高次脳機能障害とは?
脳卒中や頭部外傷のあと、「以前と性格が変わった」「約束を忘れるようになった」「段取りよく行動できなくなった」と感じることがあります。
身体は元気そうに見えるのに、仕事や家庭生活でさまざまな困りごとが生じることも少なくありません。
このような症状の背景にあるのが「高次脳機能障害」です。
この記事では、高次脳機能障害とはどのような障害なのか、原因や症状、支援の方法についてわかりやすく解説します。
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって「考える」「覚える」「集中する」「計画する」「人と適切に関わる」といった高次の脳の働きが障害された状態を指します。
手足の麻痺のように見た目で分かる障害ではないため、「見えない障害」と呼ばれることもあります。
本人は以前と同じように行動しているつもりでも、
- 約束を忘れる
- 集中力が続かない
- 段取りが立てられない
- 感情のコントロールが難しい
といった症状が現れ、仕事や家庭生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
高次脳機能障害の主な原因
高次脳機能障害の原因として最も多いのは脳卒中です。
代表的な原因には次のようなものがあります。
脳卒中
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
脳の一部が損傷されることで、高次脳機能障害が生じることがあります。
頭部外傷
交通事故や転落事故などによる脳損傷でも発症します。
若い世代の高次脳機能障害では、頭部外傷が原因となることも少なくありません。
その他
- 脳炎
- 脳腫瘍
- 低酸素脳症
- 一酸化炭素中毒
などでも起こることがあります。
高次脳機能障害の主な症状
高次脳機能障害にはさまざまな症状があります。
記憶障害
新しいことを覚えられなかったり、約束を忘れてしまったりします。
- 同じことを何度も聞く
- 薬を飲み忘れる
- 予定を忘れる
といった症状がみられます。
注意障害
集中力が続きにくくなります。
- 気が散りやすい
- ミスが増える
- 長時間の作業が難しい
などが特徴です。
遂行機能障害
計画を立てて実行する力が低下します。
例えば、「料理を作る」という作業でも、
- 材料を準備する
- 手順を考える
- 時間を調整する
ことが難しくなる場合があります。
社会的行動障害
感情や行動のコントロールが難しくなることがあります。
- 怒りっぽくなる
- 自己中心的になる
- やる気が低下する
などの症状がみられることがあります。
半側空間無視
左右どちらかの空間に気づきにくくなる症状です。
例えば左側の障害では、
- 食事の左半分を残す
- 左側の人に気づかない
などがみられます。
なぜ気づかれにくいの?
高次脳機能障害は見た目では分かりにくい障害です。
歩ける
話せる
食事ができる
という場合でも、
- 仕事でミスが増える
- 約束を守れない
- 人間関係がうまくいかない
といった問題が生じることがあります。
そのため周囲から
「怠けている」
「やる気がない」
と誤解されてしまうこともあります。
高次脳機能障害は治る?
高次脳機能障害は発症後の回復が期待できる障害です。
特に発症後数か月から1年程度は大きな改善がみられることがあります。
しかし、「完全に元通りになる」とは限りません。
一方で、
- リハビリを続ける
- 生活環境を整える
- 補助具を活用する
ことで、長期的に改善していくケースも多くあります。
発症から数年経っても成長や適応がみられることは珍しくありません。
高次脳機能障害のリハビリ
リハビリでは症状に応じた訓練を行います。
例えば、
- 記憶訓練
- 注意訓練
- 問題解決訓練
- メモやスマートフォンの活用
などがあります。
また、本人だけでなく家族への支援も非常に重要です。
障害の特徴を理解し、生活しやすい環境を整えることが回復につながります。
まとめ
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって記憶・注意・計画・対人関係などの能力が低下する障害です。
見た目では分かりにくいため、周囲から理解されにくいこともあります。
しかし、適切なリハビリや支援を受けることで、生活のしやすさを改善していくことは十分可能です。
まずは高次脳機能障害について正しく知ることが、回復への第一歩になります。

