加齢による飲み込みの変化とは?
「最近、食事中にむせることが増えた。」
「若い頃より飲み込むのに時間がかかるようになった。」
「これは年齢のせいなの?」
年齢を重ねると、体のさまざまな機能が少しずつ変化します。それは飲み込みの働きも同じです。
しかし、「歳をとったから飲み込めなくなる」のではありません。加齢による変化と、病気による嚥下障害は区別して考えることが大切です。
この記事では、加齢によって飲み込みにどのような変化が起こるのか、そして注意すべきポイントについてわかりやすく解説します。
加齢によって飲み込みの機能は少しずつ変化する
年齢を重ねると、筋力や感覚、反射などが少しずつ低下していきます。
飲み込みも例外ではなく、
- 噛む力
- 舌の動き
- のどの筋力
- 飲み込み反射
- 咳をする力
などが徐々に変化します。
このような加齢に伴う飲み込み機能の変化は、**「老嚥(ろうえん)」**と呼ばれることもあります。
老嚥は病気ではなく、加齢による自然な変化です。
噛む力が弱くなる
加齢によって歯の本数が減ったり、あごの筋力が低下したりすると、食べ物を十分に噛むことが難しくなることがあります。
また、入れ歯が合わない場合も、噛みにくさの原因になります。
しっかり噛めないと、飲み込みやすい食べ物の塊(食塊)を作ることが難しくなります。
舌やのどの筋力が低下する
舌やのどの筋肉も、年齢とともに少しずつ筋力が低下します。
そのため、
- 食べ物を送り込む力が弱くなる
- のどに食べ物が残りやすくなる
- 何度も飲み込むようになる
といった変化がみられることがあります。
筋力の低下はゆっくり進むため、自分では気づきにくいことも少なくありません。
飲み込み反射が遅くなる
食べ物がのどへ送られると、通常は素早く飲み込み反射が起こります。
しかし、高齢になると、この反射が若い頃より少し遅くなることがあります。
その結果、
- 水分でむせやすい
- 飲み込むまでに時間がかかる
と感じることがあります。
咳をする力が弱くなる
もし食べ物や飲み物が誤って気管へ入りそうになっても、私たちの体には咳で外へ出そうとする働きがあります。
しかし、加齢によって咳をする力が弱くなると、誤嚥したものを十分に排出できないことがあります。
そのため、高齢者では誤嚥性肺炎のリスクが高くなると考えられています。
唾液が少なくなることもある
高齢になると、
- 唾液の分泌が減る
- 口が乾燥しやすくなる
ことがあります。
さらに、服用している薬の影響で口が乾きやすくなる場合もあります。
唾液が少ないと、
- 食べ物をまとめにくい
- 飲み込みにくい
- 口の中に食べ物が残りやすい
などの症状につながることがあります。
加齢だけで嚥下障害になるわけではない
ここで大切なのは、加齢そのものが嚥下障害ではないということです。
健康な高齢者であれば、多少の変化はあっても安全に食事ができる方が多くいます。
一方で、
- 脳卒中
- パーキンソン病
- 認知症
- 低栄養
- 長期間の安静
などが加わると、飲み込みの機能が大きく低下し、嚥下障害につながることがあります。
つまり、加齢だけではなく、さまざまな要因が重なることで嚥下障害が起こりやすくなるのです。
飲み込みの機能を保つためにできること
年齢を重ねても、日頃の生活で飲み込みの機能を維持できる可能性があります。
例えば、
- よく噛んで食べる
- しっかり水分を摂る
- 口腔ケアを続ける
- 適度に体を動かす
- 会話や歌を楽しむ
- 嚥下体操を取り入れる
などは、口やのどの機能を保つことにつながります。
また、「最近むせることが増えた」「食事に時間がかかるようになった」と感じたら、早めに医療機関へ相談することも大切です。
まとめ
加齢によって、
- 噛む力
- 舌やのどの筋力
- 飲み込み反射
- 咳をする力
- 唾液の分泌
などは少しずつ変化していきます。
こうした変化は自然な老化現象の一つですが、加齢だけで嚥下障害になるわけではありません。
病気や低栄養、筋力低下などが重なることで、嚥下障害につながることがあります。
日頃から口やのどをよく使い、異変を感じたら早めに相談することが、安全に食べ続けるための大切なポイントです。

