大人になってから難聴になることはある?
「子どもの頃はよく聞こえていたのに、最近、人の話が聞き取りにくくなった。」
「難聴は生まれつきのものだと思っていました。」
このように思われる方もいるかもしれません。
しかし、難聴は大人になってから発症することも珍しくありません。
実際、耳鼻咽喉科を受診する方の多くは、大人になってから聞こえにくさを感じ始めています。
原因は加齢だけではなく、病気や生活環境などさまざまです。また、原因によっては治療によって改善が期待できる場合もあります。
この記事では、大人になってから難聴になる主な原因や、受診の目安について、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
大人になってから発症する難聴は珍しくない
難聴は、生まれつきだけでなく、人生のどの年代でも起こる可能性があります。
例えば、
- 少しずつ聞こえが悪くなる
- ある日突然聞こえなくなる
- 片耳だけ聞こえにくくなる
- 耳鳴りやめまいを伴う
など、症状の現れ方はさまざまです。
「年齢のせいだから仕方ない」と自己判断せず、原因を調べることが大切です。
加齢性難聴
大人の難聴で最も多いのが加齢性難聴です。
年齢とともに内耳にある有毛細胞の働きが低下し、高い音から聞こえにくくなることが多くみられます。
例えば、
- 女性や子どもの声が聞き取りにくい
- テレビの音量が大きくなる
- 会話で聞き返すことが増える
- 騒がしい場所で会話が分かりにくい
といった症状が現れます。
加齢性難聴はゆっくり進行するため、自分では気づきにくく、家族から指摘されて初めて気づくこともあります。
突発性難聴
突発性難聴は、ある日突然、片耳の聞こえが悪くなる病気です。
例えば、
- 朝起きたら片耳が聞こえない
- 耳が詰まった感じがする
- 強い耳鳴りがする
- めまいを伴う
といった症状がみられます。
突発性難聴は、できるだけ早く治療を始めることが重要です。
発症から時間が経つほど回復が難しくなる場合があるため、「様子を見よう」とせず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。
騒音性難聴
大きな音を長期間聞き続けることで起こるのが騒音性難聴です。
例えば、
- 工事現場など騒音の大きい職場
- ライブやコンサート
- 大音量でイヤホンやヘッドホンを使う習慣
などが原因になることがあります。
一度傷ついた有毛細胞は元に戻らないことが多いため、耳栓の使用や音量を控えめにするなど、予防が大切です。
耳の病気による難聴
耳の病気が原因で難聴になることもあります。
代表的なものには、
- 中耳炎
- メニエール病
- 耳硬化症
などがあります。
これらは原因によって薬や手術で改善することもあるため、早めに診断を受けることが重要です。
全身の病気や薬が影響することもある
難聴は耳だけの病気とは限りません。
例えば、
- 糖尿病
- 自己免疫疾患
- 脳の病気
などが聞こえに影響することがあります。
また、一部の薬には副作用として難聴を起こすものもあります。
現在服用している薬がある場合は、自己判断で中止せず、医師へ相談しましょう。
「少し聞こえにくい」を放置しない
聞こえにくさは少しずつ進むことが多いため、「まだ大丈夫」と思って受診が遅れる方も少なくありません。
しかし、聞こえにくさを放置すると、
- 会話の機会が減る
- 人との交流が少なくなる
- 補聴器を使い始める適切な時期を逃してしまう
ことがあります。
また、治療できる病気が隠れている可能性もあるため、気になる症状があれば早めに受診しましょう。
早めの対応で生活の質を保てる
難聴があっても、
- 適切な治療
- 補聴器
- 人工内耳
- 聴覚リハビリテーション
などを活用することで、聞こえを補いながら生活することができます。
「年齢だから仕方ない」とあきらめず、早めに相談することが大切です。
言語聴覚士ができる支援
言語聴覚士は、聞こえにくさによるコミュニケーションの困りごとを支援する専門職です。
例えば、
- 聞き取りやすいコミュニケーション方法の提案
- 補聴器や人工内耳を使用した生活の支援
- ご家族へのアドバイス
- 聴覚リハビリテーション
などを行っています。
聞こえにくさで困ったときは、耳鼻咽喉科とともに、言語聴覚士へ相談することも大切です。
まとめ
難聴は、生まれつきだけでなく、大人になってから発症することも珍しくありません。
加齢性難聴や突発性難聴、騒音性難聴、耳の病気など、原因はさまざまです。
原因によっては治療で改善が期待できるものもあるため、「年齢のせい」と自己判断せず、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
聞こえにくさを感じたら、一人で悩まず、専門家に相談し、自分に合った治療や支援につなげましょう。

