ウェルニッケ失語とは?話しているのに伝わらない理由と、家族が知っておきたい関わり方

「よく話しているのに、内容がかみ合わない」
「こちらの話を分かっていないように見える」
「注意すると怒ってしまう」

このような様子がある場合、
ウェルニッケ失語(感覚性失語) と呼ばれるタイプの失語症の可能性があります。

この記事では、
ウェルニッケ失語の特徴・なぜ誤解されやすいのか・家族が困らないための関わり方 を、
言語聴覚士の視点から分かりやすく解説します。


ウェルニッケ失語とは?

ウェルニッケ失語とは、
言葉を「聞いて理解する力」が特に低下する失語症 です。

主に、脳の左側頭葉(ウェルニッケ野) が損傷されることで起こります。

大きな特徴は、

  • 話す量は多い
  • しかし、内容がかみ合わない

という点です。


ウェルニッケ失語の主な特徴

■ 話し方は流暢に見える

  • すらすら話す
  • 話す勢いがある
  • 文の形は整っているように聞こえる

そのため、
「言葉の障害があるように見えにくい」 ことが多いです。


■ 内容が伝わりにくい

  • 言い間違いが多い
  • 意味の合わない言葉が混ざる
  • 質問と関係のない答えになる

本人は話しているつもりでも、
相手には意味が通じない ことがよくあります。


■ 人の話の理解が難しい

  • 長い説明が分からない
  • 早口だと理解できない
  • 聞き間違いが多い

このため、
会話がすれ違いやすくなります。


家族が混乱しやすいポイント

ウェルニッケ失語では、
ご家族が次のように感じることがとても多いです。

  • 「ちゃんと話しているのに、なぜ分からないの?」
  • 「分かっていないのに、分かっているふりをする」
  • 「注意すると怒る、否定される」

これは、
本人が“分かっていないことに気づきにくい”ため に起こります。


ウェルニッケ失語の方が感じやすい心理的な特徴

ウェルニッケ失語の方は、

  • 周囲とのズレを指摘される
  • 話が通じないことを責められる

ことで、

  • 怒りっぽくなる
  • 不安定になる
  • 話すことをやめてしまう

といった反応が出ることがあります。

👉 これは 性格の変化ではありません。


家族ができる関わり方のポイント(とても重要)

① 話は「短く・具体的に」

長い説明は避け、

  • 一文を短く
  • 一度に一つ

を意識しましょう。

❌「あとでお茶飲んでから散歩に行こうか」
✅「今、お茶を飲みます」


② 「分かった?」と聞かない

「分かった?」と聞くと、
多くの方は 反射的に「分かった」と答えてしまいます。

代わりに、

  • 実際に行動してもらう
  • 指差しで確認する

など、行動で理解を確かめる 方が安全です。


③ 間違いを強く指摘しない

言い間違いをその都度訂正すると、

  • 混乱が強くなる
  • 感情的になりやすい

ことがあります。

まずは
「伝えたい気持ち」を受け止める ことを優先してください。


ウェルニッケ失語のリハビリと回復について

ウェルニッケ失語では、

  • 「聞いて理解する力」
  • 「意味を捉える力」

を中心に、少しずつ回復を目指していきます。

回復のスピードや程度には個人差があり、
時間がかかることも少なくありません。


退院後に起こりやすい困りごと

退院後、次のような場面で困りやすくなります。

  • 説明を聞く場面(病院・役所など)
  • 電話対応
  • 来客との会話

こうした場面では、
家族が「通訳役」になること が助けになる場合もあります。


まとめ|ウェルニッケ失語は「分からないことに気づきにくい」

  • ウェルニッケ失語は「理解」が特に難しくなる失語症
  • 話し方は流暢でも、内容はかみ合わないことが多い
  • 家族は「短く・具体的に」を意識する
  • 指摘よりも、安心できるやり取りを優先する

ご家庭での関わりに不安がある方へ


家庭で使える失語症向けリハビリ教材 もご用意しています。ぜひ、ご活用ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です