社会的行動障害とは?
脳卒中や頭部外傷の後、
- 怒りっぽくなった
- わがままになったように見える
- 感情のコントロールが難しくなった
- やる気がなくなった
と感じることはありませんか?
ご家族の中には、
「性格が変わってしまった」
「以前とは別人のようになった」
と戸惑う方も少なくありません。
こうした変化の背景には、高次脳機能障害の一つである社会的行動障害が関係していることがあります。
社会的行動障害は、ご本人だけでなくご家族や周囲の人との関係にも大きな影響を与える症状です。
この記事では、社会的行動障害とはどのような症状なのか、なぜ起こるのか、どのような対応が必要なのかをわかりやすく解説します。
社会的行動障害とは?
社会的行動障害とは、社会生活を送るうえで必要な感情や行動のコントロールが難しくなる状態です。
高次脳機能障害の診断基準でも重要な症状の一つとされています。
具体的には、
- 怒りっぽくなる
- 感情の起伏が激しくなる
- 自己中心的になる
- やる気が出ない
- 場の空気を読めない
といった症状がみられます。
ご本人は意図的にそうしているわけではなく、脳の障害によって起こる症状です。
なぜ社会的行動障害が起こるの?
社会的行動障害には主に前頭葉が関係しています。
前頭葉には、
- 感情をコントロールする
- 衝動を抑える
- 相手の気持ちを考える
- 社会的なルールを守る
といった働きがあります。
脳卒中や頭部外傷などによって前頭葉や関連する神経ネットワークが損傷すると、
これらの働きが低下し、社会的行動障害が起こることがあります。
「性格が変わった」のではない
ご家族からよく聞かれるのが、
「性格が変わってしまったように見える」という言葉です。
確かに行動や感情の表れ方は以前と変わることがあります。
しかし、多くの場合は性格そのものが変わったわけではありません。
脳の障害によって、
- 感情を抑える力
- 状況を判断する力
- 行動を調整する力
が低下した結果として現れている症状です。
そのため、ご本人も戸惑いや苦しさを感じていることがあります。
社会的行動障害でみられる症状
社会的行動障害の現れ方は人によって異なります。
怒りっぽくなる
以前は気にならなかったことでも、強く怒ってしまうことがあります。
例えば、
- 順番を待てない
- 思い通りにならない
- 注意される
といった場面で感情が爆発しやすくなります。
感情のコントロールが難しい
急に怒ったり、泣いたりすることがあります。
感情の切り替えが難しくなる場合もあります。
自己中心的に見える
相手の立場を考えることが難しくなり、自分の要求を優先してしまうことがあります。
その結果、周囲から「わがまま」と誤解されることがあります。
やる気が出ない
一日中ぼんやりしていたり、自分から行動しなくなったりすることがあります。
これは怠けているのではなく、脳の障害による症状の場合があります。
場の空気を読めない
相手との距離感が分からなくなったり、不適切な発言をしてしまったりすることがあります。
日常生活への影響
社会的行動障害は生活のさまざまな場面に影響します。
家庭生活
家族との衝突が増えることがあります。
ご本人もご家族もストレスを抱えやすくなります。
友人関係
以前は問題なかった人間関係がうまくいかなくなることがあります。
地域活動
周囲との協調が難しくなり、社会参加の機会が減ることがあります。
就労
職場での人間関係やルールへの適応が難しくなる場合があります。
ご本人も苦しんでいることが多い
社会的行動障害がある方は、周囲から誤解されやすい傾向があります。
しかし実際には、
- 以前のようにできない
- 人間関係がうまくいかない
- 自分でも感情を抑えられない
ことに悩んでいる方も少なくありません。
そのため、ご本人を責めるのではなく症状として理解することが大切です。
改善する可能性はある?
社会的行動障害は、脳の回復やリハビリによって改善する可能性があります。
また、
- 環境を整える
- ストレスを減らす
- 周囲が適切に対応する
ことで症状が落ち着くこともあります。
必要に応じて医師や心理士などの専門職が関わることもあります。
まとめ
社会的行動障害とは、感情や行動のコントロールが難しくなる高次脳機能障害の症状です。
怒りっぽさや意欲低下、自己中心的な行動などがみられることがありますが、本人の性格や努力不足によるものではありません。
脳の障害によって起こる症状であり、ご本人も大きなストレスを抱えていることがあります。
まずは症状を正しく理解し、ご本人とご家族が安心して生活できるよう支援していくことが大切です。

