴う場合は、医療機関へ相談しましょう。
- 食事中によくむせる
- 水分で咳き込む
- 食べ物がのどに残る感じがする
- 食後に声がガラガラになる
- 食事時間が以前より大幅に長くなった
- 食事量が減った
- 体重が減ってきた
これらは嚥下障害のサインである可能性があります。
どのような検査をするの?
医療機関では、
- 食事の様子を観察する
- 舌や口の動きを確認する
- 嚥下内視鏡検査(VE)
- 嚥下造影検査(VF)
などを行い、「どの段階で時間がかかっているのか」を詳しく調べます。
原因がわかることで、その人に合ったリハビリや食事方法を考えることができます。
まとめ
飲み込むまでに時間がかかる原因には、
- 舌の動きの低下
- 噛む力の低下
- 飲み込み反射の遅れ
- 認知症や高次脳機能障害
など、さまざまなものがあります。
単に「ゆっくり食べる人」なのか、それとも「飲み込みに問題がある」のかを見極めることが大切です。
以前より明らかに食事や飲み込みに時間がかかるようになった場合や、むせ・体重減少などを伴う場合は、
早めに医療機関で評価を受けましょう。
適切なリハビリや食事の工夫によって、安全で食べやすい方法が見つかることがあります。

