遂行機能を鍛える生活トレーニング
高次脳機能障害では、
- 段取りが苦手になった
- 何から始めればいいか分からない
- 途中で別のことを始めてしまう
- 最後までやり遂げられない
といった「遂行機能障害」がみられることがあります。
病院ではリハビリを受けていても、「家ではどんな練習をすればいいの?」と悩まれる方やご家族も少なくありません。
結論からお伝えすると、遂行機能は日常生活の中で練習することが最も効果的です。
なぜなら、遂行機能とは「生活を組み立てる力」だからです。
この記事では、自宅で無理なく取り組める遂行機能の生活トレーニングについてわかりやすく解説します。
遂行機能は「考えながら行動する力」
遂行機能とは、
- 計画を立てる
- 順番を考える
- 必要な物を準備する
- 状況に合わせて修正する
- 最後までやり遂げる
といった能力です。
そのため、机の上だけで行う課題よりも、実際の生活場面で練習する方が効果的なことが多くあります。
まずは一日の予定を立てる
最も簡単に始められるトレーニングです。
朝、「今日は何をする予定かな?」と一日の予定を書き出します。
例えば、
- 朝食を食べる
- 洗濯をする
- 買い物へ行く
- 病院へ行く
などです。
予定を立てる習慣は、遂行機能を鍛える第一歩になります。
チェックリストを活用する
遂行機能障害では、
途中で手順を忘れてしまうことがあります。
そのため、
- 買い物の準備
- 外出前の確認
- 家事の手順
などはチェックリストを使うと効果的です。
例えば、外出前なら、
□ 財布
□ 鍵
□ スマートフォン
□ 診察券
などを書き出します。
「覚える」のではなく、「確認する習慣」を作ることが大切です。
料理は優れたトレーニング
料理には、
- 献立を考える
- 材料を準備する
- 手順を考える
- 時間を調整する
など、多くの遂行機能が使われます。
最初は、
- お茶を入れる
- 味噌汁を作る
- 卵焼きを作る
など簡単なものから始めましょう。
難しい料理を作る必要はありません。
買い物を計画する
買い物も遂行機能を鍛える良い練習です。
例えば、
- 冷蔵庫を確認する
- 必要な物を考える
- メモを書く
- お店で探す
- 買い忘れがないか確認する
という流れを意識します。
買い物は計画性や確認力を高める実践的なトレーニングになります。
家事を最後までやり切る
例えば、洗濯なら、
- 洗濯機を回す
- 干す
- 取り込む
- 畳む
- しまう
までが一つの作業です。
途中で終わらせず、一連の流れを意識することが大切です。
難しい場合は、一緒に手順を確認しながら行いましょう。
一度に一つのことを行う
遂行機能障害では、複数のことを同時に行うと混乱しやすくなります。
例えば、料理をしながら電話をする
テレビを見ながら書類を書く
といった「ながら作業」はミスにつながりやすくなります。
まずは、一つ終わってから次へ進むことを意識しましょう。
振り返る時間を作る
作業が終わった後に、「うまくできたかな?」と振り返ることも大切です。
例えば、
- 予定通りできた?
- 困ったことは?
- 次はどうすればもっとやりやすい?
と考えます。
この振り返りが、次の行動につながります。
スケジュール帳やスマートフォンを活用する
予定を頭だけで管理するのは負担が大きくなります。
そのため、
- スケジュール帳
- カレンダー
- スマートフォン
などを積極的に活用しましょう。
予定を「覚える」のではなく、「確認する」という習慣が大切です。
家族がサポートするときのポイント
ご家族は、「もっと早くやればいいのに」「順番が違うよ」と思うことがあるかもしれません。
しかし、答えをすぐに教えるのではなく、「次は何をするんだっけ?」「何か確認することはあるかな?」
と質問する形で促す方が、ご本人が考える機会になります。
また、最後までできたことをしっかり褒めることも大切です。
完璧を目指さなくてよい
遂行機能障害では、以前と同じようにできないこともあります。
しかし、
- チェックリストを使えた
- 一人で料理ができた
- 買い物を最後までできた
といった小さな成功も大きな前進です。
「一人でできる方法を増やすこと」がリハビリの目標になります。
まとめ
遂行機能を鍛えるには、日常生活そのものをリハビリとして活用することが大切です。
料理や買い物、洗濯などの家事は、計画を立て、順番を考え、最後までやり遂げる力を育てる良いトレーニングになります。
また、チェックリストやスケジュール帳を活用し、「覚える」よりも「確認する習慣」を身につけることも重要です。
焦らず、ご本人のペースに合わせて毎日の生活の中で少しずつ続けることが、遂行機能の改善や自立した生活につながります。

