家族のストレスとの向き合い方(高次脳機能障害)
高次脳機能障害のある方を支えているご家族は、日々さまざまなストレスを抱えています。
例えば、
- 「何度説明しても同じことを繰り返す」
- 「以前とは別人のように感じる」
- 「将来のことを考えると不安になる」
- 「自分の時間がまったくない」
このような思いを抱えながら生活している方は少なくありません。
一方で、「家族なんだから頑張らなければ」「弱音を吐いてはいけない」
と、自分の気持ちを押し込めてしまう方もいます。
しかし、ストレスを抱えたまま我慢し続けると、ご家族自身の心や体に影響が出るだけでなく、
ご本人との関係にも影響することがあります。
高次脳機能障害の支援では、ご本人だけでなく、ご家族の心の健康もとても大切です。
この記事では、家族がストレスと上手に向き合うための考え方や工夫をご紹介します。
ストレスを感じるのは自然なこと
介護や支援を続けていると、疲れたり、イライラしたり、落ち込んだりすることがあります。
そのようなとき、「こんなことで疲れるなんて」「もっと頑張らないと」と自分を責めてしまう方もいます。
しかし、ストレスを感じることは決して特別なことではありません。
毎日の生活の中で支援を続けていれば、疲れや不安を感じるのはごく自然な反応です。
まずは、「今、自分は疲れているんだな」と認めることから始めましょう。
一人で抱え込まない
ストレスが大きくなる理由の一つは、「誰にも相談できないこと」です。
高次脳機能障害は見えにくい障害のため、周囲に理解されにくいことがあります。
そのため、「話しても分かってもらえない」と思ってしまう方もいます。
しかし、家族や友人、医療・福祉の専門職など、安心して話せる相手を持つことはとても大切です。
悩みを言葉にするだけでも、気持ちが整理されることがあります。
完璧を目指さない
「毎日笑顔で接しよう」「いつも優しくしよう」と思っていても、現実には難しい日もあります。
疲れているときには、つい強い口調になってしまうこともあるでしょう。
そのような日があっても、「今日は余裕がなかったな」と振り返り、翌日またやり直せば十分です。
完璧な介護や支援を続けられる人はいません。
長く続けるためには、無理をしないことが大切です。
自分だけの時間を持つ
ご本人を優先する生活が続くと、自分の楽しみや休息の時間がなくなってしまいます。
しかし、短い時間でも、
- 散歩をする
- 好きな音楽を聴く
- 本を読む
- コーヒーをゆっくり飲む
など、自分のための時間を持つことはとても大切です。
「こんなことをしていていいのかな」と思う必要はありません。
ご家族が心に余裕を持つことは、ご本人にとっても良い影響につながります。
「できなかったこと」より「できたこと」に目を向ける
高次脳機能障害では、どうしても失敗や困りごとに目が向きがちです。
例えば、
- また忘れてしまった
- 今日も怒ってしまった
- リハビリが思うように進まなかった
などです。
一方で、
- 穏やかに過ごせた時間があった
- 自分からメモを見られた
- 一緒に笑うことができた
という小さな変化もあります。
一日の終わりに、「今日はこんなことができた」
と振り返る習慣を持つと、前向きな気持ちになりやすくなります。
家族会や患者会を活用する
同じ立場の人と話すことは、大きな支えになります。
家族会では、
- 同じ悩みを共有できる
- 生活の工夫を知ることができる
- 「自分だけではない」と感じられる
といったメリットがあります。
話を聞くだけでも構いません。
必要なときには、このような場を活用することもおすすめです。
専門職に相談する
ストレスが強くなり、
- 眠れない
- 気持ちが落ち込む
- 食欲がない
- 毎日つらい
といった状態が続く場合は、一人で我慢しないことが大切です。
主治医や医療ソーシャルワーカー、言語聴覚士、作業療法士、高次脳機能障害支援拠点などに相談してみましょう。
必要に応じて、心のケアを受けることも大切です。
家族も「支えられる存在」でよい
ご家族は、「支える側だから弱音を吐いてはいけない」と思ってしまうことがあります。
しかし、ご家族も支援を必要とする存在です。
疲れたときには、周囲に助けてもらうことは決して悪いことではありません。
支える人が支えられることで、より長くご本人を支えることができます。
ご本人と一緒に笑える時間を大切にする
リハビリや介護だけが生活ではありません。
好きなテレビ番組を見たり、一緒に散歩をしたり、昔の思い出を話したりする時間も大切です。
「障害のある人」と「介護する人」という関係だけではなく、
家族として一緒に過ごす時間を大切にすることが、お互いの心の支えになります。
まとめ
高次脳機能障害のある方を支える中で、ご家族がストレスを感じるのは自然なことです。
大切なのは、一人で抱え込まず、家族や専門職、地域の支援を活用しながら、ご自身の心と体も大切にすることです。
また、完璧を目指さず、小さな成功や穏やかに過ごせた時間にも目を向けることで、気持ちに少し余裕が生まれます。
ご本人を長く支えるためには、ご家族が元気でいることが何より大切です。無理をせず、周囲の力も借りながら、そのご家庭らしい支え方を見つけていきましょう。

