鼻声になるのはなぜ?
「最近、鼻声になったと言われる」
「風邪をひいていないのに鼻声が続く」
「声が鼻から抜けるように聞こえる」
構音障害のある方の中には、このような声の変化がみられることがあります。
鼻声というと風邪や花粉症を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、神経や筋肉の病気が原因で鼻声になることもあります。
この記事では、構音障害で鼻声になる理由について分かりやすく解説します。
鼻声とは?
鼻声とは、話しているときに声や空気が必要以上に鼻へ抜けてしまい、発音が不明瞭になる状態です。
例えば、
- 声が鼻に響くように聞こえる
- 言葉がぼやける
- 発音がはっきりしない
といった症状がみられます。
医学的には、このような状態を開鼻声(かいびせい)と呼びます。
のどの奥には「軟口蓋」がある
口の天井を舌で触ってみると、
前の方は硬く、奥の方はやわらかくなっています。
このやわらかい部分を軟口蓋(なんこうがい)といいます。
軟口蓋は、話すときや飲み込むときに重要な役割をしています。
軟口蓋の役割
話すときには、軟口蓋が持ち上がって鼻への通り道を閉じます。
すると、空気は口から出て、「た」「か」「さ」などの音をはっきり発音できます。
一方、軟口蓋の動きが弱くなると、空気が鼻へ漏れてしまいます。
その結果、鼻声になったり、言葉が聞き取りにくくなったりします。
なぜ軟口蓋が動きにくくなるの?
脳や神経、筋肉に障害が起こると、軟口蓋を動かす筋肉もうまく働かなくなります。
すると、
- 鼻へ空気が漏れる
- 発音がぼやける
- 声に力がなくなる
といった症状が現れます。
どんな病気で鼻声になるの?
脳卒中
軟口蓋を動かす神経の働きが低下し、鼻声になることがあります。
ALS
筋力低下によって軟口蓋の動きが弱くなり、鼻声がみられることがあります。
重症筋無力症
疲れると軟口蓋の動きが低下し、夕方になると鼻声が強くなることがあります。
脳幹の病気
脳幹には、話すことや飲み込むことに関わる神経が集まっています。
そのため、脳幹が障害されると鼻声が現れることがあります。
風邪の鼻声との違い
風邪をひくと鼻が詰まり、鼻声になります。
これは鼻の通り道が狭くなるためです。
一方、構音障害による鼻声は、軟口蓋が十分に閉じないために起こります。
つまり、原因がまったく異なります。
鼻声になると困ること
鼻声になると、
- 言葉が聞き取りにくい
- 電話で伝わりにくい
- 長く話すと疲れる
などの困りごとが生じます。
また、ご本人が話すことに自信をなくしてしまうこともあります。
嚥下障害との関係
軟口蓋は飲み込むときにも重要です。
飲み込む際には、食べ物や飲み物が鼻へ逆流しないように働いています。
そのため、鼻声に加えて、
- 飲み物が鼻へ抜ける
- 食事中にむせる
といった症状がある場合は、嚥下障害も起きている可能性があります。
リハビリで改善することはある?
はい、原因によっては改善が期待できます。
言語聴覚士は、
- 軟口蓋の動き
- 発音
- 呼吸
- 飲み込み
などを評価します。
その結果に応じて、
- 発声練習
- 発音練習
- 呼吸訓練
などを行います。
病気によって改善の程度は異なりますが、聞き取りやすい話し方を目指すことができます。
家族ができるサポート
鼻声だからといって、「もっと口を開けて」と伝えても改善しないことがほとんどです。
大切なのは、
- 静かな場所で話す
- 最後まで話を聞く
- 聞き取れないときは優しく聞き返す
ことです。
また、鼻声に加えて食事中のむせが増えた場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
まとめ
構音障害で鼻声になるのは、軟口蓋の動きが弱くなり、話すときに空気が鼻へ漏れてしまうためです。
脳卒中やALS、重症筋無力症などでは、このような症状がみられることがあります。
鼻声は発音だけでなく、飲み込みにも関係する大切なサインです。
気になる症状が続く場合は、医師や言語聴覚士へ相談しましょう。

