子どもの構音障害は自然に治る?
子どもの発音がうまくできないと、このまま様子を見ていれば自然に治るのだろうかと心配になることがあります。
実際、幼児期にみられる発音の誤りの中には、成長とともに自然に改善していくものがあります。
一方で、すべての発音の誤りが自然に改善するとは限りません。
発音の誤り方や子どもの年齢によっては、言語聴覚士などによる評価や構音訓練を検討したほうがよい場合もあります。
大切なのは、発音を間違えているという一点だけを見るのではなく、子どもの年齢、どの音をどのように間違えているのか、発音が変化しているか、本人が困っているかなどを総合的に見ることです。
この記事では、子どもの構音障害は自然に治るのか、様子を見てもよい発音と専門家への相談を考えたい発音についてわかりやすく解説します。
子どもの発音は成長とともに発達する
子どもは、ことばを話し始めたときから大人と同じようにすべての音を発音できるわけではありません。
最初は発音しやすい音を使いながら話し、成長とともに舌や唇を細かく動かせるようになることで、少しずつさまざまな音を獲得していきます。
その過程では、難しい音を別の音へ置き換えたり、ことばの一部を省略したりすることがあります。
そのため、幼児期の発音の誤りには、構音の発達途中として自然にみられるものがあります。
発音の誤りがあるからといって、すぐに構音障害と判断することはできません。
自然に改善する発音の誤りもある
子どもの発音の誤りの中には、特別な訓練をしなくても成長とともに改善していくものがあります。
例えば、まだ獲得途中にある難しい音を、自分が言いやすい音へ置き換えている場合です。
舌や唇を動かす力が発達し、さまざまなことばを話す経験を重ねることで、少しずつ大人と同じ発音へ近づいていくことがあります。
以前は言えなかった音が時々言えるようになった、間違える回数が減ってきたなどの変化がみられる場合には、発音が発達している途中と考えられることがあります。
発達途中でよくみられる音の置き換え
幼い子どもでは、難しい音を発音しやすい音へ置き換えることがあります。
例えば、さ行をた行として発音したり、か行をた行として発音したりすることがあります。
このような置き換えの一部は、発音の発達過程でみられることがあります。
子どもが成長し、正しい音の作り方を身につけることで、置き換えが減っていく場合があります。
ただし、同じ置き換えであっても、子どもの年齢や誤りが続いている期間などによって考え方は異なります。
どのような置き換えであれば必ず自然に改善すると、一律に判断することはできません。
様子を見るときは変化があるか確認する
発音についてしばらく様子を見る場合には、単に時間が経つのを待つのではなく、発音に変化がみられているかを確認することが大切です。
例えば、以前より聞き取りやすくなっている、正しく言える音が増えている、同じ音でも正しく言える単語が出てきたなどの変化があるかを見てみましょう。
発音が少しずつ変化している場合には、発達が進んでいる可能性があります。
一方、長期間ほとんど変化がない場合には、一度専門家へ相談してみることも選択肢になります。
特徴的な歪みは相談を検討する
子どもの発音の誤りには、音の置き換えだけでなく歪みがみられることがあります。
歪みとは、正しい音とも別の日本語の音とも異なる発音になることです。
舌を使う位置や空気を出す方向などが通常とは異なることで、独特な発音になる場合があります。
発達の途中でよくみられる置き換えとは異なり、特徴的な歪みが定着している場合には、自然な改善だけを期待するのではなく、専門家による評価を検討することがあります。
家庭では置き換えと歪みを区別することが難しいため、独特な発音が続いていると感じた場合には相談してもよいでしょう。
年齢が上がっても誤りが続く場合
幼い時期には自然にみられる発音の誤りでも、年齢が上がってから同じ状態が続いている場合には考え方が変わります。
子どもの発音は成長とともに発達し、少しずつ大人に近い発音になっていきます。
そのため、ある程度年齢が上がっても特定の音を正しく発音できない場合には、構音の状態を詳しく確認することがあります。
ただし、音によって獲得される時期には違いがあり、個人差もあります。
単純に何歳になったから異常と判断するのではなく、その音の一般的な発達時期や他の音の状態なども含めて考えることが重要です。
就学前は一つの相談のタイミング
発音が気になっている場合、就学前は専門家へ相談する一つのタイミングになります。
小学校では、授業中に発表したり、教科書を音読したりする機会が増えます。
友達とのコミュニケーションも広がるため、自分と周囲の発音の違いに気づきやすくなることがあります。
また、話しことばの音を意識する力は、ひらがなの読み書きなどと関係することもあります。
就学を控えても気になる発音が残っている場合には、現在の状態を一度確認しておくと安心です。
相談したからといって、必ずすぐに訓練を始めるわけではありません。
発音の発達を確認したうえで、もう少し経過を見る場合もあります。
