頭部外傷後の構音障害とは?
交通事故や転倒などで頭を強く打った後、
「ろれつが回らなくなった」
「言葉が聞き取りにくくなった」
「以前のようにはっきり話せない」
といった症状が現れることがあります。
このような話しにくさの原因の一つが構音障害です。
頭部外傷の後は、手足の麻痺や記憶障害に注目が集まりやすいですが、実は話すことにも影響が出ることがあります。
この記事では、頭部外傷後の構音障害について、ご本人やご家族向けに分かりやすく解説します。
頭部外傷とは?
頭部外傷とは、頭に強い衝撃が加わることで脳や頭蓋骨が損傷する状態です。
主な原因として、
- 交通事故
- 転倒
- 転落
- スポーツ中の事故
などがあります。
脳が傷つく場所や程度によって、さまざまな後遺症が現れます。
なぜ話しにくくなるの?
私たちは話すときに、
- 舌
- 唇
- あご
- のど
- 声帯
を正確なタイミングで動かしています。
これらの動きをコントロールしているのが脳です。
頭部外傷によって脳が損傷すると、
- 筋肉への命令が伝わりにくくなる
- 動きの調整が難しくなる
- タイミングがずれる
といったことが起こります。
その結果、発音が不明瞭になることがあります。
どのような症状がみられるの?
症状は脳の損傷部位によって異なりますが、次のようなものがよくみられます。
ろれつが回らない
最もよくみられる症状です。
言いたいことは分かっていても、発音が不明瞭になります。
話すスピードが不自然になる
極端にゆっくりになったり、逆に速くなったりすることがあります。
声が小さい
呼吸や発声に関わる筋肉がうまく働かず、声量が低下することがあります。
鼻声になる
のどの奥にある軟口蓋の動きが低下すると、声が鼻に抜けることがあります。
話し方のリズムが乱れる
小脳が損傷した場合には、一音一音区切るような話し方になることがあります。
頭部外傷では症状が複雑になりやすい
脳卒中の場合は比較的限られた部位が障害されることが多いですが、頭部外傷では脳の複数の場所が同時に傷つくことがあります。
そのため、
- 構音障害
- 高次脳機能障害
- 嚥下障害
- 手足の麻痺
などが同時にみられることがあります。
高次脳機能障害との違い
頭部外傷では高次脳機能障害もよくみられます。
構音障害
発音の問題
高次脳機能障害
記憶や注意、判断などの問題
例えば、「言葉が不明瞭」なのは構音障害、
「約束を忘れる」のは高次脳機能障害です。
両方が同時に起こることも少なくありません。
回復する可能性はある?
頭部外傷後の構音障害は改善することがあります。
特に受傷後しばらくは回復が期待できる時期です。
また、
- 言語聴覚士によるリハビリ
- 発音練習
- 呼吸訓練
- 音読練習
などを行うことで、話しやすさが向上することがあります。
回復の程度は損傷の部位や重症度によって異なります。
家族ができるサポート
構音障害のある方は、
「伝えたいことがあるのに伝わらない」というもどかしさを感じています。
ご家族は、
- 最後まで話を聞く
- 急がせない
- 静かな環境で会話する
- 分からないときは優しく聞き返す
ことを心掛けましょう。
また、話し方だけで判断せず、本人の気持ちや考えを大切にすることが重要です。
まとめ
頭部外傷後の構音障害は、脳の損傷によって発音に必要な筋肉の動きや調整がうまくできなくなることで起こります。
その結果、
- ろれつが回らない
- 声が小さい
- 話し方が不自然になる
といった症状が現れることがあります。
頭部外傷では高次脳機能障害などが同時にみられることも多いため、専門職による評価と支援が大切です。
適切なリハビリによって改善が期待できる場合もあります。