本人が発音を気にしている場合は早めに相談する
発音の程度だけでなく、子ども本人がどのように感じているのかも重要です。
発音の誤りが比較的軽くても、本人が強く気にしている場合があります。
友達から発音を指摘された、何度も聞き返されたなどの経験から、人前で話すことを避けるようになることもあります。
特定のことばを言いたがらない、発表を嫌がる、以前より話さなくなったなどの様子がみられる場合には、発音の程度にかかわらず相談を検討してもよいでしょう。
子どもが安心してコミュニケーションを取れることを優先することが大切です。
家族以外の人に伝わるかも大切
家庭では問題なく会話できているため、そのまま様子を見ているケースもあります。
しかし、家族はその子特有の発音に慣れているため、多少不明瞭でも理解できることがあります。
発音の状態を考えるときには、園や学校の先生、友達、祖父母など、家族以外の人にもどの程度ことばが伝わっているのかを確認しましょう。
家族には伝わるものの、他の人には何度も聞き返される場合には、構音について相談する一つの目安になります。
複数の音が言えない場合
一つの音だけではなく、複数の音に誤りがある場合には、会話全体が聞き取りにくくなることがあります。
複数の音が別の音へ置き換わったり、省略されたりすると、聞き手が元のことばを推測することが難しくなります。
年齢が低い場合には発達途中としてみられることもありますが、同年代と比べてかなり聞き取りにくい場合には、一度専門家へ相談する方法があります。
発音だけでなく、聞こえやことば全体の発達などについて確認することもあります。
聞こえや口の状態が関係している場合もある
発音がうまくできない原因は、発音の発達だけとは限りません。
聞こえにくさがあると、周囲の人が話す音を十分に聞き分けられず、発音の発達に影響することがあります。
また、口蓋裂など口や鼻の形態が発音に影響する場合もあります。
このような場合には、単純に成長を待つだけではなく、原因に応じた対応が必要になります。
呼びかけへの反応が気になる、聞き返しが多い、口の形態や動きに気になるところがあるなど、発音以外にも心配な点がある場合には専門家へ相談しましょう。
家庭で何度も発音を直せば早く治る?
発音が気になると、家庭でたくさん練習すれば早く改善するのではないかと考えるかもしれません。
しかし、正しい音の作り方をまだ身につけていない状態で何度も言わせても、必ずしも改善につながるとは限りません。
誤った方法で繰り返し発音することで、その発音が習慣になる可能性もあります。
また、話すたびに発音を指摘されることで、子どもが会話を負担に感じることもあります。
普段の生活では発音の正確さを求めすぎず、子どもが伝えようとしている内容を受け止めることを大切にしましょう。
自然に改善しない場合は構音訓練を行うこともある
発音の状態を評価した結果、構音訓練が必要になる場合があります。
構音訓練では、単純に正しいことばを何度も復唱するわけではありません。
子どもの発音の特徴を確認し、正しい音を作るための舌の位置や空気の流れなどを学んでいきます。
正しい音が作れるようになったら、単音、単語、文、会話へと段階的に練習を進めます。
どの年齢から訓練を始めるかは、発音の種類や子どもの状態、本人の意欲などによって異なります。
様子を見るか迷ったら相談してもよい
専門家への相談は、構音訓練を始めるためだけに行うものではありません。
今の発音が発達途中として考えられるのか、もう少し様子を見てよいのかを確認する目的で相談することもできます。
例えば、次のような場合には相談を検討してもよいでしょう。
・発音の誤りが長期間ほとんど変化していない
・年齢が上がっても特定の音を言えない
・特徴的な音の歪みがある
・複数の音を間違えて会話が聞き取りにくい
・家族以外の人に話が伝わりにくい
・本人が発音を気にしている
・発音を理由に話すことを避けている
・就学を控えて発音が気になる
・聞こえや口の状態にも気になる点がある
子どもの発音については、言語聴覚士がいる医療機関や療育機関、地域の発達相談などで相談できる場合があります。
聞こえについて気になる場合には、耳鼻咽喉科への相談も検討します。
まとめ
子どもの発音の誤りには、成長とともに自然に改善するものがあります。
特に幼児期には発音そのものが発達途中であり、難しい音を別の音へ置き換えたり、省略したりすることは珍しくありません。
一方で、年齢が上がっても同じ発音の誤りが続いている場合や、特徴的な歪みがみられる場合には、自然な改善だけを待たずに専門家へ相談したほうがよいこともあります。
発音について様子を見る場合には、以前より正しく言える音が増えているか、誤りが減っているかなど、変化を確認することが大切です。
また、発音の程度だけではなく、家族以外の人にも伝わるか、本人が発音を気にしていないかなど、日常生活への影響も確認しましょう。
様子を見てよいのか判断に迷う場合には、言語聴覚士などの専門家に現在の発音を確認してもらうことも一つの方法です。

